■レビュー内容
「おまえには人の名を授けた。だからっ…人として生きろ」
なかなか面白い設定です。ひよりが、夜トや雪音に関わっていくという展開で謎というか設定が明かされて行く構成が見事です。早い展開で物語の重苦しさを和らげていて良いですよ。次は、毘沙門との因縁がってところでしょうか…。
■あらすじ【ネタバレ注意】■
ひよりは、夜トには雪音の他に野良の神器がいることを知る。野良とは、複数の神から名を授けられている神器で、神からも神器からも忌み嫌われる。そんな折、夜トに妖を切るという依頼が入り向かうのだが、ひよりは夜トの動きが緩慢なことに気付く。夜トは、雪音の悪さで刺されヤスミが進行していたのだった。
ある日、ひよりは毘沙門が連れていた神器兆麻と会う。兆麻は、敵であるはずの夜トのヤスミを心配していた。夜トのことを恩人でもあると言う兆麻は、早く雪音を放たないと死ぬことになると言うのだった。
神と神器の関係が徐々に分かってきたひよりは、雪音を甘やかしてしまったことに気付く。いじめられっ子の二年生の依頼を受け学校にやってきた夜トと雪音。雪音は、同年の子たちが楽しそうにする姿を見て、自分はもう此岸には戻れない、欲しいものは手に入らないと知ると、学校のガラスを割り暴れ出すのだった。
酷く刺されてしまった夜トは、とうとう動けなくなってしまう。ひよりは、夜トを背負い雪音を連れ小福のもとへ行く。夜トのヤスミを見た大黒は、翌朝までは夜トが持たない、雪音の禊をするほか手はないと、社を回り禊に必要な残り二人の神器を捜しに行くのだった。
天神の神器真喩(まゆ)が元主のためならばと引き受けてくれるが、あと一人が見つからない。ひよりは、兆麻のことを思い出し毘沙門堂で兆麻の名を呼ぶと、兆麻は借りを返すと応じるのだった。
雪音は、悪さをしたことで妖に転じかけていた。それを清める禊、その名の通り身を削ぎ自身の罪を吐き出させ、罰を受ける。罪を認めようとしない雪音だったが、ひよりと夜トの呼びかけに応え罪を贖うのだった…。