極刑空間

『プリンセスうぃっちぃず』感想　第１７回

“真実編”、終了。

続けて“英雄編”に突入。


バッドエンドはもう要らない。

感じる……虐げられし闇の波動を……！

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※以下、ネタバレ注意






















































前回のあらすじ。

シンシアの身体を乗っ取り、闇の魔女“オル”が覚醒。

第１４話「覚醒！！　封じられし闇の魔女」

現世に蘇ったオルに、メイヴィスさんは訴える。

「あなた方は私達の新しき指導者。二人の力で、この空の闇を従えて頂きたいのです」

メイヴィスさんの狙いは、オルとナターニアを引き合わせて闇を鎮めて貰うことだった。

失礼ながら、なんという脳天お花畑……と思わざるを得ないな。

なんで上手くいくと思ったんだ。

「光の魔女を救うことはできぬ」

「光が闇を封じてきたように、我らが光を封じる。空を満たすこの暗闇はその序奏に過ぎぬ」

メイヴィスさんの温い考え方を、オルは一刀両断。

クルルを締め上げつつ、場にそぐわない穏やかさで、委員長に帰順を促すが…。

「オル！あなたの理想は光が闇にしてきたことと同じ」

「ここであなたを止めなければ、同じ悲劇を繰り返してしまうだけ！」

委員長はオルに対抗するため、闇の力を受け入れ、力を大幅に高める。

一方、クルルは委員長に注ぎ込まれた闇の力の反動を受け、戦闘不能に…。

「不条理なこの戦いにより、全てを喰らい尽くす程の闇が生まれる」

そう、“闇”を圧迫すればするほど、世界に歪みが生まれる。

このまま“正義編”の繰り返しになるのか…。



クルル不在のまま、最終決戦へ。

闇魔法を読み切れずにボコボコにされるも、委員長の“ブラッディリックタッチ”が冴え渡る。

「さぁ殺せ！それで世界は救われる」

勝った……。

って、勝ったらダメじゃないか。

またオルを殺す流れになってるぞ。



オルを殺さなければ、空を覆う闇は晴れない。

しかし“正義編”とは違い、真樹はオルを貫くことが出来なかった。



這い蹲り、シンシアの命乞いをするクルル。

「それなら、私がやる」

委員長は真樹の“アスラーナ”を奪い、一つ優しい笑みを浮かべ、

「さようなら、母さん」

オルを刺し貫いた。

おいおい、“正義編”と全部逆になっただけじゃねーか。

何も変わってないよ…。


「闇の暴走を止めるには、これしか方法が無かったのだ……」

安らかな表情で、その刃を受け入れるオル。

確かに光が闇を封じ続ける限り、闇の暴走も続くだろう。

「ううん……母さんの願いは知ってる。だから、心配しないで」

オルの耳元で、何かを呟く委員長。

オルの表情が驚愕と絶望に変わり、それを最期に彼女は絶命する。




オルが死んでも、闇が晴れることはなかった。

実の母を手に掛け、闇に呑まれた委員長は言う。

「私はオルの代わりに、この世を闇に導く重荷を背負ってしまった」

「私が死ななきゃ、この世界は救われないんだよ」



しかし真樹は委員長と戦えない。

そんな真樹の前で、委員長はおもむろにセシリアさんの首を刎ねた。


続いて委員長は、怯えて逃げる林檎を刺し殺す。

最後に、前後不覚のクルルを串刺しにし、死体を弄んでバラバラにした。



恐怖、悲しみ、怒りに呑まれる真樹。

真樹は“アスラーナ”を振り翳し、委員長と戦い、相討ちになる。


…そこで、夢が覚めた。

セシリアさんも、林檎も、クルルも生きていた。


しかし、真樹の刀は確かに委員長を貫いていた。

委員長は自分を殺させる為に、真樹に上記の幻覚を見せたらしい。



「一人じゃ、母さんが寂しいでしょ……？だから……私もっ、側にいてあげたいんだ……」

ば、ばかやろおおおおおおおおお！！


あぁぁ、どうして、どうしてこんなことに。

委員長は何もわかってない、何もわかってないよ…。


「世界だけを救って……大好きな人を……大切な人を救えないで……」

「どこがヒーローだ！俺はこんなものを望んでいない！」


いや、真樹は世界すら救えていないだろう。

闇が封じられている限り、第二、第三のオルが現れることに間違いはないんだから。



真樹は委員長との記憶を思い出す。

子供の頃の、約束……？

追憶の中――

少女は彼にこう言った

「ヒーローになってね」

「絶対だよ」

「約束だよ」

これはつまり、クルルと同じ約束を、委員長も真樹としていたということか？

合縁奇縁とは言うけど、これはもう偶然じゃ済まされないだろ…。

“真実編”完

“英雄編”始動

お伽噺の真実。

魔女と人間が共存していた時代。

魔女界を治めていたのは、光の女王“ソル”と闇の女王“オル”。

ソルとオルは同じ人間に恋をするが、自分の立場に固執したソルは恋に敗れる。


彼の希望もあり、オルは人間界との交流に尽力する。

人間はオルの協力を得て魔法を解析し、“アスラーナ”を作り出した。

しかし、未だ嫉妬の炎に焼かれるソルは、人間の危険性を誇張。

オルを誑かして利用したという無実の罪で、オルの思い人は処刑された。



その時、オルの腹には既に命が宿っていた。

生まれてくる子供の名前は、ナターニア。

伴侶無き後、オルはただ娘の為だけに、優しい子守唄を歌い続ける。



しばらくして、人間側の悪事と“アスラーナ”の存在が明らかになる。

内通者として、尋問を受けるオル。

『アスラーナは魔女を滅ぼすものではありません』

『人間と魔女の世界の架け橋となる希望です』


オルの必死の訴えは届かなかった。

オルは“アスラーナ”で貫かれ、お腹の子供と共に処刑される。



オルの返り血を浴びた“アスラーナ”は、一瞬で錆び付いた。

ソルと光の魔女達は、全ての責任を“闇”に押し付け、歴史を捏造した。

人間と闇の魔女、そして錆びたままの“アスラーナ”は人間界に追放され、

やがて魔女界から闇が消えた。




闇の怨念は降り積もり、ついに女王シンシアの代。

光のプリンセス“クルル”と、闇のプリンセス“ナターニア”が生まれ落ちる。


時を同じくして、“アスラーナ”は英雄を夢見る少年の手元にあった。

少年は親しみを込めて、アスラーナをこう呼んだ。



「アスナ」




「ようやく……ようやくこの名を思い出してくれた……」

アスナは幼い少女の姿をしていた。

そしてどう見てもパンツはいてなかった。



幼い日に、クルルと委員長に出会った真樹の記憶は、

シンシアにより封印されていた。


アスナのことを忘れ、二人のプリンセスのことも忘れた真樹は英雄になれず、

“正義編”と“真実編”、二度も失敗を繰り返した。


アスナはオルを斬った時に吸収した魔力を用いて時間を遡り、二度の失敗を帳消しにする。

その為の魔力も、既に底を突いた。

「もはや、儂に残されたのは、本来の力――魔力を吸収し、放射する力のみ」

「それでも、儂は『人間と魔女の世界を繋ぐ鍵となるもの』でいたいのじゃ……」

オルの本当の願いは、魔女と人間の共存の時代への回帰。



「これが最後のチャンス……」

「間違うことは、許されない」

「迷うことも、許されない」

「でも、運命からは……逃げられない」

「――だから！だから、立ち向かうしかない！」


「最後にもう一度だけ、俺は立ち向かう」

「誰もが救われて、幸せになる結末を迎えに立ち上がる！」



英雄になるべき若者達は、林檎、かれん、委員長、クルル、真樹の五人。

彼らは悲劇の記憶を受け継ぎ、その意志はついに一致した。


「未来は任せたぞ！英雄になるべき若者達よ！」



全てを終わらせる時……！！

人生リベンジアドベンチャー『プリンセスうぃっちぃず』、ついに最終章へ。

つづく！！