期待してる本はできるだけ発売日に買って、そういう本はたいがいが面白いのでその日のうちに読み終えてしまいます。今回のもそういう本です。
魔法科高校の劣等生SS
佐島勤
魔法科高校の劣等生SS 電撃文庫
佐島勤
今回のは本編ではなく短編集です。
二〇九六年全国魔法科高校親善魔法競技会。
本編では描かれなかった九校戦の物語。
読んでみると
「ほうほう、アレはそういうふうになってたのか」
とか
「だから、そういう状態(心情)になってたのか」
とか納得できたり面白かったり。
本編では活躍しなかったキャラも登場して面白行ったら。
まず「竜神の虜」では魔法科高校の劣等生の主人公・司波達也の同級生で古式魔法の名門・吉田家の次男である吉田幹比古が力を失った(スランプに陥った)原因が描かれてました。
そのあたりはアニメでも本編小説でも触れられてなかった部分ですから、かなり興味深く面白かったです。幹比古って地味めなキャラですから、魔法科高校ファンの中でどれぐらいの人気があるのか?とかちょっと気になります。
古式魔法、陰陽道や精霊魔法って普通のファンタジーではいかにもって雰囲気をまとった物語の中に登場・活躍したりしますが魔法科高校の世界の中では魔法の一種でしかないので変に仰々しくないのも面白いところだなと思います。
「ショットガン!」は明智英美(エイミィ)と今回初登場の国東久美子(クーちゃん)がペアを組んで九校戦でロア・アンド・ガンナーで活躍する話で、三校の吉祥寺真紅郎の得意魔法インビジブル・ブリッドを達也が改良し散弾タイプにして真紅郎を含め関係者を驚愕させつつ国東久美子の面白い性格がアジを出してる話でした。作者いわく性格設定で迷走したらしいです。
「一人でできるのに」は北山雫と千代田花音がペアを組んでアイス・ピラーズ・ブレイクで優勝するまでの話。花音の婚約者・五十里啓に対するところかまわずなイチャコラな態度と我儘というか大雑把というかそういう性格は読んでて好感は持てないですが、そういうキャラもいないと話が盛り上がらないんですよね。しかし北山雫は良いキャラだと思います。個人的にはかなり好感度高いです。できればもっと活躍シーンを読んでみたいところです。
あと気に入ってるのは七草真由美でしょうか。
アニメは中の人の声との相性も良く魅力のあるキャラになってました。
原作小説でも活躍しまくりで、今後も面白い展開を期待してしまうキャラです。
「目立とうミッション」は達也の再従妹で双子の姉・黒羽亜夜子と双子の弟・黒羽文弥(再従弟)の九校戦での活躍を描いた短編です。ところで双子で同姓だと二人まとめて再従妹でいいと思うんですけど、双子で異性の場合はどう書けばいいんでしょうかね~?再従妹弟?難しいです。
二人とも四葉の分家「黒羽」の人間ですから優秀でないはずがない。
四葉家当主・真夜の意向により実力を発揮して九校戦で大活躍。
その裏側の事情が詳しく描かれてます。
こういうふうに本編を補完する物語ってたまらなく面白いです。
亜夜子の達也に対する想いのいじらしさもタマランです。
しかし、本編を読んでない人が読んでも面白さが十分に伝わらないような気がします。それはこういう作品の宿命でしょうけど。
「薔薇の誘惑」は表紙絵にもなってる千葉エリカと西城レオンハルトを中心にした物語で二人ともに縁があるドイツの魔法工学機器メーカー「ローゼン・マギクラフト」が絡んできます。エリカの祖父の実家でレオの祖父であるゲオルグ=オストブルグ(調整体魔法師「ブルク・フォルゲ」)を作った企業でもある。それだけでなくエリカとレオの祖父同士の縁とか、そこから続く因縁とか本編以外でもこんな事件が起こってたのかとファンなら知れば納得、知らないと損するぜ!ってぐらいの物語でした。
本編が面白いので短編集も面白いったらありゃしない。
作者スゲーって心の底から思います。
やっぱり面白い物語を描く人って何を書いても面白いなと。
短編集って物足りなかったり残念だったりすることがけっこうあるんですけど、そういうのを感じさせないのは作家の力ですよね~。
ということで、同じ作者が描く別の物語「ドウルマスターズ」もかなり気になってます。まだ小説は3巻までしか出てないので今なら簡単にそろえることもできますし、近いうちに買ってしまいそうです。
今回は巻末に次巻発売予定日とか載ってなかったので次の本はいつぐらいに発売になるのかは不明ですがコマメに出版社サイトをチェックしてるので買い逃すことだけはないだろうなと。
あと今日は楽しみにしてた 「だがしかし」 の新刊を帰宅時に買ってきました。
感想はまた後日にでも書いてみたいです。