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Starting Is Beautiful ~美しいひと~ ある大きな島の大きな港町に、それはそれは“美しいひと”がおりました。 とても美しいお屋敷に住み、何人もの召使にかしずかれ、とても美しい 絹のドレスを着ておりました。 “美しいひと”は、その名称のとおり、とても美しい顔立ちをしていました。 さらさらとした金髪を頭のてっぺんで結いあげて、綺麗な髪飾りをつけています。 透き通るような白い肌に、ガラスのビー玉をはめ込んだような とても綺麗な薄い青の瞳をしていました。 立ち姿も美しく、たおやかで上品で、装いもきらびやかでした。 にっこりと微笑めば、まわりの人は皆“美しいひと”を振り返って頬を染めます。 “美しいひと”が声をかければ、老若男女問わず、思わず溜息をもらすほどでした。 軽やかに鈴を転がすような柔らかな声音に、皆が振り返ります。 この島で“美しいひと”は、大変な権力者の一人娘でしたので、 誰もが求婚を申し込みました。 “美しいひと”と、権力と富と名誉が一挙に転がり込んでくるのです。 年頃の男性は、皆“美しいひと”に気に入られようと躍起になりました。 権力、富、名誉、美しさ、ひっきりなしに求婚してくる男性。 女性であれば誰もがうらやむ話です。 港町では、“美しいひと”を妬む女性、権力者と数多くのものがいました。 ほしい物は、すべて手に入ります。何も言わなくても“美しいひと” の前に、全てが捧げられます。 そんな状況に、“美しいひと”は不満でした。 何もしなくても何もかもが、目の前にでてくることに“美しいひと”は、 嫌気がさしていました。 「私は本当に生きているのかしら」 そんなことを呟いては、つやつやとしたビロードの肘掛け椅子に 寄りかかり、皮肉っぽく笑うのでした。 つづく ************************************************************ やっとこさ完結した物語です(^^) 一応『竜と人魚』の番外編として、書き始めたのですが、 あまりに長くて^^; 人魚シリーズの一つの物語としてお送りいたしますv お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.05.20 08:37:32
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