中国企業幹部社員が語る「悪い中国人」の見分け方
先日お会いした中国企業の幹部社員たちとの会食で教わったことです。大変ためになる話しだったのでシェアしたいと思います。===日系企業の人たちが不思議に思うことの一つに、中国の人事があると思います。それは当然でしょう。「なぜ、あの人をクビにしたんですか?いい人だったじゃないですか?」と聞かれたことは、一度や二度ではありません。また、中国の現地法人の人事をみて日本の本社も「人事考課は問題ないのになぜ?」と。日本型の人事制度だけでは中国の本当の人事は評価できないからです。中国人にとって最も大事なのが、家族と人脈です。この人脈を荒らす社員が最も悪い社員なのです。これは日本型の人事考課にはないでしょう。例えば、私が斉藤さんの部下だとすると、最初のうちは斉藤さんの仕事にアシスタントとして同行して、色んな人に人々に会います。それで知り合った中で、自分に有利な人に対して少しずつアプローチしていきます。そのうちに、斉藤さん抜きで抜きで会うようにします。そして、斉藤さんの悪口を少しずつばら撒きます。そうして、人脈を私のものにしつつ、少しずつ斉藤さんの人脈を断つわけです。気がつけば「私の人脈です!」となります(笑)。これは上司1人だけではなく、色んな上司や先輩の人脈をもらいます。すると、仕事の受注が増えたりして、出世が速くなって斉藤さんを抜くことができます。あるいは、転職、独立好きな中国人は、この人脈を使って商売を始めるわけです。だから、上司も簡単には部下に人脈を紹介しません。こういうことをする人はもう「本能的」であって、日本風の悪気はないのです。まぁ、三国志の時代からずーっと変わってない(笑)。だから中国ビジネスは歴史を勉強するのが最も重要と言われるし、その通りです。陣地を崩すには「まずは人脈から」です。これが毎日のように社内、社外で繰り広げられているのが現状です。中国企業の社内は「毎日が派閥抗争」と言われる所以ですし、事実です。こうしたことがあるから、上司や先輩は、簡単には部下や後輩に人脈を紹介しません。財産だからです。だから、自分の人脈に勝手にアプローチしただけでクビにする上司もいます。自分の人脈(財産)を守るためです。金銭的な財産を盗まれたら誰でも怒るでしょう。人脈はそれ以上に貴重なので、クビに匹敵するのです。これが俗に言う「人脈荒らし」型の人材です。もちろん、荒らさない人もいます。そういう人は大事にします。自分の人脈と、人の人脈の区別がしっかりしています。人の人脈にアプローチする際には、その人に一言許可を得るなど、面子を守ります。つまり、悪い中国人というのは「自分の面子は守るが人の面子を潰す人」です。良い中国人は「人の面子も自分の面子も大事にすることができる人」です。こういう良い中国人なら一緒に仕事をしてもOKです。(中国企業はこういう人をひたすら求めている)だから中国人を見分けるには、このように「人の人脈の接し方」を見ればすぐにわかります。悪い中国人は、「金は取らないで人脈をもらう」から、一般的な日本人にはわからないのです。日本語が話せて留学経験があったり、日本文化に詳しいというだけで採用して、、、失敗するのです。これは何も社員だけではありません。業者との付き合いでもこの点を見極めなければなりません。私たちの所にもたくさんの日本企業、団体が訪れます。その際に、提案された案件が決まる場合もあれば、決まらない場合もある。決まらないと、日本側は「値段かな?」とかビジネスライクに考え込んでしまいます。しかし、中には日本側が雇っている中国人スタッフに問題がある場合があるのです。「こいつは人脈荒らしの臭いがする」というのを私たちは決して見逃しません。だから、いつくら日本語が話せてもそういう人を雇っているうちは業績はあがらないでしょう。優秀な経営者、幹部は、人脈荒らしを決して中には入れません。人脈荒らしは、必ず客を奪ったりしてビジネスの敵になりますから。これが中国ビジネスの最大のリスクヘッジなのです。===日本人には見えない人事があるというわかりやすい話しでした。聞いてみて、今までの中国ビジネスの出来事や関わった人たちを思い出すと、「なるほど!!!そうだったのか!」と色んな事件の原因が理解できました。中国は人脈社会という言葉はよく聞きますが、それは私たち日本人が想像するよりも、とても根深いということがわかります。