蓋碗というコスモス
2月20日の日記にも、蓋碗が好きと書きましたが、普段お茶を飲む時、ほとんど蓋碗を使っています。茶壷(急須)は、1日1つのお茶を淹れるのに使う程度。 蓋碗は、蓋付きのお茶碗のことで、これ一つで飲杯(お茶を飲む器)、茶壷(急須)、聞香杯(香りを味わう器)の役目を併せ持っています。その上、磁器製やガラス製の器ですので、香り移りがなく、香りの強いお茶を淹れるのに使っても、ちゃんと洗えば、次のお茶を淹れるのに差し障りが生じませんし。中国茶といったら紫砂の茶壷と言われますが、そうした粘土を焼き上げた茶壷は、香りが茶壷に移りやすいので一壷一葉が望ましく、また洗剤で洗うとその香りさえも身のうちに取り込んでしまいますので、洗い方にも留意が必要です。磁器やガラスの器は洗剤でもどんどん洗えて、私のようなついうっかり、が得意な者にはぴったりなのです。なんとも合理的で便利、使い勝手の良い茶器なのですね。これから中国茶をいろいろ楽しみたい、という方には、まず蓋碗をお勧めしますよ。蓋碗でいろんなお茶に親しまれ、いずれ気に入った茶葉が見つかって、それが茶壷向きならば、茶壷を購入されるというのが良いかなぁという気がしますよ。。。 蓋碗で緑茶を淹れる時には、蓋で茶葉を遮り、直接蓋碗に口をつけてお茶を頂きますが、この風景は、なんとも中国茶的世界ですよね。蓋碗の中のお湯が半分くらいになったら、お湯を足し、また飲む。またお湯を足す。差し湯で一つの茶葉を長く楽しむ・・・岩茶や烏龍茶など青茶の時には、蒸し時間が長すぎると苦みが出ますので蓋をストレイナーにして茶葉を押さえ、茶壷(急須)として使うのが良いでしょう。 直接飲杯に注ぎ分けたり、茶海(上の写真で右側に写っている器で、お茶の濃さを均一にするために茶壷のお茶をいったん全て注ぎ込む茶器。茶海から飲杯に注ぎ分けます)にあけたり・・・蓋碗が2つあれば、茶海の役目をもう一つの蓋碗に(1枚目の写真のように)。急須代わりになる蓋碗なら、茶海の代わりに飲杯へサーブするのは、おてのもの。それに、時には大きな飲杯でガブガブ頂きたいという時、ありますよね。そのときにも、茶海ではなく2つ目の蓋碗を登場させればいい感じ。。。 私が一番使い勝手の良い蓋碗は、いずれの写真でも左に写っているゴクチョンタイプの白磁の蓋碗。容量が80mlと小ぶりな器です。中国茶はだいたい6煎前後まで頂け、煎を重ねるごとの味わいの変化も楽しみのひとつです。一人や少人数の時に150mlを超える大きな器で頂くと、2種類くらいのお茶でお腹が一杯になってしまいます。<単純に計算すると150ml×6煎=900ml。。。たぷたぷになりますね>それに、茶葉もたくさん必要になりますし。。。決して安くない茶葉ですから、味わい尽くしたいですよね。なので、蓋碗にしても茶壷にしても、まず小ぶりのもの、がベストかなぁと思います。大は小を兼ねるのでは? 大きい器で少量淹れればOKでは?と思われるかもしれませんね。香りを楽しむお茶、青茶の時には、当てはまらないようです。お湯は茶壷の口切まで、蓋碗の時にも蓋の上までお湯がくるくらいで淹れたほうが湯温が下がり難いため香りよく淹れられるようですよ。。。それに、アクを切るにも湯量が多いほうが切りやすいですものね。 写真のお茶は、上が白葉単[木+叢]、下が石古坪烏龍。いずれも香りの良いお茶。茶海や飲杯などにお茶を移したら、ぜひ、蓋の裏で香りを味わいたい、そういうお茶です。蓋碗。なんともオールマイティな器ですね。。。ただ、熱湯で淹れるお茶の場合、くれぐれも火傷にご注意を!!4月13日の日記。後半まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。