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カテゴリ:こう見えてもソムリエでんねん
最近になって「シャンパン」の値段が上がってきました。もともと高級ワインの値段などは芸術品と同じく需要が値段を決めるようなところがあるのですが、顧客に販売することを生業とするような我々のような職種においては、少しでも安く仕入できるほうが良いにこしたことはありません。
さて、このシャンパーニュの値上がりは、世界的なシャンパン需要の増加によるものでしょうか? 実はそうでもなさそうです。近年は地球の温暖化もあって、もともと冷害などの被害が懸念され続けていたシャンパーニュ地方も豊作が続いており、また醸造技術の発達によって品質の向上と生産量の増加は見こめます。この状態はこの先何年かは続くと思われます。 需要の高まりがあるとはいえ、一時のワインブームの頃までとはいかないと感じます。生産量をあげる事は比較的容易に思える現在、なぜシャンパンの値段が上がるかというと、、、 実は「景気が良いから」なのです。 シャンパーニュにおけるメゾンの所有者は元貴族、あるいは大手「ブランド系企業」が多く見られます。LVHMのモエ・エ・シャンドンが有名ですよね。 こういった企業は、経済活動として自社の商品を販売して利益を得ることはもちろんなのですが、自身のブランド力の構築も必須の要素として熱心になるのです。 つまり、値段を上げた事によってシャンパンが売れなくなっても構わないのです。自らがストックしている商品の価値を上げて総資産が膨らむ方が得策と考えているからで、資産の増加による銀行からの融資が受けやすくなるからだそうです。土地の投機と同じ感覚なのかも知れません。 同じ経済活動は「ボルドー」でも見られます。 ボルドーのシャトーの所有者には、金融、証券、保険などの各社が名を連ねていますが、こういった企業もまた「資産価値」の運用については長けている部分があるのです。 と、いう事は不景気になったり、資本を投下する必要がでてきた場合に商品を値下げして、現金の回収を測ります。 ここ何十年かにおいてボルドーが値下がりしたのは過去2回。 ひとつは70年代後半です。この時は1860年代のフィロキセラ禍で植え換えた木の寿命が一斉にきて新たな木に移しかえる必要があったからです。 次は90年代前半。世界的なワイン製造の技術の発達に追いつくため、更なる設備への投資が行われる必要があったからと言われています。 今年になって発売された「シャトー・ディケム1999年」は90年代において最も安い10000円後半。日本での販売価格も現在20000円少々といったところです。これも、98年にイケムが買収されたばかりでその投下金の回収が目的と思われます。そういえば買収したのもLVHM(ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー)でしたね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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