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2023.07.26
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 北大植物園の見学を続ける。
 ただ午前中の藻岩山登山の疲れが、ここに来て顕著になった。

​◎超貴重な絶滅動物エゾオオカミの剥製が無造作に​
 園内に意外に少ないベンチに座った。南ローンを前にして、重要文化財群を遠望した。
​ 美しい緑のローンとマツ科の巨木、そして白いバチェラー記念館と博物館の景観は、見事だ。疲れを忘れる美しさの前に、しばし見とれる(写真)。


 ただ、その博物館に入ると、前回もそうだったが、興ざめする。展示が旧態依然で、何よりも展示標本がおよそ古い、見えにくいケースに納められているだけだ。「無造作に置かれている」という感じなのだ。今時、こんな自然史博物館は、どこにも無いのではないか。
 例えば、今では超貴重品であるエゾオオカミの剥製標本だ。日本でエゾオオカミの剥製が残っているのは、この雌雄2体だけという。

​◎エゾオオカミの剥製はここだけなのだが​
 それなのに、博物館の狭い展示室に雑然と置かれたケースに、しかも来館者の目の下に置かれているだけだ。しかも展示ケースの縦と横の桟が観察に邪魔だ。こんな超貴重な標本なら、来館者が正面から観察できるように、展示ケースをもっと上に上げ、しかも桟無しの防弾ガラスケースで展示すべきだろう(写真)。



 剥製は、手前のメスが1881(明治14)年に札幌の現豊平区で、奥のオスは1879(明治12)年に同現白石区で捕獲されたものだ。道内で、生息や捕獲の記録が残っているのは明治20年代までなので、この雌雄2体は最後のエゾオオカミに属する。
 この頃、北海道では広大な放牧地や農場で、ヒツジや乳牛を飼うようになっていたので、家畜を襲うオオカミは、駆除の対象となっていた。

​​◎オオカミの生態系に占める意義が理解されずに絶滅まで放置​​
 剥製がこの2体だけ、他に頭蓋が1体、残されているだけというから、生態系に占めるオオカミの意義が知られるずっと前に、害獣として駆除され、しかも生態系におけるオオカミの大切さが誰にも認知されずに、したがって保護されることもなく、個体数減少のままに放置され、明治20年代末までに絶滅してしまったということだろう。
 例えば本州のニホンオオカミもそうだが、エゾオオカミが現代まで生き延びていたら、エゾシカが増えすぎて農作物や森林の食害に悩まされずに済んだだろう。
 なおエゾオオカミは、本州のニホンオオカミの別亜種だが、いずれも大陸のハイイロオオカミ(タイリクオオカミ)と同一種だ。
​ 僕は、2018年に南樺太に行った時、ユジノサハリンスクのサハリン州立郷土博物館で、精悍なタイリクオオカミの剥製標本を観た(写真)。樺太では、オオカミは北海道よりもう少し後の20世紀初頭まで生き延びていたようだが、今では樺太全島で絶滅している(18年7月27日付日記:「樺太紀行(8);雨の一日、郷土博物館の動物剥製は迫力;1世紀前、南樺太にもオオカミがいた」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201807270000/を参照)。



​◎南極の厳冬を生き延びた樺太犬タロの剥製も無造作に​
 貴重な標本が展示と呼べないほど無造作に並べられているのは、他の標本でも同じだ。例えば、ここには樺太犬タロの剥製も展示されている。
 タロとその兄弟のジロは、映画『南極物語』で日本中に感動を生んだ南極観測隊第一次越冬隊の犬橇用として南極大陸に連れて行かれた樺太犬だ。悪天候のために厳冬の南極大陸に放置されながらも、2頭は奇跡的に生き延びて、日本に連れ帰られた。
 そのタロの標本が、目立たない形で、エゾオオカミの標本と同じように、放置されたように床に置かれて展示されている(写真)。撮影が下手なのは十分に承知しているが、日本列島に感動の渦を巻き起こしたあのタロが、こんな扱いであるのは悲しい。



​◎道立北海道博物館か北大総合博物館に移すべき​
 所管の問題だろうが、エゾオオカミも樺太犬タロも、道立北海道博物館に移して展示するのが最良だし、道立博物館に移管するのが難しいなら、展示方法がずっと洗練されている北海道大学総合博物館に移すべきではなかろうか。植物園だけに、哺乳動物が軽視されていると思いたくない。
(この項続く)

昨年の今日の日記:「太陽電池パネルは今やスターリニスト中国の独占状況、日本初のペロブスカイト型太電池も」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202207260000/​






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Last updated  2023.07.26 04:13:46



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