最果てのパラディンI 死者の街の少年
最果てのパラディンII 獣の森の射手
の続きです。
最果てのパラディンIII
鉄錆の山の王 上・下巻
柳野かなた
最果てのパラディンIII 鉄錆の山の王 上・下巻 オーバーラップ文庫
柳野かなた
前巻でタイトルどおりの最果ての聖騎士となったウィルはファンタジー作品に相応しく多難に見舞われます。しかしそれでこそ冒険譚というか、昔からの英雄譚にもあるように勇者は数々の冒険をこなし成長し成功するっていうのがやっぱり面白いです。
しかも今回は上下巻にわかれる長編であるというのが素晴らしい!
面白い物語はできるだけ長く堪能してたいです。
今回は森の異常から始まり、ファンタジーではテッパンキャラのドワーフの登場&活躍。そして竜との戦い。もうタマラン要素がタップリです。
須佐之男(八岐大蛇は蛇ですけど似たようなもんんなのでまあいいかなと竜と蛇は近い関係にありますし。竜と龍の違いなんてものも面白いですけど話が大脱線するので今回は割愛)にベオウルフにジークフリートにゲオルギウスなどなど古今東西竜と勇者の戦いってのは血湧き肉踊るものですが、今回の物語もなかなかのものでした。
竜なんて神に近い存在を倒すのが簡単であるはずもなく、当然ながらの苦戦苦闘で愛槍・おぼろ月(ペイルムーン)を失い、仲間や神の助力を受けながら辛勝。
その戦いの中でウィルはそれまでも人間離れした強さだったのに、竜に勝ったことで竜の呪いともいえるぐらいの新たな力を得てしまいました。
それは有名な英雄叙事詩・ニーベルンゲンの歌のジークフリートにもみられることです。
生半可な攻撃が無効になるような身体になったウィルが今後どんな活躍をみせるのか?それは非情に興味をそそられるところです。
さて、この物語は今時の作品にしては女性キャラが物凄く少ないんですけど、今回新しくエルフの女性・ディネリンドが登場。しかしながらウィルと良い関係になることなく仲間のネメルとカップル成立!ってことになりそうです。
基本的に男臭い物語です。
が、それが良い!
萌えなんてものは一切存在しないですが昔ながらの武器と魔法の物語の魅力が存分に詰め込まれた物語になってます。
でも、さすがにウィルにも相応の女性キャラが登場してもいいんじゃねぇーの?って思わなくもないです。そのほうが話も盛り上がりそうですし。
今回、ウィルの信仰する灯火の神グレイスフィールと姉妹神だと判明した不死神スタグネイトがウィルをいろんな意味で愛してるのは判明したので、もしかしたら面白いカップル成立!ってこともなくもないのかなと。
そして神話ではお馴染みの半神半人なんてキャラも今後登場するかもなーとなんとなく。
愛槍・おぼろ月(ペイルムーン)を失ったウィルですが、新たにドワーフ王の黄金の剣・夜明けを呼ぶもの(コールドウン)を佩き竜の力も得て
もはや無敵じゃねーか?
ってことになってますが、さらなる艱難辛苦難敵強敵の登場を期待せずにはいられないです。