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カテゴリ:【物語】桃剣幻想記
桃剣幻想記 16 ~剣士~ どれくらいの月日がたったのか、蒼い剣をつくった 鍛冶師が寿命を迎える時を迎えました。 人とは違う時の流れの中で生き、神々と呼ばれる存在に 仕えてはいましたが、皆と同じように魂の流れに従って、 次の輪廻に肉体を明け渡します。 気がかりであった蒼い剣の使い手も決まり、 鍛冶師のもとを去っていきました。 もう、武器を創ることもなく、静かに暮らす 鍛冶師の元には武器をつくる依頼が舞い込むことはありません。 ゆっくりと寿命を迎えるばかりだと思っていた鍛冶師の元に、 一振りの剣が厳重に封印された状態で運び込まれました。 「ユフテス、申し訳ありません」 「これはこれは、一体どうしたのですか?」 また剣が暴れたのかと、眉をひそめる鍛冶師に 剣の使い手が頭を下げます。 何も言わずに剣を受け取って、目を見開きます。 厳重に封印を施されていても、剣に触れれば すぐにわかります。 鍛冶師は、悲しげに首を振って剣士の肩に手を置きました。 「剣を折られたのですな」 はい、蚊の鳴くような声で答えて、涙をこぼしました。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.01.16 08:44:06
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