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はじまりのひと 12 ~婚姻~ 「転生?」 「そう、私もロイもあと少ししたら、こちらに来るわ」 にこにこ笑うルナに、興味深々といった風に覗き込みます。 クローディアは、この緑に囲まれた屋敷にいる間に、 ルナからいろんなことを教わります。 ロイから受けるトレーニングの合間に聞く話は、 クローディアを落ち着かせます。 時に投げ出して逃げ出したくなるくらい、嫌気がさすことも ありましたが、なんとかかんとか落ち着いていられました。 「魂ってね素晴らしいのよ」 きらきらと瞳を輝かせて、ルナが語ります。 ルナはプレアデスという星で暮らしていました。 その時にたまたま出会った魂のパートナーが、 ロイでした。 「でも、彼は、元はオリオンにいたのね」 「おりおん…?」 たまによくわからない単語が飛び出しますが、ルナの 楽しそうな様子に黙って話の続きを待ちます。 「それでね、私、彼とまた会いたいと思ってね」 ぺろりと舌をだして、寝込みを襲ってしまったのだと いたずらっぽく笑いました。 「ル、ルナ」 「彼ったら大慌て」 ころころと鈴を転がすような声で笑います。 ルナは、一見とても大人しく儚げで、優しい少女のような 外見をしています。 ロイは、どちらかというと、たくましい体つきに よく日に焼けた顔をしていて、ルナを守る騎士のようでした。 一緒に過ごしてみえてきたことは、案外、ロイはルナの言うことには 逆らえず、振り回されている気がします。 「一度、プレアデスで寿命を迎えてから、もう一度生まれ変わって 今度はシリウスに行くようプログラムしたの」 同じように、ロイもシリウスでルナと会えるよう、オリオンで願い出て、 そのままシリウスで生まれ育ちました。 「宇宙の法則で、愛は何にも代えがたい大切な大原則なのよ」 地球では、想い合う者が一緒になるだけで大変な 苦労をしますが、魂の、特にツインソウルと呼ばれる 者同士が一緒にいることは、宇宙を繁栄させることにつながります。 「愛のつながりは、とても強く、魂同士の婚姻はそれはそれは祝福されるのよ」 「素敵ね」 素直に微笑んで言うと、ルナは翠の瞳を細めて言いました。 「あなたとシキも魂のパートナーよ」 一目でわかったわ、と静かに語るルナに、 クローディアは不思議と疑う気持ちがおきませんでした。 それは、最初から知っていたかのように、するりと 心の奥底に入り込んできました。 「うん…」 会えてよかったと、しんみり呟いて、二人は 一緒に微笑みました。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.02.14 11:10:32
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