■レビュー内容
「先輩は、自分になりたくてがんばってるんです…!」
優勝しての涙でなく、修学旅行に行きたいと泣く。いろんなものが詰まった涙にグッときました。太一と頑張ったこと、クイーン戦には出られないこと、母が買ってくれた袴で優勝できたこと。
■あらすじ【ネタバレ注意】■
かるた部を一緒に作ってくれた太一、いつも隣にいてくれた太一。でも、千早は、今目の前にいる太一が自分の知る太一ではないと感じる。太一は、初めて千早が自分を見てくれている気がするのだった。
吉野会大会優勝は千早。宮内は、呆けている千早に、本気でクイーンを目指すなら修学旅行の出欠のことを考えようという。千早は、宮内先生の様にかるた部の顧問の先生になりたいから、修学旅行には行きたいんだと泣き出すのだった。
勝てなかった太一は、いつも一緒にいながら想いが千早に伝わらないことに落ち込んでいた。千早と対戦したのが何故自分ではなかったのかと感じた新は、いつも一緒にいなくても伝えたい想いがあることに気付くのだった。
そして、修学旅行と名人戦・クイーン戦予選がやってくる。千早は、太一が欠席していることを知り、名人戦予選へ出場するのではないかと気になってしまうのだった。
部活と受験勉強を両立してきた太一は、名人戦に挑むなら今年しかないと思っていた。母親に嘘をついてまで、かるたに費やして来た全ての自分を出し切ろうとするのだった…。
恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり 人知れずこそ 思ひそめしか
(こひすてふ わがなはまだき たちにけり ひとしれずこそ おもひそめしか)
恋をしているという私の評判が早くも世間に立ってしまったなぁ。人に知られないように思い始めたばかりなのに。
歌番号:41、作者:壬生忠見、出典:拾遺集恋一621、上決まり字:こひ、下決まり字:ひとし