熱海、MOA美術館に行く、ゆったり落ち着いて鑑賞できる美術館
22日、かねてより予約した熱海に行く。江戸時代の1806年創業という古屋旅館(写真)に宿を取っていたが、あいにく天気に恵まれず、アウトドアは諦めた。◎世界救世教教祖にして芸術家の岡田茂吉の開いた美術館 昔、高度成長期は熱海は東京からの社員旅行のメッカで、今も温泉浴場以外、ほとんど楽しめるものがない。箱根なら金時山を登れるし、湯河原なら幕山や南郷山がある。 その代わりになるエンタテインメントが、MOA美術館だ。 熱海駅に着くと、すぐタクシーに乗り、駅からも遠望できるMOA美術館に行く。この美術館にはいつか行きたいと思っていながら、今まで果たせなかった。 世界救世教の教祖にして芸術家の岡田茂吉が創設した。 着くと、相模湾が一望できる所にエントランスがある(写真)。美術館は山の中腹に掘り抜かれて設計されているようだ。◎館内デザインは粋 チケットを買って中に入ると、正面に上に行く、青い幻想的な光で満ちた長いエスカレーターがある(下の写真の上)。すぐに行き着くと思ったら、さらにまたエスカレーター。それを5、6段上る。途中、天上を様々な色彩図案を投影する円形ホールが設けられている(下の写真の下)。 それで行き着いた先に展示場があり、そこまでのデザインはなかなか粋である。◎『富嶽三十六景』全46図を初めて観る ちょうど葛飾北斎の『富嶽三十六景』の展示をしていた(写真)。 版画とはいえ、全46図を観るのは初めて。それどころか有名な『神奈川沖浪裏』も『凱風快晴』だって、ナマの版画は見たことがない。大いに興味を惹かれて鑑賞した(写真=上から『神奈川沖浪裏』、『凱風快晴』、『東海道程ケ谷』)。 展示品を遮るガラスは、まるで無いがごとくで全く曇りがない。うっかりするとおでこをぶつけそうだ。しかも明るくて広い。人の肩越しに観ることは全くなかった。しかも撮影は禁止されていない。 アメリカの美術館は、通常、ガラス壁が無い。そんな感じで、ほとんど違和感がなく、鑑賞できた。 その他の日本画も、焼き物も、ほとんど大家の作品ばかりで、収集した岡田茂吉の熱意が並々ならぬことを実感できる。◎ロビーからの眺めは絶景 途中のロビーから、ガラス窓を通して相模湾が展望できた(写真)。あいにく曇天だったが、うっすらと初島も望める。見通しが良いと、房総半島まで望めるらしい。 1階からは外に出て、茶の庭も散策できる(写真)。ここで、庭園を観ながら抹茶と甘味をいただいた。 私設美術館だけに入館料は公設美術館の倍近いが、清潔で広々としていて、開館して以来、半世紀近くたつのに古さを感じさせない。 ゆったりと楽しめる美術館で、再訪をしたいと思える所だった。昨年の今日の日記:休載