この本は
面白いです!
あくまでも個人的な感想ですけど。
上倉家のあやかし同居人
~見習い鍵守と、ふしぎの蔵のつくも神~
梅谷百
上倉家のあやかし同居人 ~見習い鍵守と、ふしぎの蔵のつくも神~ メディアワークス文庫
梅谷百
まずタイトルに興味を惹かれました。
好きなんですよね~ あやかし って。
しかも同居人。
そして ふしぎの蔵のつくも神 って何?
と、まあタイトルだけでかなり想像してしまうわけです。
しかも表紙絵がかなり好み。
Minoruって人らしいです。
なんだか見覚えがある画風だな~と調べてみたら書店で見かけた本の表紙が何個か出てきました。けっこう活躍されてるらしいです。
本の帯には
ふしぎの蔵には
恋あり、涙あり、謎あり!
時代錯誤で愉快な つくも神 たちとのにぎやかほんわか同居生活
とあり、重く暗い内容ではなさそうなのが容易に想像できます。
名作といわれてるような本でも鬱展開ってどうにも苦手なので、そういうのは極力避けてます。読むなら明るく楽しく幸せなのがいいです。
で、内容なんですが主人公は東京から父親の田舎に引っ越してきた女子高生(表紙絵の)結花です。東京で人間関係で心に傷を負い、田舎に越したはいいがその傷は癒えないまま。
父親の実家は地元では有名な家で、一昔前なら地域一体の有力者で今でも近隣地域での影響力は凄まじい。その家に越してきてすぐに蚊に悩まされ、蔵にある蚊帳を探しに行ったところから物語りは始まります。
蔵で動く黒い物体...
ゴキブリかと思ったら会話する たわし(たわしの伝兵衛) でした。
父親の実家である上倉家の蔵では百年経たずに道具が付喪神に変化するという特殊な環境が存在し、しかもさらにそこから長い年月を経た付喪神は人の姿に変化するという妖怪モノ好きには タマラン! 設定になってました。
ちなみに付喪神は
日本に伝わる、長い年月を経た道具などに神や精霊(霊魂)などが宿ったものである。人をたぶらかすとされた。また、『伊勢物語』の古注釈書である『伊勢物語抄』(冷泉家流伊勢抄)では、『陰陽記』にある説として百年生きた狐狸などが変化したものを「つくもがみ」としている。現代では九十九神と表記されることもある。
小松和彦によれば、器物が化けた妖怪の総称としての「つくも神」は中世に最も流布したものであり、近世には衰退した観念であった。幕末になり浮世絵の題材として器物の妖怪は再浮上したものの、それは「つくも神」の背景にあった信仰とは切り離された表現だったと小松は考察している。
(Wikipediaより抜粋)
というような妖怪です。
あと説明にある小松和彦さんは
文化人類学者、民俗学者。国際日本文化研究センター所長。シューレ大学アドバイザー。口承文芸論、妖怪論、シャーマニズム、民間信仰などを研究。
(Wikipediaより抜粋)
というような荒俣宏もビックリな人です。
さて作中には多数の付喪神が登場し、その中でも存在感抜群なのが表紙絵の着物の男・蘇芳です。良いヤツなのかそうでもないのか妖怪らしい摩訶不思議なやつです。
結花は「鍵守」となり付喪神を統べる存在に。
上倉家に生まれても付喪神が見えるときまったわけではなく、見える人と見えない人が存在します。そして「鍵守」になったからといって幸せなわけでもない。
そいう部分もしっかりと描かれてますが、基本的に物語は明るく面白い青春妖怪物語です。まさに帯に書かれてる謳い文句のとおりに。
恋に関しては結花だけではなく、結花の祖父の恋も、付喪神の恋も描かれてます。基本的に恋愛モノが嫌いな私が読んでも問題なく面白いです。主題が恋愛でないからだとは思いますけど。
感動してホロッとしたり付喪神たちの物語に引き込まれたりで、一気に読み終えてしまうぐらいの面白さ。これは大当たりな本でした。
マニアックに濃い妖怪モノではないので誰が読んでも楽しめるかと思います。
付喪神以外に面白動物も登場します。
あまり内容に触れてもこれから読む人の邪魔になるので今回はこれにて終了。