体調を崩したら
これからの季節、調子が悪く熱っぽい感じがある時には鍋物か汁物と決めている。最近は息子も辛いものが食べられるようになってきているのでキムチ鍋やテンジャンチゲ、あるいは常夜鍋でも自分の食べる分だけ柚子胡椒をたっぷり利かせるなど。旅行中の体調不良の時の食べ物は気分によってキムチ雑炊、という訳にはいかない。タイのウボンラチャタニで夫が風邪をひいて調子が悪くなった時に食べたのはソムタム。それも、唐辛子がっつりの東北タイプ。町中の屋台で人が並んでいるソムタムの屋台を見つけ、あまりに美味そうだったのでテイクアウトで宿に持ち帰り、一緒に買ってきたカオニャオやガイヤーンとともに食べる。ガイヤーンもカオニャオも大変美味しいが、ソムタムは情け容赦なく辛い。私はあまりの辛さに途中でリタイアした(そういえば今思い出したが私は妊娠中だった)。「温かいものを食べて水分をたっぷりとってあったかくしてさっさと寝る」というのがそう気楽に薬を飲んだり医者にかかったりできない、旅行中の病気療養の基本である。言ってみれば極限的状態ではあるので、この体調だとちょっとヤバいかな、とか、それほどたいしたことは無いだろう、ということは自分で見当が付くようになる。命を守れるのは自分自身でしかないので、そういう判断能力が研ぎ澄まされるのだろうか。夫は「これだけ辛いものを食べれば風邪も治る」と、タイとはいえ東北の冬なのでうっすら寒い中汗をかきながら激辛ソムタムを食べ続ける。最後にビニル袋に残ったソムタムの汁まで飲み干し、汗を拭いてさっさと寝た。翌朝、夫の風邪はすっかり良くなっていた。ただし、ソムタム治療法は胃腸がやられるタイプの病気には絶対にお勧めしない。唐辛子によっておそらく破壊的なダメージを受ける。インドで体調を崩した時には中華のスープ、中国ではスープ類、ベトナムではフォー・ガー、トルコではイシュケンベ・チョルバス(臓物のスープに大量のにんにくとレモンを絞る)。とりあえず水分たっぷりで温かくさっぱりしたもの(イシュケンベを除く)を選ぶ。本当は日本の米の白飯にお茶漬けの素と湯をかけたのをさらりと食べたいのだけどなあ、などと思っていたりするのだが。ところで、ラオやカンボジアやネパールで体調を崩したら、というのが無いのは、そこら辺ではほとんど健康上の問題が起きなかったからであった。アジアに体が慣れて、風邪も腹具合も問題なくなったのだろうか。よく分からないが。今またインドに行ったらまた腹を壊したりするのか、ちょっと確かめてみたい気がする。インドでも腹を壊さなければ本物だな(何の