カテゴリ:映画
あらかじめ申し上げておきますが、
僕は落語のことが少しだけ分かっています。少しだけですよ。 『小三治』 (8/9~:フォルツァ総曲輪) 公式サイト:http://cinema-kosanji.com/ CD・DVDは発売されていますが、 ご本人曰く「自分の落語が記録されるのは嫌い」という柳家小三治師匠の、 最近のある時期をカメラに収めたドキュメンタリー映画です。 ですから、これはたいへん貴重な映画であるといえます ![]() 『あくび指南』『らくだ』『天災』『道具屋』『鰍沢』の一部が聞けます。 もしかしたら、間違っているかもしれませんが ![]() というのも、映画では最後の『鰍沢』以外、演目を紹介していないんです。 そして、僕はその演出がかなり気に入っています ![]() 落語の営業に行くと、担当者からよく聞かれます。 「今日の(これからやる)演目は何ですか?」 これに答えるのが嫌なんです。答えたら、それをやらなきゃいけない ![]() 本当は独演会のパンフレットにネタを書くのも嫌なんです。 不要ですよ。失礼だけど、演目なんて聞いても分からないでしょ。 野暮ったい僕がいうのもなんですが、それを聞くのは「粋」じゃないです。 終わった後に聞かれるのは、まだ平気なんですけどね。 中には、本来なら高座名(演者名)を書くものであるメクリに、 演目を書くものだと思って尋ねてくる人もいます。 つまり、少なくとも富山県では、落語の認知度はその程度なんです。 良い悪いじゃなく、嘆いているのでもなく、冷静な現状認識ですよ。 ですが、映画『小三治』は全国で好評上映中。 フォルツァ総曲輪でも、結構お客さんが入ってました。これは嬉しい ![]() だって、よほどの映画馬鹿か落語好きじゃなきゃ観に来ない映画でしょ。 カメラ ![]() スタッフはやたらとインタビューはしないし、師匠も喋り続けたりしない。 そんな中で語られる、師匠の考えや落語への思いはインパクトがあります。 師匠は何度も「俺はこの仕事は向いてない」とおっしゃいました。 また、「現役選手だから弟子に教えたりはしない。ただ見せるだけ」とも。 その気持ちはとてもよく分かります。僕も同じように思ってますから。 その他、いろいろと勉強になることがたくさんありました。 「良くても悪くても、その時の最初の“息”を大事にする」とか、 「落語らしく」って本当にどういうことなんだろうな?…とかね。 でも、勉強になったというのは、落語のではなく、アナウンサーとしてですよ。 だって、僕の仕事は落語じゃないから。落語はちょっとやってるだけ。 小三治師匠って、落語を庶民的に楽しませてくれる方という印象でした。 それは、「技」ではなく、「心」で語っておられたからなんですね。 それって、アナウンサーも同じなんじゃないかな…と ![]() その一方で、ご本人はとても品のある方だな…と思っていたのですが、 その秘密が少しだけ分かったような気がしました。そんな映画でした。 特に入船亭扇橋師匠とのやり取りで、それを強く感じました。 映画の最後のネタは『鰍沢』でした。 相当の思い入れを持って演じられていたにも関わらず、 なぜ師匠はこのネタをやろうとしたのか?…ということは分からぬまま。 そういうことを言い出すと、足らないところは少なからずある映画です。 そもそも、康宇政監督は小三治師匠に惹かれただけで撮っていたのでは? だから、装飾なくありのままの師匠を撮っているだけ。 でも、それが僕にはとても心地良かったのです。 いちいちすぐに掘り下げようとしないところが「粋」に感じられたのでした ![]() 他にも思うところがたくさんありましたが、 あまり長くなりすぎると「粋」じゃないので、もう止めます。 まぁ、このブログは最初から粋じゃないですけどね ![]() ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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