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真理を求めて

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2012.04.03
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「自立とは依存のことだ」というのは、言葉の意味では逆説的で矛盾していることを言っているように感じる。反対の意味のように見えるからだ。しかし僕は、安冨さんの本を読む前から、何となくそのようなイメージを持っていたので、安冨さんの主張をすんなりと受け入れることが出来た。安冨さんの説明も極めて論理的ですっきりしているし。

自立が依存であるというのは、僕の尊敬する三浦つとむさんが、人間は他者の労働を受け入れなければ生きていくことが出来ない、ということを人間社会の原理として語っていたことからそのようなイメージを持っていた。人間は労働によってお互いを作り合う。マルクス主義の人間論として労働生産物を消費することによって人間そのものが生産されるという「生活の生産」について三浦さんは語っていた。他者の労働生産物を受け取らない限り生活は生産できず人間は生きていくことが出来ない。

自立と言うことが、他者に全く関係なく生きることではないというのは自明なことのようにも僕は思っていた。しかしそれを依存と捉えるのはなかなか難しいかもしれない。僕が働いていた肢体不自由児の養護学校では、他者の手を借りずに日常生活の細々したことが出来るようになることを「自立」と呼んでいたから。誰かの手を借りるのは依存であり、それは自立していないものとして考えられていた。

そのことを変だと思ったのは、当時千葉敦子さんという乳がんで亡くなった国際ジャーナリストの本を読んでいたときだった。千葉さんは四肢の麻痺がある箙田鶴子さんとの共著で『いのちの手紙』という本を書いていた。この中で、しばしば障害者が介助を受けることを論じていた。

それは何かを手伝ってもらうというのではなく、介助されることが生活の一部として組み込まれているのであって、依存というような誰かにもたれかかっている状態ではないと言うことが論じられていた。当たり前の前提として考えなければならないことだと。この頃は、まだ依存という言葉に悪いイメージがついていたので、依存ではないと言うことを語っていたように受け取っていたと思うが、実は依存というものがもたれかかるのではなく、信頼を基礎にした助け合いなのだと理解すると、千葉さんたちも、正しい依存について議論していたように感じる。

依存というものを、誰にも頼らずにすべて自分でやることだと考えると、実は大きな落とし穴があるのを指摘しているのが安冨さんのこの本の第一章のような気がする。三浦さんも語るように、人間が社会で生きていくというのは相互に依存し合うことを原理としている。それなのに誰にも依存しないで生きようとすると、どこかで自分をごまかさないとならない。

誰にも依存しない状態がいいもので、依存しないことが自立として推奨されると考えるとそうでないときに後ろめたいものを感じる。そのような後ろめたさが負い目になり、実は依存せざるを得ない人がいたときに、その依存が必要以上に重いものになり、単に寄りかかるのではなく支配されるという関係にまで進む恐れがある。他の誰にも依存できず、その人間だけに依存するという関係を築けば、その依存がなくなったときの恐怖と不安によって、その依存している相手の支配を受けずにはいられなくなる。この指摘は深い共感を感じるもので、しかも他の誰も明確な形では指摘してこなかったもののように感じた。安冨さんの視点と考察のすごさを感じるところだ。

依存というイメージを、手垢のついたものではなく新しい概念として捉えると、相手への信頼が基礎になった関係で、援助を得ることに対して負い目を感じることなく、自分が困ったときは助けてもらうし、相手が困ったときは逆にこちらが助けると言うことを、何の疚しさも計算もなく素直に出来ること、というように言い換えられる。これこそが正しい依存だ。

このように依存を新しいイメージで捉えると、依存する相手が増えるほど、自分の感覚に素直に行動できるようになり、自由を感じることが出来る。それが自立というものにつながるのではないか。自分を正直に出せるような人間こそが主体的に生きることが出来る。

「あんたは。私の言うことだけ聞いていればいいのよ」という言葉は、依存を寄りかかりのものにさせ自立を阻む。このような依存しかなければ人間は自立が出来ない。だが、このような支配を受けている人間は多い。僕がこの本を読ませたいと思った友人も、子供時代のトラウマによって、このような言葉に支配されているのではないかと言うことを感じさせる。この本によって真の依存と自立を発見して欲しいと思う。





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最終更新日  2012.04.03 20:24:05
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