上海万博の(裏の)問題点
上海万博が終わった次の日の朝、市内のホテルはチェックアウトのラッシュでした。観光客はもちろん、各国の関係者の帰国ラッシュです。何もそんなに慌てて帰国しなくても、、、と思いますが、数カ月間もの間滞在すると、やはり母国が恋しくなるのでしょう。そのせいもあって、朝の道路は大渋滞でした。上海万博の評判はどうだったのか?色々調べてみると、賛否両論でした。個人的には、賛辞の嵐だと思っていたので意外な感じがしました。特に7,000万人を超えて世界一の来場者数を達成したというニュースに対しては、(つまり、大阪万博を抜いたぞ!というニュース)「1970年代の万博と比較してどうするんだ?」「インターネットも携帯もない時代と比較しても威張れないでしょう」「大体、日本と中国の人口は違うじゃないか。こんなアホなニュースで人民が喜ぶと思うのか?」などの厳しい意見が数多くありました。意外に客観的な意見が多く、舞い上がる人々ばかりではないのがわかります。●万博の(裏の)問題点万博は、世界平和だの人類の…と色んな崇高なテーマを掲げても、毎度のことながら残り1ヶ月にもなると、凄まじいことが起きます。それは世界各国から集まった関係者スタッフの問題です(笑)。もう会えない、人によっては会わなくていい、、、ということを理由に男女関係が激化するわけです。もちろん日本の愛知でも大阪でも、、、凄まじかった(汗)。そして、上海でも同様に色んなトラブルが多発しました。(テレビドラマ10年分と言われます:笑)世界中から集まった者同士、数万人も若い男女が毎日出会える職場にいれば、開会式の頃の高い志はそう長くは続かないのが現実です。(残念ながら)シンプルな恋愛もあれば、三角四角…と泥沼化する関係まで。(だから、万博終了後一年もすると当時のスタッフの同士の結婚式のラッシュが続きます)上海でも、そうした関係者間の恋愛のトラブルで突然来なくなったり、チームワークが乱れに乱れたり、、、は日常茶飯事でした。(たくさんの相談?を受けました:汗)もっともそれらを見越して、ちゃっかりビジネスをしている人たちもいます。上海のビジネスホテルまでが、昼間の3-6時間の部屋のレンタルをしてました。そして、大いに儲かったそうです。これはかつてはなかったことです。日本のラブホテルの真似です。それほど需要が高かったんです(笑)。ちなみに、もっと強者もいて、こうした万博の裏事情を熟知した日本人経営者は、実際に日本式ラブホテルを上海に開業させてました(笑)。こういうのは「期間限定イベント」の特徴です。期間限定だから、その後に別れが来るから感情が高揚してしまう。そして思い出になります。(悪く言えば後腐れなしの関係)すると、それが忘れられなくて「次の万博も何かしたい」という気持ちになるわけです。日本にも万博の仕事から抜けられない人々がかなりいます。あのお祭り感が忘れられないのです。(それと甘い汁と儲け)20代で初めてパビリオンのコンパニオンか何かを経験して、気がつけばコンパニオンの教育者になっていたり、パビリオンの雇われ責任者になっていたり、、、と、毎回の万博で同じ顔ぶれが登場します。離れられない「万博症候群」みたいな感じです。万博好きであることは良いとして、こうした経験者が関わるデメリットは、ワンパターンになってしまうことです。新しい発想やサービスに乏しくなってしまう。かつての経験が優先されてしまうからでしょう。日本館も毎度のことながら、その典型でした。(良くも悪くも)本来は、近未来が体験できるはずの万博が何やら懐かしさとか古さ感じてしまう理由は、メンバーチェンジが少ないからです。次の万博は、今までのやり方やサービスをすっ飛ばすくらいのチャレンジが見たいものです。それには、世界各国でメンバーチェンジが必要でしょうね。===インバウンド対応に関して言えば、大いに勉強になりました。特に中国人が外国館に訪れる際に、どんなコンテンツには興味を示して、示さないか?どういう表記ならわかるのか?求められるサービスはどの程度なのか?などは、今後のインバウンドビジネスに役立つと思います。