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カテゴリ:【物語】桃花幻想記:秘密の小瓶
桃源郷:秘密の小瓶6 ~夜空~ しばらく三人で、昔話に花を咲かせた後、 高時は、今度こそ帰ると立ち上がりました。 通鷹とリンが二人して、微笑んでこちらをみているのを 目を細めて眺めます。 永い時を経て、二人の幸せそうな顔を見ているうちに、 自分の中で何かがほわりと光って、身のうちに溶けていくのを 感じました。 「今度こそ仲良くな」 「「はい」」 二人して同時に返事して、顔を見合わせて笑っている姿に 手を振って、そのまま去っていきます。 『嫁にもらってくれないか』 『何を言ってるんですか』 妹ですし、第一、年が離れすぎています。 大真面目に反論してきた義弟の頃の通鷹を思い出します。 それでも、一番上の兄として、義弟と妹が似合いの 夫婦になるだろうということを見抜いていました。 そして、成長するにつれ、二人は惹かれあい祝言を あげるだろうと考えていました。 その時は、二人とも年若くして亡くなってしまったけれど、 こうして見届けることができたことで、自分は癒されたのだと 感じました。 過去の記憶に振り回されてる二人にやきもきして、少々 からかいはしたものの、幸せそうな二人の様子は、 自分の気持ちを明るくします。 「おせっかい焼きすぎたかな」 伸びをしてから、ふわりと姿を変えて夜空へと飛び立ちます。 朱金の光を夜空に散らしながら、高く高く飛んでいきます。 月に向かって、大きく翼を広げました。 「通鷹…あれ」 夜空を指差してリンが叫びます。 「鳳凰ですよ。高時の別の姿です」 そっかと呟いて、通鷹の肩にもたれました。 夜空の星と同じように、きらきら輝く鳳凰の火の粉に、 リンは綺麗と呟きました。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.12.20 08:06:52
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