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テーマ:暮らしを楽しむ(387795)
カテゴリ:みつめるもの
とってもいいタイミングで素晴しい本と出会いました。この時期・・・ベストです 「西の魔女が死んだ」<梨木香歩> 以前から評判の高い子供向けのファンタジーで、小学校の先生をしている友人からもすすめられてずっと気になっていたものでした。 昨日ふらっと寄った本屋で目が合い、あ。読む時期がきたなと、素直に手に取りました。 中学に上がってから学校に行けなくなった主人公のまいが、田舎のおばあちゃんの家でしばらく暮らすことになります。そんな短い間の2人の交流と暮らしぶりを描写した物語です。 おばあちゃんは、西の魔女。とは言っても別に魔術を使う訳ではありません。魔女が生きていく中で、本当に大切な大切な基本をまいに伝えます。それは魔女だけではなく、私たちすべてに送られたさわやかな初夏の風のような伝言でもありました。 魔女の超能力を身につけるために、どんな努力をしたらいいのか聞くまいに、おばあちゃんは言います。精神力をつけるための基礎トレーニングが必要と。 まい「精神力って根性みたいなもの?」 おばあちゃん「根性と言う言葉は、やみくもにがんばるっていう感じがしますね。おばあちゃんの言う精神力って言うのは、正しい方向をきちんとキャッチするアンテナをしっかりと立てて、身体と心がそれをしっかり受け止めるっていう感じですね」 そして、わざと冗談めかして言います。 この世には悪魔がたくさんいて、意識が朦朧とした時や精神力の弱い人を乗っ取ろうとする、と。不安になったまいが、本当に悪魔はいるの?と聞くと即座に 「います」 そして「でも精神さえ鍛えれば大丈夫」とニヤリ。どうやって鍛えるの?と聞くまいへの答えが素晴らしいものでした 「まず、早寝早起き。食事をしっかりとり、よく運動し、規則正しい生活をする」 ・・・これには大爆笑のけぞりました。ナイスそしてしばらく笑った後に・・・本当にそうだなぁ、と気づきました。 その後に、意志の力、自分で決める力、それをやり遂げる力、と続きますが、私には規則正しい生活がすべての基礎になること・・・すこん!と入ってきました。 それはきっと「リズム」を奏でること。 例えば、一日がお日様の夜明けから始まって午前中のきりっとした空気を過ぎ、お昼をすぎてまったりの午後となって夕方を迎え、すべてが休みの夜に入る一日のリズム、朔日から約29日周期の月の満ち欠けが見せてくれる一月のリズム、そして春夏秋冬の一年のリズムなど、世界にはそれぞれのリズムが満ちていて、それに生きとし生けるものすべてのリズムが鼓動として波動としてからみ合い、和音となってさざめく響き合いの星が地球なのかもしれません。 その中で、リズムを奏でること。自分の音、自分の鼓動、自分のもつリズム。どんどん変化していく世界の中で、基本のリズムを維持することの大切さ。感じます 昔からうっとおしい大人の説教のイメージの代表としてあった、「早寝早起き規則正しい生活」が魔女になるための基本だなんて・・・思いこみがさらさらと崩れていきます気持ちいいです 他、どきっとする言葉がちりばめられています。 「(略)自分で見ようとしないのに何かが見えたり、聞こえたりするのはとても危険ですし、(略)一流の魔女にあるまじきことです」 「よく訓練された魔女にはそういうことはありません。見たいと思うものが見えるし、聞きたいと思うことが聞こえる。物事の流れに沿った正しい願いが光となって実現していく。それは素晴らしいちからです」 「(略)魔女は自分の直観を大事にしなければなりません。でもその直観に取りつかれてはなりません。そうなると、それはもう、激しい思い込み、妄想となって、その人自身を支配してしまうのです。直観は直観として、心のどこかにしまっておきなさい。そのうち、それが真実であるかどうか分かるときがくるでしょう・・」 そして、クラスで全員からのいじめにあって学校に行けなくなったまいが自分を振り返り語る場面も胸にしみます。 やはり自分も弱かった、一匹狼の強さを養うか群れで生きる楽さを選ぶかが必要だったのでは・・と自省するまいに、西の魔女は言います 「その時々で決めたらどうですか。自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。サボテンは水中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きる方を選んだからといって、誰がシロクマを責めますか」 ・・・これは、まいだけでなく、私の中にも一筋の風がすうっと入ったような言葉でした こんなことを、身近な大好きな大人から言われたらそれだけで元気が出て生きる力が湧いてきます すでにどっぷり大人になっていて、息子に「早寝早起き規則正しい生活!」と言い続けている私にもあたたかなものを届けてくれた本でした。 さて・・・今日の私は早起きなのでしょうか お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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