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ジゼル@ きれー 光と影と緑のコントラストがきれい(^^)
2011.12.17
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 桃源郷:秘密の小瓶 3

 ~蕎麦~


山間に日が沈み、茜色の夕焼けが空を照らし始めた頃、
家の中の片づけがやっとこ、ひと段落しました。

「ずいぶん、おもいきりましたね」

処分してしまうリンの私物を見て、竹林の庵から
戻ってきた通鷹が言いました。
通鷹は通鷹で、自分の私物を整理していたのです。

「夕飯軽くでいいかな?」

張り切りすぎて疲れたリンが、へらりと笑います。
通鷹はくすりと笑って、それならとリンを竹林の庵へと
続く扉へと手をひきます。

リンの家の勝手口と通鷹の家の使っていない古い、
納戸を自由に出入りできるように、術でつないでしまったのです。
取り付けたばかりの頃は、扉を開ければすぐに通鷹の家に
行くことができたので、とても嬉しかったのを覚えています。

「おそばでもどうですか?」

納戸の扉をとおり、襖を開けると、ちゃぶ台の上に二人分のどんぶりが
置いてあるのがみえました。
ほかほかと白い湯気と柚子の香ばしい香りがリンの鼻を
くすぐって、ぐうと大きくお腹がなります。

「ありがとう」

照れたように笑って、二人でちゃぶ台に座り、
箸を取った時、縁側の方から楽しそうな声が聞こえました。

「美味しそうね」

振り返って縁側をみると、開け放した障子の前で、
美しい黒髪の女性が立っていました。
シルバーのロングドレスが、残照にあたって
にぶく光ります。

ずいぶん前に、通鷹に小瓶を渡した美しい女性だという
ことに気づくのに、時間はいりませんでした。



つづく





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Last updated  2011.12.17 09:12:13
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