最果てのパラディンI 死者の街の少年 と同じ作者の小説なんですけど、描かれてる世界観が全然違ったファンタジーで面白かったです。
アルカディア=ガーデン I
~Age of heaveN~
柳野かなた
「理想郷」Project
アルカディア=ガーデン I ~Age of heaveN~ オーバーラップ文庫
柳野かなた「理想郷」Project
最果てのパラディンは
これぞファンタジー!!
という内容で面白かったんですけど、今回のアルカディア=ガーデンは機械文明と魔法文明が融合したような世界観。
どこかで見た、どこかで聞いたようなファンタジーではよくある世界観ですが、面白くて人気があるからこそよくある設定になるわけで、そういう設定を使いつつ面白い作品にできるかどうかは作者次第ですよね。
で、この本なんですけど結論を簡潔に述べると面白かったです。
最果てのパラディンが予想以上に面白かったので期待はしてたんですけど、その期待を裏切られることなく面白く読めました。
主人公・グレイは冒険者で少しというかけっこう陰のある性格。
良い具合に捻くれてます。
不快な性格の主人公(テ○ルズのルークのような。今期アニメだと聖戦ケル○ロスのヒイロみたいな。)ってたまにいますが、グレイはそんなことはなく何故に自虐的なのか?読み進んでいくうちにその理由もわかりました。
ま~歪んでるのは歪んでるので読みながら突っ込み入れたくなるような場面はありましたけど。
物語の舞台となる空中都市の世界をわかりやすく描きつつ冒険者であるグレイと仲間のスリヤ(妖精族)の日常・活躍を面白く読ませてくれます。
後半に大事件勃発で物語が急展開で、そのあたりは無理に詰め込みすぎじゃないのか?って思えるようなところもありました。だから大事件なはずなのにアッサリと事件終了って感は否めません。もう少しページを増やすか上下巻にわけてもよかったような気がするんですよね。
そう思えるぐらいに面白かったってことなんでしょうけど。
物語途中で登場するグレイの幼馴染で神剣の騎士・フェリーシア(表紙絵の少女)がナイス性格の美人キャラなんですけどグレイが歪んだ原因でもあります。
読めばグレイって器が小さい!って感じるかもしれないですけど、そこはまあ普通の人間ならそういうふうに歪んでもしかたがないかなと納得できたりもします。
誰もが大器・英傑・高潔・鬼才に奇才なんてものを持ち合わせてるはずもないですし、そういう人物しか登場しない物語なんてたぶん読んでて面白くないです。
さて、この物語はタイトルに I とあるように続巻が出るであろう終わり方をしてます。キリのいい終わり方ではありましたけど世界には暗雲が立ち込めたままです。
登場した敵との決着もつかないまま。
グレイとスリヤとフェリーシアの関係も今後どうなっていくのか気になるところです。
それにグレイの身に起こった凄まじい変化も、その先どんなことになっていくのか?とか、面白そうなことが残ったままになってるので続巻の発売が楽しみです。
このアルカディア=ガーデンはシェアード・ワールド・ノベルズですから、今後世界観を共有した他の作家の物語も出版されるんだと思います。
それもかなり楽しみです。