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October 17, 2007
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カテゴリ:MBA留学

International Financial Managementの授業がおもしろすぎなので、またまた内容を紹介しちゃいます。多分、途上国への投資に興味のある人しか面白くないおたくネタですけど。。。

 

*           *           *


(1) Funkyな国の会社に投資するときのバリュエーションの仕方

あなたは、国際的に事業展開をしているアメリカの電力会社の事業開発担当者です。
このたび、パキスタン政府が保有しているパキスタンの電力会社が民営化で売りにでることになりました。
この電力会社を買収するとしたら、あなたはいくらの買収価格を払いますか?

Pakistan Power Plant

買収対象会社のルピー(※パキスタンの通貨ね)建てのキャッシュフロー予測は、売り手のパキスタン政府からもらっていて、まあ信頼できる予測であろうとあなたが判断したとします。


となると、次にやるべきことは、このキャッシュフローを現在価値に割り引いて、企業価値を計算する、という作業。

数式は
∑ t年度のキャッシュフロー / (1 + 割引率)^t


これをやるときに考えるべきことは、(1-a) 為替の取り扱いと(1-b) カントリー・リスクの取り扱い。

 

(1-a) 為替リスクの織り込み方:


まず、考えるのは、ドルとルピー、どっちの通貨で計算を行うべきか?

ひとつのアイディアは、ルピー建てのキャッシュフロー予測を、Forwardの為替レートを使って、ドル建てのキャッシュフロー予測に直し、ドル・ベースの割引率で割り戻す。
(為替変動はdiversifiable riskと思われるので、CAPM理論に基づけば本来はこうすべき)
しかし、教授によれば、ルピーとドルのForwardの為替レートなんて、なかなか手に入らん、とのこと。
(金利差をベースに計算できなくはないと思うが)


では、ルピー建てのキャッシュフローのまま、ルピー・ベースの割引率で割り戻すのはいかが?

ルピー・ベースの割引率の計算方法は二つあります。(ちなみにややこしいので、対象会社のバランスシートにはDebtはないものと仮定)

やり方その1は、単純にCAPM (Capital Asset Pricing Model)の式を使って、

ルピー・ベースの割引率 = パキスタンのリスク・フリー・レート(ルピー建パキスタン国債の利回り) + Beta x Market Risk Premium

として計算。

Betaは、比較対象となる電力会社のBeta(MSCIなどのグローバル・インデックスとの対比で算出)の平均を使い、Market Risk Premiumはアメリカで通常用いられている5 - 7%を使ってよい(世界の株式市場の長期的なパフォーマンスを見た場合、リスク・フリー・レートとのスプレッドは、国によってそんなに変わらない、というリサーチ結果があるらしい)、とのこと。


やり方その2は、Interest Rate Parityの計算式を使って(金利が高ければ、いずれ為替は安くなるんじゃん、というやつ)、計算。

(1 + ルピー・ベースの割引率) = (1 + ドル・ベースの割引率) x (1 + パキスタンのリスク・フリー・レート) / (1 + アメリカのリスク・フリー・レート)

上記の数式をルピー・ベースの割引率について解きます。
ちなみに、ドル・ベースの割引率は前述のCAPM(アメリカのリスク・フリー・レート+ Beta x Market Risk Premium)を使って出します。

このやり方だと、パキスタンの金利がアメリカの金利より高ければ、ルピーはドル対比で安くなっていくはずで、将来通貨が安くなって損をするリスクが、割引率に織り込まれることになります。


両方のやり方でも、似たような数値が出ますが、教授によれば、パキスタンにいる投資家はやり方1を、アメリカにいる投資家はやり方2を使うそうです。
同じ会社を評価するのに、どっちの国に住んでるかで、評価が変わるのも変な話がしますが。。。


ちなみに、教授は、方法1と2で使うパキスタンのリスク・フリー・レートは単純にルピー建パキスタン国債の利回りを使えばいいといっていましたが、僕は、「ルピー建パキスタン国債の利回り - パキスタンのSovereign Spread(ドル建パキスタン国債の利回り - ドル建てアメリカ国債の利回り)」として計算すべきなんじゃないかと思います。
なぜなら、ルピー建パキスタン国債の利回りには、為替変動のリスクと、カントリー・リスク(詳細は後述)の両方が包含されていると思うからです。
後述するようにカントリー・リスクは、割引率でなく、キャッシュ・フローに織り込むべきなので、この割引率の計算の際からは除くべきでは?
なのでパキスタンのリスク・フリー・レートを出す際に、カントリー・リスクのお値段であるSovereign Spreadを控除することで、ダブル・カウントを避けようとしているわけです。

これを教授に質問メールしたところ、月曜のクラスの最初にディスカッションの時間を取ってくれるそうなので、クリアな答えがわかったらアップデートします(っていっても、大半の読者の方は興味ないですよね。。。)

 

(1-b) カントリー・リスク


次に、考えるべきは、カントリー・リスク。

「カントリー・リスク」とは、あなたの事業がパキスタン政府にいぢめられちゃうリスクです。
これぞ「アブナイ国」たるゆえん。

つまり、あなたの事業がパキスタン政府に強制接収されちゃうかもしれないリスク、税金が突然めちゃくちゃ上がるかもしれないリスク、賄賂を払わなきゃならないかもしれないリスク、パキスタン政府がCapital Controlをしいて配当や利息が本国に送金できなくなるかもしれないリスク、などなど。

そんな恐ろしげなリスクがあるのであれば、そのリスクの分だけ、事業の価値評価を下げるたいところでしょう。



で、よく用いられている手法は、割引率にこのカントリー・リスクを反映したSovereign Spreadを上乗せする、というやり方。

            Adjusted Discount Rate = Discount Rate + Sovereign Spread

パキスタンのSovereign Spreadは、「ドル建パキスタン国債の利回り - ドル建てアメリカ国債の利回り」として計算されるので、パキスタン政府が倒産するリスクのお値段を表していることになります。


でも、ここでちょっと考えなきゃいけないのは、「パキスタン政府が倒産するリスク」と「あなたの事業がパキスタン政府にいぢめられちゃうリスク」がどれだけ相関があるか、ということ。
個人的には、実はあまり相関がないんじゃないの?という気がします。
もし、相関しないのであれば、カントリー・リスクをSovereign Spreadで表現するのは、ちょっと違う気がします。


でも、十歩譲って相関があるにしても(まあ、政府の財政が苦しくなったら、儲かっている民間事業を強制接収しようということになるかもしれない)、カントリー・リスクのようなDiversifiable RiskをCAPMから出した割引率に反映するのはおかしくはないでしょうか?

そもそも、CAPMに基づいて算出する割引率というのは、対象事業の価値が経済全体の変動に相関してどのくらい変動するか、というUndiversifiable Risk(Systematic Risk)のみを反映します。
対象事業特有のリスク、すなわちDiversifiable Riskは、割引率ではなく、分子のキャッシュフローの方に織り込むべき、というのがCAPMの教え。

「あなたの事業がパキスタン政府にいぢめられちゃうリスク」というのは、世界経済全体の動きとほとんど(まったく)相関がありませんよね。なので、これはDiversifiable Risk。つまり、投資家が世界中に分散投資を行えば、パキスタンのカントリー・リスクは最小化できちゃうわけです。


そうすると、カントリー・リスクは、キャッシュフローに反映すべき

つまり、税金が突然めちゃくちゃ上がった場合のキャッシュフロー予測、賄賂を払わなきゃならない場合のキャッシュフロー予測などをシナリオごとに計算をして、それぞれのシナリオが起こる確率で加重平均して、カントリー・リスクを織り込んだキャッシュフローを算出しようぜ、ということになります。

かなり、めんどくさいですけどね。。。

でも、「アブナイ」感じを割引率にエイヤッと織り込んじゃうよりも、現実にこの国でどんなヤバい出来事が起こりそうか、ということを緻密に考えてみることも、途上国投資では大事なのでは? 


ここは、教授と完全に意見が合致。

 

最後に、カントリー・リスクやその他途上国に関わるめくるめくリスクを、全部割引率に織り込む超複雑な計算方法を編み出したアメリカの電力会社の財務部のおじさんのビデオを見て、みんなで「He is totally wrong!  あはは」とバカにする、というシュールなイベントで幕を閉じました。。。
ちょっとおかま風で優しい教授なのかと思いきや、地味に性格悪いです。。。






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Last updated  October 17, 2007 10:44:10 AM



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