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真理を求めて

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2012.01.07
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暮れから正月にかけて時間があったので、撮りためていた映画を幾つか見た。その中で「悲しみは空の彼方に」という映画に非常に感動した。最近の日本映画では、泣けるということが重要な要素になっているようだが、どうも無理矢理感動を演出したようなお涙ちょうだいのドラマのようなものを感じる。しかし、この映画は本当の感動を呼ぶもののように感じた。

ストーリーを語るとネタバレになってしまうのだが、主役を演じるのはラナ・ターナーが演じるとびっきりの美人の未亡人だ。彼女は女優としての実力はあるものの無名のためにくすぶっていたが、あるチャンスをものにして大スターになると言うものだ。これだけなら、ハリウッド映画によくある成功物語なのだが、表向きのこのストーリーに沿って展開される日常のエピソードが素晴らしい。

主人公のローラは、夫に先立たれて幼い娘と二人で暮らしていたが、ひょんな事から同じような境遇にあるアニーという黒人の母親と巡り会う。アニーは白人である夫に捨てられて独り身になっていたようだが、住む家もなく途方に暮れていた。最初は同情からアニーを家に泊めたローラも、アニーがなくてはならない存在へとなっていく。

最も感動したのは、このアニーという人物の描き方だ。これほど思慮深く、しかも他者に対して暖かみのある人間はいないと感じられる。ローラがくじけずに頑張ることが出来るのも、すべてアニーが支えていたからだと思える。何もかも包み込んでいやしてくれるという姿は、母として理想の姿であるとともに、キリストのイメージすら感じさせるようなものだった。

だが、皮肉なことにこのアニーの素晴らしさが、自分の娘にだけは伝わらない。それは娘のサラジェーンが、黒人でありながら白い肌を持っていて、白人のように生きようとしていたことと関係がある。母親としてのアニーを評価する以前に、黒人であると言うことのマイナス面が、サラジェーンにとっては最も大きかったからだ。

アニーの素晴らしさを語るだけでは、この映画の感動はそれほど大きなものにはならなかっただろう。サラジェーンの苦悩と、それが与えるアニーの苦悩の大きさが、我々を社会の不条理に気づかせる。これほど素晴らしい人たちがなぜ不幸になるのか、という不条理に。

アニーの死によってサラジェーンは自分の間違いを悟って、正しさが取り戻されたようにも感じるが、サラジェーンとアニーを苦しめた不条理は何もなくなっていない。その余韻を残したラストシーンは、この映画が単なるメロドラマやスターの成功物語ではないことを物語っている。

この映画は実に多くのことを教えてくれる。スターとして成功しながらも、家族としての絆がもろいことに、どこかで幸せ感が薄いことに気づく主人公がいる。もしアニーという存在がいなかったら、この家族は表面的な豊かさにもかかわらず幸せにはなれなかっただろうと感じる。人間にとって最も大事なものは、最後は心の通い合う人々が周りにいると言うことだと言うことをこの映画は教える。去年の日本の漢字は「絆」だったが、絆の本当の意味をこの映画が教えているように感じた。

アニーは思いやりの深い人物だ。小さな事に幸せを感じ、少しも欲深いところを感じさせない。不幸なこともあったけれど、その不幸を決して人のせいにしなかった。娘が自分の元を離れたのも、娘個人のせいではなく、社会の構造(人種偏見)の故だと言うことを理解していた。これだけ理想的な人物であるのに、どこかにいそうに感じさせてくれるリアリティが素晴らしい。演技と演出の素晴らしさがあるのだろうと思う。この映画は、僕にとってはアニーこそが主人公だった。





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最終更新日  2012.01.07 14:29:55
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