カテゴリ:映画
『最後の忠臣蔵』
(12/18~:TOHOシネマズファボーレ富山、TOHOシネマズ高岡、他) 公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/chushingura/ 赤穂浪士の討ち入りの後、四十七士中四十六士は切腹した。 しかし、残る一人の寺坂吉右衛門は切腹の列に加わることは許されず、 大石内蔵助から「真実を後世に伝え、浪士の遺族を援助する」という使命が与えられた。 そしてもう一人、討ち入り前夜に姿を消した瀬尾孫左衛門。 命が惜しくて逃げ出した裏切り者と浅野家の元家臣たちからののしられていたが、 孫左衛門にも、一人の少女を一人前に育て、しかるべきところに嫁がせるという使命があり、 それは誰にも秘密のことであった…。 いや~年の瀬は『忠臣蔵』だよねぇ…なんていう日本人は、今はどの程度いるのでしょうか。 僕はどちらかというと、年末は『男はつらいよ』とか落語の『芝浜』の方がピンときます。 『忠臣蔵』といえば赤穂浪士たちの切腹で物語は終わるのですが、 この物語はそこから始まります。生き残った者たちの物語です。 これは『ノルウェイの森』でも描かれていた世界ですが、 生き続けるというのも、なかなかにたいへんなことなのでございます。 特に切腹というのは単純な(?)自殺とは違いまして、 武士の本懐とでも申しましょうか、生き方として認められているものであり、 (それで死ぬのも勇気が要りますが…)選択肢としては選びやすいものだったかもしれません。 それを認められずに生き続けて使命を果たすのでありますから、 今なら「俺だけ死ななくてすんでラッキー」などという発想も生まれるかもしれませんが、 吉右衛門や孫左衛門たちはそう思うはずもなく、つらかっただろうと思います。 主君に命を預けるというのは、死ぬということだけではないのですね。 孫左衛門を演じているのは役所広司さん。吉右衛門を演じているのは佐藤浩市さん。 今さらお二人について申し上げることはありません。名優二人の共演。 孫左衛門と吉右衛門が二度目の再開を果たすところは、観ていて目頭が熱くなりました。 そして、孫左衛門に育てられる可音を演じるのは桜庭ななみちゃん。 『赤い糸』では眼鏡姿に萌えました。『書道ガールズ』で演じた役は性格が好みでした。 やはり時代劇は難しいのか、役そのものに難しさがあるのか、 演技の点では、これまでの作品では感じなかった物足りなさはありました。 決して下手だというのではなく、頑張っている感が強すぎるとでも申しましょうか。 でも、そういうことは超越して、ななみちゃん良かったです。 同世代の支持はどの程度か分かりませんが、彼女は間違いなく「おじさんキラー」です。 そして、孫左衛門と可音を陰で支える元島原の太夫ゆうに安田成美さん。 あの訛は京都弁なのか何なのか、いささかのぎこちなさは感じましたが、 最後に放つ彼女の台詞にはハッとさせられました。 ていうか、男としてはこんな台詞を好きな女に言われてみたいもんです。 そして、それを言われた孫左衛門は…。 敢えて書いてしまいますが、彼は武士でした。 僕はそれでいいのかと思わずにはいられなかったのですが、 武士というのは、そういうものなのかもしれません。 原作には無い人形浄瑠璃のシーンがあります。素晴らしいです。 学生の頃に観たときは退屈に思いましたが、僕も大人になったということでしょうか。 そして、杉田成道監督の撮る季節の生命を感じる画が、やっぱり素敵なんですね。 ということで、僕の中では高評価の映画なのですが、一箇所だけ…。 え~と、孫左衛門は可音が嫁ぐまでは絶対に死ぬ訳にはいかないはずなのだから、 いくら混乱状態に陥ったとはいえ、あの行動はないんではないかと思うシーンがありました。 でも、その流れがあるからこそ、吉右衛門の見せ場がやってくるわけでして…。 これは原作上の問題かもしれませんが、映画の演出は難しいですね…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年12月18日 16時38分53秒
コメント(0) | コメントを書く
[映画] カテゴリの最新記事
|