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先日出して来たカミュの「異邦人」を書棚に仕舞いに行きましたら、その横にグレアム・グリーンの「権力と栄光」があるのに気が付きました。
革命で荒れるメキシコ、カトリック教会も非合法となり、すべての司祭が銃殺されるか国外逃亡する中、逃げ遅れた一人の司祭。追われる神父を歓迎できない人々にとってもつらいけれど、神父にとっても苛酷。そもそもこの神父、酒は飲むし、日課はなおざり、私生児までいる破戒僧。それなのに聖職者たる信仰心を断ち切れない葛藤が哀れ、遂には捕えられて、処刑をされるのだが、それまでは死が怖い、もっと生きたいと願っていた心が、最後彼の心は「落ち着いていた」と描かれている。もう一人権力に屈して妻帯したヂョセ神父がいい対比になる。 「権力と栄光」(The Power and the Glory)は、1940年に出版されたグレアム・グリーンによる長編小説ですが、読んだ記憶がなく、所謂「積読」の書籍となっていた様です。 1960年代、孤狸庵先生と呼ばれて、新聞に剽軽小説を連載していた遠藤周作が、キリスト教弾圧を主題とする「沈黙」を発表したことに、何故と思いつつ「私の影法師」(現在絶版で検索出来ません)と言う随筆集を読んで、彼が敬虔なクリスチャンで、グレアム・グリーンやモーリアックに触発されたと言うことが分かったのです。 遠藤周作はこの作品を賞賛し、「沈黙」を書く際に大きな影響を受けたと語っている。グレアム・グリーンも「沈黙」を読んで「サンデー・テレグラフ」の書評欄でベスト3の一つとして挙げている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.04.16 08:17:50
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