最近、あやかしモノ の感想を書きましたけど今回は幽霊モノ。
それは似て非なる存在です。
鎌倉不動産のあやかし物件
安東あや
鎌倉不動産のあやかし物件 メディアワークス文庫
安東あや
あやかしモノといえばどこか愉快だったりひょうけてたりするイメージもあるんですけど、幽霊って暗く悲しいってイメージが付き纏います。あと怖いとか。
ホラーなんかも読みますが、好んで読むかといわれればそうでもない。
好きな作家が書いてたら読む。
その程度の付き合いです。
妖怪モノは大好物なんですけど、いかにもってホラー作品ってあまり読んでない気がします。有名なのは読んでみたりはしますが、読んでみて面白いと感じたのは少ないです。
好きな作家だと高橋克彦の記憶シリーズや蒼夜叉シリーズ、今邑彩の蛇神シリーズは面白かったです。純粋なホラーかといわれればそうでもない気もしますが。
さて今回の本ですけど、幽霊は登場しますがホラーではありません。
表紙絵に描かれてる女子大生と青年の物語。
舞台は現在日本の鎌倉です。
鎌倉ってTVで目にするだけで行ったこともないので、どんな場所なのか?全然わからないですが、物語に描かれてる世界は独特な雰囲気の漂う良い街です。
主人公・紺野清花は夢に破れ目的を失い何者にもなれないままの生活を送ってます。破れたとしても夢があってそれに向って生きた経験があるだけでも凄いことだとは思うんですけど、そういうのがないままに現在に至ってる私には想像でしか理解できない部分だったりはします。
そういうのってどうにも読んでて感情移入しにくいです。
まあ読んで読後感が良いというか、全体的に面白ければそれでOKなんですけどね~。
鬱々とした日々をすごしてる清花は母に誘われ鎌倉の老舗不動産屋の豪邸を訪れます。
そこで出会ったのが不動産屋の末息子で見目麗しい最上雅秋です。
でも雅秋は無色で基本的に引きこもりです。そして読書家です。
両人の知らぬ間に母親同士の間で見合い話が進んでたらしく二人とも複雑な気分に。
お宅訪問という口実のもとに初対面。
そのときに事件は起こります。
清香が幽体離脱を経験して自分の体に戻れずに困ってると、霊が見える体質だった雅秋がそれを助けます。事なきを得た清花ですが、またすぐに幽体離脱。
突然に特異体質になってしまいました。
自力では戻ることもできず困ったことになりましたが、雅秋の母・貴子の提案で雅秋の住む北鎌倉の一軒家で同棲することに。なにかあってもすぐに助けられるようにってことなんですけど、二人をくっつけようとする思惑がスケスケです。
しかし、そこに悪意というか腹黒さがまったくないので読んでて面白さしか感じないです。
で、二人で過ごしながら雅秋の能力を生かすために貴子が持ってきた 訳あり物件 の問題解決に奔走します。そこで雅秋が引きこもりがちになった過去の事件なんかも明かされ二人の関係にも徐々に変化が。
それがどんな人物がかかわったどんな事件なのか?訳あり物件の幽霊にどんな物語があるのか?そのあたりが読んで面白い部分なので書いてしまっては意味がない。ということで触れずに感想を終わりたいと思います。
幽霊モノですがホラーではなく登場人物も魅力的で面白い本でした。