祈りの人 11
祈りの人 11 ~再会~リィは、ラファエルに紹介してもらい、公共機関で案内状を 発行してもらうと、教えてもらった施療院へとやってきました。 ずいぶんと地方にある医療施設でしたので、残念に思いながらも 今のアパートを引き払います。 荷物をまとめ、山林の奥へと引っ越しました。 町まで距離はあるものの、道が整備されているので、 さほど不便は感じません。 施療院の事務所へと向かい、呼び鈴を押します。 案内状と、ラファエル直筆の手紙をだして待っていると、 奥から一人の修行僧がでてきました。 「こんにちは…」 御用は…と言いかけて、修行僧は、あ、と小さく 声を出しました。 「あの、これから、ここで働くリィと申します」 修行僧の様子に変だと思いながらも、持ってきた 案内状と手紙をだします。 「あの、あの」 口をぱくぱくとさせている修行僧に、困ったように微笑みます。 「手続きなんかは、どうしたらいいでしょうか?」 「ど、どうぞ。靴を履き替えて、こちらへ」 荷物を持ちますと言われましたが、首を振って、 自分で持つと伝えます。 修行僧は、リィを奥の事務室に案内してから、 ラファエルとここの責任者を呼びにいきます。 用向きを伝えると、ラファエルににこやかに微笑まれました。 「彼女、ずいぶん大変だったようですよ」 力になってあげてくださいね、と言われて 修行僧は顔を真っ青にしました。 「…はい」 どこまで何を知ってるのか、なぜ、彼女がここで 働くことになったのか、聞きたいことは山ほどありましたが、 自分の持ち場に戻ります。 衣服や髪型がすっかり変わってしまってい、 リィはまったく気づきませんでした。 ですが、この修行僧、リィが足を怪我するきっかけと なった浜辺で出会った男性だったのです。 しばらくの間、この施療院で働き、 二人で町にでて小さな診療所を開くのは、 そう遠くない未来のお話です。 おわり *************************ご愛読ありがとうございました(^^)