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カテゴリ:【物語】桃剣幻想記
桃剣幻想記 14 ~追憶~ 気づくとリンは、また蒼く静かな空間にたたずんでいました。 いつもいつも突然で、心臓に悪いと思います。 また、リンから少し離れたところで蒼い龍がこちらを じっとみていました。 黒髪の少女はいないようです。 龍はリンをじっとみて、聡明そうな瞳を瞬かせます。 どれくらいの間みつめあっていたのか、突然龍が動き始めました。 とぐろを巻くようにして、リンのまわりをぐるぐるまわります。 リンはそのまま身動きもせず、されるがままになっていました。 龍の大きな顔がリンを見下ろします。 リンは、自然と龍の顔に手を差し伸べて自分の頬をすりよせます。 龍の顔を手でなでると、龍は嬉しそうに目を細めました。 龍の顔をなでていると、とても懐かしいような切ないような 苦しい想いが蘇ってきます。 なんでなのかわからないまま、涙をこぼしていると ふと小さく胸の中がきらめきました。 その光に身を任せていると、折り重なった衣が花開くように ふわりとほどけていきます。 「通鷹…」 龍の頬をなでます。 なぜ、今まで忘れていたのでしょうか。 「お前は、私が創ったんだったね」 顔あげて龍に微笑むと、龍の瞳から大粒の涙が 零れ落ちました。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.01.14 10:16:43
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