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カテゴリ:短歌・俳句・川柳・都々逸
日が暮れ、桜の花びらだけが、月に照らされた闇が拡がる。酔いが回ってきた。足を縺れさせ、墓石に小便を垂れる。 井月は、『無能の人』(つげ義春)の中で知った俳人である。とぼとぼ、ぐつぐつ、ひょろひゅろ、伊那谷を流浪徘徊した俳人井月、出自没却一切語らず、襤褸纏い、酒に溺れ、糞尿に塗れ、野垂死にした男。 -寝て起きて又のむ酒や花心- 井月 -今は世に拾う人なき落栗のくちはてよとや雨のふるらん- 井月 机の上に置かれた一冊の文庫本、友人の丸谷が読みかけの本だった。ちらっと眼を通すつもりが泥沼に引き込まれるように、ずぶずぶと暗い穴の中に引き込まれてしまった。 -咳をしても一人- 放哉 -いれものがない両手でうける- 放哉 捨てきれずに、だらだらと寿命を費やしているだけの男の句 -咲きそびれ 桜蕾に 月の声- 退月 -ぼちぼち(墓地墓地)と、洒落てみる花 帰ろかな- 退月 退月とは男の俳号である 作:朽木一空 ※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。 またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.05.12 11:15:00
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