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カテゴリ:【物語】桃剣幻想記
桃剣幻想記 9 ~蒼龍~ リンが蒼い剣に手を触れた瞬間、体に稲妻が走るかのように 何かが体の中心を駆け抜けていきます。 こぽこぽと水の音がして、体の中が清涼な水で満たされて いるかのようでした。 しんと静かな水底に、リンはぽつんとたたずんでいます。 ただ深い青と涼しげな風が、静かな空間を創りあげていました。 ふと視線を遠くに向けると、大きな蒼い龍がいました。 その龍がなんなのか、誰なのか、リンは知りません。 それでも、直感的に叫んでいました。 「通鷹!」 はっとして我に返ると、元の竹林の庵にいました。 畳の上に座り込み、そばには通鷹が静かな寝息をたてて 寝ています。 先ほどまで光っていた剣は、いつの間にか静かに リンの手の中にありました。 「通鷹…」 リンの頬に、静かに涙が零れ落ちます。 心が震えて、自然と剣を抱きしめました。 涙が剣に零れ落ち、ほたりほたりと雫があたると 同時に剣がぽうっと薄く青く光りました。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.12.31 10:03:23
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