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邦画(08)

2018年10月30日
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カテゴリ:邦画(08)


(C)2003 WOWOW INC
「センセイの鞄」(Amazonプライムビデオで鑑賞)
月子(小泉今日子)は37歳でひとり暮らし。ひとり美味しいツマミと日本酒を楽しむマイペースな女性。ある日、行きつけの居酒屋で声をかけてきた初老の男性(柄本明)、それは高校時代の国語の担任だった。歳の差30以上、でも酒の肴の好み、人との距離の取り方、頑固な性格、よく似た2人はしばしば共に時を過ごすようになる。そしていつしか月子の中には、「センセイ」へのおさえがたい愛情が芽生えていた…。
2003年作品。
監督 久世光彦  
主演
小泉今日子, 柄本明, 豊原功補  
助演俳優
モト冬樹, 竹中直人, 木内みどり, 樹木希林  
(感想)
出逢って二年間でゆっくりと恋愛感情が芽生え、三年間でゆっくりと恋人まで昇華する。樹木希林がほとんど老けメイクなしに男の元妻を演じ、柄本明の妻が死亡した次の日に観終えた。加藤治子が思いもかけず若く、やる気のない宿の女将ながら二人の関係に興味津々な様を演じる。何か、運命のモノのようなものを感じる鑑賞でした。15年前のこの作品で小泉今日子は等身大の女を演じ、センセイと死に別れて以降、15年後には今の小泉になっているだろうなと自然と思わせる演技をして絶品である。
映画作品でも全然おかしくない。
37歳の女性とおそらく70歳くらいの男との恋愛はこんな純情なものになりうると思わせる、いい作品だった。






最終更新日  2018年10月30日 07時25分29秒
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2008年12月31日
カテゴリ:邦画(08)
こんな映画作りも出来るんだ、感心した。
監督 : 前田哲
脚本 : 小林弘利
原案 : 黒田恭史
出演 : 妻夫木聡 、 原田美枝子 、 大杉漣 、 田畑智子 、 池田成志 、 戸田菜穂

1006656_01.jpg
4月、6年2組の先生は宣言する。「この教室で豚を飼って、みんなで食おうと思います」26人の子供たちは(最近の小学生って、26人学級なんですか?私のときは45人学級だったような‥‥‥)最後の『食う』というところをどれだけ重く受け止めたのかわからないが、「かわいー!」の一点で団結してその提案に乗る。

どこまでプロットか、どこまでドキュメンタリーなのかわからない。当初はもっとドラマを想定していたのかもしれない。けれども途中で、うまくなじめない転校生のことや、PTAの苦情や、女の子のPちゃん連れ去り事件などが起きるけれども、さらっと流れて盛り上がらない。転校生の女の子は唯一の演技経験者のように思えるが、途中から全く1/26として扱っている。むしろ26人の中で存在感を浮かび上がらせるのは、他の子供たちなのであった。

卒業まで150日をきったある日、Pちゃんをどうするのか、学級会議が開かれる。子供たちに渡された脚本は、結論を自分たちで決めろ、というものだったという。非常に質の高い民主的な議論が始まる。何が質が高いのか。彼らの理論か。いや、違う。感情の堂々巡りをしていたと思う。あまつさえ場外乱闘さえ始まった。しかし凄いのは一人ひとりが立派な『自分自身の意見を持っていてそれをきちんと表明できた」ということだ。先生はその間ずっと黙っていた。先生は途中でコメントを出すけど、それで教室の空気は動いたりはしない。

映画を観る前、私は結論を持って臨んでいた。
一応言っておくと、「食べるべきではない」ということだった。確かに、人は豚肉を食べて生きている。けれども予告を見る限りでは、あれは豚肉ではない。ペットだ。ペットは食べることはできないだろう。

終わってみていえるのは、私の事前の考えは26人が真剣に考えた経過にはとうてい及ばなかった。ということだ。

私の同僚の女性は「今年のベスト映画だ」と言っていた。彼女は「食べるべきだ」という意見です。大人の議論をしばらくしましたが、『難しいね』ということで終わってしまいました。子供たちはやはり難しい課題に取り組んだのです。

彼女の言うには、最後の決を採ったときに、実はあの男の子は『殺さない』派に変わっていたのではないか、という意見でした。その可能性はあります。でも、じゃあ誰が『殺す』派に?

これは食育、だけの映画ではない。
日本では大変遅れていて、世界では常識となっている教育、自分で考える力をつける、という教育である。『人間は何のために生きているの?』と問わずにはいられない映画である。

さて、今年はこれで映画は見納め。
日比谷の派遣村の様子
17時30分から夕食はじまりました。
力そば、バナナ、かやくご飯に長蛇の列。
ただいま入村者約120、相談件数30。やはり状況を反映した様相であります。
明日の朝食は9時からの予定です
2008年12月31日(水) 17:46 JST


年の瀬に私の方はやっとゆっくりしました。(掃除できなかった !)
お昼は水島喜楽園でラーメン。ずっと280円(税抜き)を守っていたのに、340円(税抜き)に値上げしていた。けれどもいつものようにこってり、チャーシューも三枚の美味しいラーメンで、ごった返していました。






最終更新日  2008年12月31日 19時50分08秒
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2008年12月26日
カテゴリ:邦画(08)
これは良家の子女の嗜みですのよ

監督・脚本 : 佐藤嗣麻子
出演 : 金城武 、 松たか子 、 仲村トオル 、 國村隼 、 高島礼子
002怪人二十面相.jpg
(goo映画より)北村想原作の同名の小説を20年の構想期間を経て映画化。第2次世界大戦を回避した架空の日本を舞台に、富める者から金品を奪う怪人20面相の正体を明かしていく。名探偵、明智小五郎(仲村トオル)は、サーカスの曲芸師、平吉(金城武)を<K-20>だと疑い、捜査するが‥‥‥。

当たりでした。エンタメですが、手を抜かずに細かいところに拘っているし、格差社会でヒーローはいかにあるべきか、楽天的に答えを出していて、とても気持がいい。

例えば、戦後すぐのバラック小屋がVFXが駆使されていて、違和感なく再現されている。懐かしいような雰囲気を出すとともに、変なところで現代的な部分もある。赤くない東京タワー、バベルの塔の日本版ともいうべき羽柴ビルの建たずまい、1949年という設定ながらも戦争がなかったためか、車の交通量は多いし、無線通信機も発達している。「三丁目の夕日」で培われた技術と職人魂をふんだんに使っていい背景を作っていた。

松たか子がいい。華族ながらも、羽ばたく直前のおてんば娘を演じていて、現在の彼女のキャリアに合ったいいキャスティングだと思う。一方男優陣は國村隼がいい味を出していた。金城武は「リターナー」を思い出す演技。怪人二十面相の正体はそうそうに判ってしまうけど、(えっ、私だけ?)まあそれはお愛嬌。ちゃんと伏線を張っているし、種明かしに無駄な時間は使っていないし、いいテンポで物語が進みます。

「水曜日のシネマ日記」さんが「明るい『ダークナイト』」といっており、全面的に賛成したい。黒ずくめの変装、体重負荷に十分に耐えうる飛ぶための道具立て、主人公と裏表の関係になる展開、そして最後に『ダークナイト(闇の騎士)』として再出発する辺り、もしかして佐藤監督は『ダークナイト』の脚本を見て、この映画の脚本を作ったのではないかと思ったぐらいでした。

ハリウッド版と違って、見たあとに元気になれる映画です。大人独りで見ても楽しいし、家族で見ても大丈夫、正統お正月映画です。






最終更新日  2008年12月28日 12時30分47秒
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2008年12月23日
カテゴリ:邦画(08)
2008年度日本インターネット映画大賞日本映画部門に投票します

 ・選出作品は5本以上10本まで
 ・持ち点合計は30点
 ・1作品に投票できる最大は10点まで
--------------------------------------
『 日本映画用投票フォーマット 』
【作品賞】(5本以上10本まで)
  「 おくりびと     」 5点
  「 ぐるりのこと    」 5点
  「      母べえ 」  4点
  「トウキョウソナタ   」 4点
  「闇の子供たち     」 3点
  「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」 3点
  「 クライマーズ・ハイ 」 2点
  「 歩いても、歩いても 」 2点
  「 釣りバカ日誌19  」 1点
  「    マジックアワー」 1点
【コメント】
   リンク先の記事を見てください
----------------------------------
【監督賞】              作品名
   [     橋口亮輔 ] (「ぐるりのこと 」)
【コメント】
  20世紀から21世紀にかけて、何か課題があったはず。そのヒントがここにあるような気がする。
【主演男優賞】
   [      本木雅弘 ] (「おくりびと」)
【コメント】
  発案と納棺師とチェロへの努力と安定した演技力の総合的評価です
【主演女優賞】
   [    吉永小百合  ] (「 母べえ」)
【コメント】
   どんな年齢の役をしようと、この品の良さは、無くならない。凄いことだ。
【助演男優賞】
   [   該当なし] (「        」)
【助演女優賞】
   [     樹木希林  ] (「歩いても、歩いても」)
【コメント】
    人間歳をとるごとに凄くなる人がいる。
【新人賞】
   [ アヤカ・ウィルソン ] (「バコと魔法の絵本 」)
【コメント】
  あの天真爛漫さがもしかしたら、演技かもしれないと思うと、ぞくぞくする
---------------------------------
【勝手に○×賞】
   [TVドラマ賞] (「風のガーデン」)
【コメント】
  生まれて初めて最初から最後まできちんと見た日本のドラマです。
  すごい演技があります。見てない人は必見。








最終更新日  2008年12月23日 18時32分32秒
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2008年12月20日
カテゴリ:邦画(08)
TVドラマをリアルタイムで最初から最後まで見たのはもしかしたら生まれて初めてかもしれない。HDD録画機のおかげなのであるが、そもそも私は日本のTVドラマや多くのTV番組を日常見ない。そうやって映画と読書の時間を確保してきた。(得たものも大きいが、失った物も幾つかはある)

「風のガーデン」が歴史的な大傑作だとは思わない。幾つかの偶然が重なってこのドラマを見ることが出来たのだ。録画機の購入。主人公と同じすい臓がんで今春父を看取ったこと。倉本「北の国から」のファンだったこと。そして第一回放送直前に緒形拳がガンで死亡し、遺作になったこと。

非常に素晴らしい作品だった。
最初貞美(中井貴一)が余命を知ってほとんど取り乱さなかったことに物足りなさを感じたのは確かだ。重松清の小説では告知前に文字通り身悶えていたし、映画「象の背中」ではトイレの中で身悶えるシーンがある。韓国映画の中では珍しく大げさな表現のない「8月のクリスマス」でも酔いつぶれる場面と、夜中に独り泣く場面がある。貞美は若い恋人茜(平原綾香)を突然抱きしめたくらいで、ほとんど葛藤を見せない。どうやら作者は意図をしてそういう映像を作っていたらしい。父貞三(緒形拳)が息子の余命を知って姉のところに相談に行く。たんたんと話す貞三であるが「私はいま混乱しています」という。説得力のある演技だった。普通ドラマの山場となるようなところを、映像としていつもあっさりと流してしまう。貞美と貞三の森の中での和解の場面がある。どうやらリハーサルなしの一発撮りだったらしい。緒形拳の肩にずっとトンボが止まっていた。なんとも自然で凄い場面だった。

最終回は、貞美が緒形拳に、そして私の父に重なって見えて仕方なかった。泣きはしない。けれども次の日に長いドライブの途中に不覚にも‥‥‥。
「私は娘に何もしてやれなかった」
「これからお前の闘っているさまを娘に見せるのじゃないか」
「‥‥‥そうですね、ホントそうですね」
(この場面、緒形直人なんかはぼろぼろ泣きながら見ていたのではないか)

本当の終末医療をすれば、なくなる一ヶ月前まで娘とバージンロードを歩くことが出来るのか。貞美は麻酔医という設定だったので、そのような展開も受け入れたのではあるが、私の父との比較ではあまりにも違っていて(父は4ヵ月ほんとに苦しんだ)、もう少し研究したい。明日はわが身ではある。

しかし、これが日本のテレビドラマだといっていいのだろうか。
ずっと韓国ドラマを見てきたので、最後の最後まで二転三転のドラマがまるきりなく、むしろ起承承結というドラマの作り方、しかしじっくりと見せる作り方にずっと唸りとおしだった。韓国の人に見せてみたい。どんな反応を示すだろうか。






最終更新日  2008年12月20日 23時47分41秒
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2008年12月17日
カテゴリ:邦画(08)

DVD 震度0(ゼロ)
監督: 水谷俊之
出演: 上川隆也 / 國村隼 / 渡辺いっけい / 西村雅彦 / 余貴美子
映画ではなく、特別ドラマらしい。上川隆也が若手のキャリア警察官を演じる。非常に原作(横山秀夫)に忠実。けれども、原作ではわかりにくかった時系列と人間関係が、映像にするとすっきりした。一方では、胃がいたむような心理合戦は鳴りを潜めた。どちらがいいか。


DVD 長い長い殺人
監督: 麻生学
出演: 長塚京三, 仲村トオル, 谷原章介
原作(宮部みゆき)に忠実。ストーリーとしては、それぞれの登場人物がそれなりに頑張っているし、話は途中で二転三転するし、小説を読むぶんには面白かったのであるが、映像にすると「コレ」というものがなかったのに気がつく。DVDで十分。劇場映画にならなくて良かった。ただ、最後のどんでん返し、そういえば「容疑者Xの献身」でも使われていたよなあ。あの原作がどこかで既視感があったのはコレだったのか。


DVD さよならみどりちゃん
監督 古厩智之
脚本 渡辺千穂
星野真里 西島秀俊 松尾敏伸 岩佐真悠子 諏訪太朗

初めて抱かれた日にゆうこちゃんはユタカから「オレ彼女がいるんだよね、沖縄に‥‥‥」といわれる。「断れない女」ゆうこちゃんに私は心の中でずっと、叫び続ける。(その男はやめとけ‥‥‥)

古厩監督はどうやっらずっと「断れない人間」、優しくて優柔不断なけれども繊細な人間を描いていくのだろう。名作「まぶだち」も「お前のことを思ってやっているんだぞ」と精神的に追い詰める指導を続ける中学教師と生徒の物語だった。最近の「ホームレス中学生」にしても意味のわからない突然のホームレス状態をそのまま受け入れてしまった中学生の物語だった。

断れない状況から、断る勇気まで、自分を主張できる人にはわからない長い長い物語がある。時にはドラマが、時には感動が、時には悲劇があるのだろう。ゆうこちゃんの場合は果たして断ったのだろうか。それは最後のカラオケユーミンの「14番目の月」にすべてが書かれている。

西島秀俊が、自分勝手で、平然と女を自分の思い通りにする、ハンサムな男をうまく演じている。こんな男ならば「蟹工船」の監督浅川も存在感を持って演じることが出来るかもしれない。






最終更新日  2008年12月17日 22時13分04秒
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2008年12月10日
カテゴリ:邦画(08)
とりあえず観たという記録だけ。
監督・脚本 : 河瀬直美
出演 : 長谷川京子 、 グレゴワール・コラン 、 村上淳

カンヌグランプリのご祝儀で好きに撮らせてもらった映画である。「うなぎ」でカンヌを撮ったあとの今村昌平も次の「カンゾー先生」をすぐに撮らせてもらって、イマイチ絞まらないものを作ってしまったが、今度の河瀬直美はそれに輪をかけて「絞まらない」作品を作ってしまった。

もともとドキュメンタリータッチで、どこから芝居でどこから本気かわからないような作品を作るのが得意な作家ではあるが、それでも前作は映像の中に緊張感も、テーマもあった。今回はその両方がない。  まあ、映画鑑賞というのは、こういうこともあります。

(goo映画より)
人生のリセットを求めてタイに着いた日本人女性・彩子が、タクシーに連れて行かれたのはホテルではなく森の中。その川のほとりでフランス人青年グレッグに出会った彩子は、彼が同居するタイ人母子の住む高床式の家に連れて行かれる。言葉も通ぜず、ここがどこかもわからない彩子だが、不安と苛立ちの中でそこで受けた古式マッサージで心の安らぎを得ていく。少しずつ周囲と調和していく彩子は、そこで七つの夜を過ごす






最終更新日  2008年12月10日 23時11分15秒
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2008年12月05日
カテゴリ:邦画(08)
監督 : 福澤克雄
原作 : 加藤哲太郎
脚本 : 橋本忍
出演 : 中居正広 、 仲間由紀恵 、 笑福亭鶴瓶 、 草なぎ剛 、 上川隆也 、 石坂浩二

予告を見る限りでは、スルーするはずの映画だった。膨大な宣伝費にイヤになっただけではなく、中居の演技が、いかにも大仰で、大根演技を見たくなかったからである。けれども、実際に見て、あの演技が大根でないのに驚いた。これだから映画は見てみないとわからない。子供を猫かわいがりするのも、判決を言い渡されたときに全く予想していなかったように驚き、怒るのも、まさに清水豊松と言う、無学で、家族を一人前に養うことだけが夢であった男の半生から来るところなのだ。中居がまさに非常に存在感を持ってそれを演じることが出来たのは、彼の努力ももちろんあるが、やはりキャスティングの妙ともいえる。

仲間由紀恵が、豪雪地帯の中、署名を取りに回るところなんか、憲法署名を取りに行った記憶と重なってつい涙ぐんだりもした。(戸別訪問の署名は本当に大変)

ただ、気になったのは、この映画のテーマがどこら辺りにあったのか、なぜいま「私は貝になりたい」なのか、なのである。どうもしっくりこないのである。

この映画は90歳の御大、脚本家橋本忍のリメイクである。自分の作品には出来るだけ手を加えない主義の橋本がリメイクに踏み切ったのは、映画化当時の黒澤明監督の一言があったからだと言う。「橋本君、あれじゃ貝になれんのじゃないか」と言われたのだ。橋本自身その言葉をどのようにとったのかは明らかになっていない。フランキー堺の前作を見ていないので、私としてはなんともいない。けれども、上告が通って減刑されるとばかり思っていたら突然の「明日処刑になる」と言う宣告。その一日間で、天国から地獄にまっさかさまに落ちたときに書いた遺書で「今度生まれ変わるなら、人間になんかなりたくない。牛か馬か。いやそれでも人間にひどい目にあわされる。いっそ、深い海の底の貝にでも…。貝だったら、兵隊にとられることもない。戦争もない。房江や、健一や直子の事を心配することもない。どうしても生まれ代わらなければならないのなら、私は貝になりたい……」と豊松は書く。

そこで描かれるのは、一人の善良な庶民を襲う「戦争の理不尽さ」であり、その結果としての「絶望感」である。それはよくわかる。しかし、最後に妻にあてた手紙で「戦争もない。房江や、健一や直子の事を心配することもない。」と書いてしまったら、妻はいったいどう思うのだろう。それが第一に気になってしまう。

貝になりたい、といったときに豊松が思ったのは、塩見岬の底に沈む貝のことだったのだろう。豊松と妻が、行く当てもなくさまよって、まさに心中しようとしたときに、思いとどまった岬である。豊松が急に進駐軍に連行され、小便をするために車から降り、ここから飛び降りようかと一瞬逡巡する岬である。映画の中では高知の南端と言うことになっているが(実際は島根の島らしい)、非常に美しい岬である。貝になりたい、と言ったときに、妻にはわかる符丁があったのかもしれない。いつでも故郷に戻っているよ、いつでもあのときの気持にもっどっているよ、そういう符丁があったのかもしれない。豊松の死の知らせが入る直前の希望に燃えた妻の表情で「完」となるのはそのような意図があったからではないか。豊松は決して家族を裏切っていない。ただ、ただ、絶望していただけだと。

それでもこれは残酷な言葉だ。巨匠橋本忍ではあるが、やはりもう少しわかりやすい脚本にして欲しかった。
戦争の残酷さはよくわかった。しかし、ただそれだけの映画である。

あと、これは監督の責任だろうが、俳優たちのセリフがすべて脚本口調になっていた。「そうか、やはり彼が‥‥‥」というように言葉の途中でセリフがつまる場面が異常に多いのだが、俳優たちがことごとくセリフ口調でそれを言うのである。これは大きな減点だった。






最終更新日  2008年12月05日 23時31分47秒
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2008年11月15日
カテゴリ:邦画(08)
「主人は文学者でした」

監督 : 堤幸彦
原作 : 宮崎康平
脚本 : 大石静
出演 : 吉永小百合 、 竹中直人 、 窪塚洋介 、 風間トオル 、 平田満 、 柳原可奈子 、 黒谷友香 、 麻生祐未 、 石橋蓮司 、 ベンガル 、 江守徹 、 大杉漣 、 余貴美子 、 由紀さおり

実はこの夏はひつこいくらい予告が流れていたものだから、刺激されて原作だとされている「まぼろしの邪馬台国」上下巻を買ってしまっている。ところが上巻の途中で、挫折中。自信家で、破天荒なひとだったということは、最初の数ページでわかる。全盲なのに、博識、そしてなおかつ元島原鉄道の社長だったというのだから驚き。もっと学術的な本かと思っていたら、自分の生い立ちや、自分を批判する学者を悪口のいいあいみたいに悪口を言う。全然学術的ではないのである。もちろん、卑弥呼の「ひ」を日と読んだり、火と読んだりせずに、干潟の干と読む件は、さすがに全盲の人が気がつくことだなあ(もちろんそれを実証しているという下巻は読んでいないので、考えの発想の仕方に感心しているのに過ぎないのではあるが)と感心したわけだが、一方では、卑弥呼の時代より五百年後の古事記の記述も、考古学的事実も同等の基礎に置いているのには、ちょっとあきれてしまった。それ以降読む気がうせたのは、そういうわけである。

この映画はだから、邪馬台国島原説を説得力持って描こうとしたものではない。することはとうていできない。

もうちょっと、九州の遺跡をしっかり見せてくれるかと期待していたのだが、残念だった。

あういう男は、好きになれないし、なりたくもないのだが、和子さんが、そういう男にほれていくのは、和子の生い立ちである前段の物語があるから、説得力があった。結局ファーザーコンプレックスだったんですね。だから後半の夫婦愛に説得力がある。夫婦愛としては、成功していたと思う。

それにしても、和子役になぜに吉永小百合?確かに、彼女の演技は説得力がある。けれども、映画の大半はほとんど30歳から48歳にかけての物語である。ほかの女優ではダメだったのか。それほどまでにこの年代の女優の質は枯渇しているのか。もちろんハセキョーや仲間幸恵ではダメである。

吉野ヶ里遺跡を活用した卑弥呼の里の再現場面で、人々は羽織形式の毛皮を来ていたが、いかがなものかと思う。庶民は基本的には、貫頭着(頭のところをくりぬいた着物)だったと思う。また、宮崎が「ここが卑弥呼の墓だ、ここ掘れ」と言っていたところを最後で前方後円墳の形に見せていたが、九州から前方後円墳が始まったと言うのは、明らかな嘘。それに、あの形だとまずい。後期前方後円墳の形である。せめてホタテ形の前方後円墳にしないと卑弥呼の墓にはならない。

結局宮崎康平と言う人は、学者としては後世評価されないと思う。果たして事実かどうかはしらないが、妻和子が葬式の場で、「夫は文学者だった」と言ったのは、非常に正しい評価であった。






最終更新日  2008年11月15日 23時49分11秒
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2008年11月13日
カテゴリ:邦画(08)
ついに「蟹工船」の映画化が決定した。遅きに逸するか、と気をもんでいただけにとりあえずめでたい。監督はSABU。スピード感溢れる展開の「DRIVE ドライブ」のエンタメを作る一方、「疾走」では、地域で疎外された少年と少女の暗い情念と希望を描いた作品も作る。

松田龍平主演で「蟹工船」を映画化

「テーマはきちんと描きますが、説教くさくはしたくない。エンターテインメントで、ポップな『蟹工船』になると思います」と監督は言う。その意気込みやよし。現代で作る以上、明日からの生活のめども立たないのに、インターネットゲームをしながらネットカフェ難民になってしまう若者の現状にあった映画にするべきだろう。

ただ、気をつけて欲しいのは、わかりやすくしようとするのに気を使って、へんな映画にしないで欲しい。「希望を持てない」糞ダメみたいな蟹工船の労働者の気持はきちんとわかった上で映画を作って欲しい。少なくとも俳優たちは綺麗なインターネットカフェに泊まるのではなく、蒲田の1時間100円のインターネットカフェに一晩泊まってほしい。出来たら数日日雇派遣をしてみて欲しい。その上でポップでカルチャーな映画になったらいい。

群像劇だから、俳優は松田龍平だけではないだろう。いろんな男たちをきちんと描き分けてほしい。問題は監督官の浅川である。イメージとしては、西島秀俊ではない。あんなに線が細い感じではない。でも彼は映画馬鹿だから、みごとに化けてくれるだろうという期待も持てる。






最終更新日  2008年11月13日 23時17分34秒
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