さて、前置きが長くなりましたが、今回は「霧島系の神楽」を紹介したいと思います。
狭野神楽と祓川神楽です。
狭野神楽は今週土曜日、祓川神楽は来週土曜日に開催します。この二つの神楽は、平成22年10月に「高原の神舞(かんめ)」として国指定無形民俗文化財に登録されました。
○狭野神楽
【由縁】
由縁は今から600年前。狭野地区の人々は、伊勢神宮までお参りに2ヶ月ほどかけて通っていた。その際、伊勢で舞われていた神楽を地元に持ち帰り、この地ならではの舞として奉納したことが始まりといわれている。
【内容】
霧島神楽の特徴は迫力のある剣舞。33番のうち、11番もある剣舞は、勇壮で激しく、霧島信仰の修験者たちが伝え、薩摩藩の文化の影響を受けていることがわかる。最も見応えがある舞がクライマックスの踏剣(ふみつるぎ)。帯の舞、剣の舞、中入りの舞の3部作で行われ、太鼓、笛、鐘、摺り鉦を伴奏に、小さな子供が大人2人を両脇に従え、剣の切っ先を持って軽快に舞う。県北地方の神楽には見られない迫力ある技は、この地独特のもので興味深い。
【日時】
12月3日(土)19時頃~
番付スケジュールは上画像のとおり
【場所】
狭野神社第2鳥居前(map)
○祓川神楽
【由来】
戦国時代、このあたりの監視のため赴任した「祓川七家」により始められたと伝えられており、現在は霧島東神社の氏子だけで行われている。
【内容】
祓川神泉の特徴として、真剣を使用した舞が多いのは勿論ですが、 最も有名なのは「十二人剣」です。約1時間に渡る長大な舞で、最後の真剣の切先を握りあっての岩潜りは圧巻です。創始の古さを感じさせる神楽面は江戸時代の作で、県内で現存する面のなかで最も古いといわれる。 その他にも、大人と子供が鼻剣を希って勇壮に舞う「剣」や、宮崎県南部に影響を与えたとされる「田の神」「鉾舞(ほこまい)」「杵舞(きねまい)」など、様々な舞があります。
【日時】
12月10日(土)19時頃~
番付スケジュールは上画像のとおり
【場所】
祓川神楽殿前広場(map)
◎雑感
県内にはさまざまな神楽があることは何度も書いていますが、霧島系の神楽は、高千穂系を除く県内の神楽に大きな影響を与えているようです。それだけ、昔から霧島山岳信仰は根強いものがあったのだと考えられます。実は、先週末、霧島山系の甑岳や白鳥山を登ったのですが、「霧島」の地に畏怖の念を感じるとともに、「なんちゃって山ボーイ」である自分の精神も引き締まる思いがしました。
狭野神楽は今週末、祓川神楽は来週末です。お時間がある際は、防寒して&くれぐれもマナーを守って拝観しましょう。
(左:甑岳から望む韓国岳 右:六観音御池から遠くに望む韓国岳)
《参考文献&気になるリンク集》
宮崎の神楽―祈りの原質・その伝承と継承 山口 保明 (著)(Amazon.co.jp)
宮崎県季刊誌「Jaja」vol.3 宮崎県
ひむか神話街道をめぐる旅高原町2
宮崎県季刊誌「Jaja」神楽鑑賞入門(見学者必読!!)