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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:試写会
客入りは8割くらい。
![]() 【23%OFF!】今度は愛妻家 【通常版】(DVD) 映画の話 かつては売れっ子カメラマンだったが、今や仕事をせずプータロー同然の生活を送る俊介(豊川悦司)は、健康マニアの妻さくら(薬師丸ひろ子)に日々ニンジン茶を注がれ、子づくり旅行をせがまれていた。やがて、クリスマス直前のある日、二人は沖縄旅行に行くことにするが、その日を境に俊介とさくらに微妙な変化が訪れる。 映画の感想 まるで舞台劇を見るような展開と思ったら舞台劇が原作だそうです。登場人物は主要キャストほぼ5人だけで、映画の舞台もほぼ夫婦が暮らす家だけという限定的な空間を活かし、夫婦の絆を不思議な表現で描いたシチューエーションドラマだ。映画は北見夫婦の何気ない日常から幕を開けるが、舞台っぽいテンションの演出に付いて行けず、冷静に画面を見ていると夫婦の会話と行動が非常に不自然で「何かおかしい?」と疑問符が頭の中を駆け巡りだす。その疑問符は「まさかこの設定はアレじゃないの?」と憶測に変わってくる。 以下ネタばれ注意 まず、本作はオチが大事な作品だけに非常に書きづらいです。その為に今回は白抜き反転を多用した文章になります。反転文字は自己責任で読んでください。 映画はプータロー状態のカメラマン・俊介の元に妻のさくら、カメラマン助手の誠、モデルの蘭子、オカマの文太が代わる代わる登場する舞台劇スタイルで物語が展開する。本作はネタばれ厳禁であるが、作り手は観客の心理を逆手に取ったミスリードを使う。妻の留守中に蘭子を連れ込んだ俊介は、蘭子に部屋に飾られた写真を指摘されると「妻は死んだ」と、物語冒頭で手の内を明かしてしまう。この台詞のせいで観客は「妻が死んだ」事は俊介のギャグと判断されて、選択肢から除外されてしまう、とても上手いミスリードだ。 勘のいい観客や映画ファンの方なら山師監督M・ナイト・シャマラン「シックス・センス」と、映画を見ながら比較しながら見てしまうだろう。しかし、まさか本当にそのまんまのオチを持ってくるとは激しく脱力してシラケテしまった。私も途中まで半信半疑であったが、城田優演じる西田の手紙の件で私はオチを確信した。まぁ、後から考えれば夫婦二人住まいの家なのに部屋が散らかり放題であり、間違っていなければさくらの衣装は家の中ではいつも一緒で、不自然なほどにさくらは他のキャストまったく絡まないなど、オチが判った上で映画を見返せば楽しいかもしれない。私は映画中盤で想像していたオチがそのまま来てしまったので楽しい作品ではなかった。 キャストの話をすると、金髪にメガネにヒゲと言ういでたちがすっかり定着してしまった豊川悦司なのだが、私はどうも「20世紀少年」シリーズの堤幸彦監督に見えてしまって駄目だ。演技は良いのに何でこんないでたちになってしまったのだろうか?薬師丸ひろ子は相変わらず変な声と喋り方で大人の女優へと脱皮出来ていないように感じる。俊介の助手を演じた濱田岳はこの手の朴訥とした青年が上手い。蘭子を演じた水川あさみは、色々書きたいがファンの方に怒られるので自粛します。そんな中、石橋蓮司演じるオカマの文太が良い。物語の要所要所を引き締めながらも笑いも取る。下手な役者が演じればドン引き必至であるが、石橋蓮司が演じると軽やかな重みまでもかもし出してしまう、これは助演男優賞ものである。 映画の閉め方もとても演劇的であり、重い話で湿っぽく終わらせず楽しい気持ちで観客を送り出そうとする作り手のサービス精神を感じる。この終わり方は「エクソシスト」の原作者で脚本家のウィリアム・ピーター・ブラッディが好きなパターンであろう。「エクソシスト」も当初は演劇畑出身のブラッディらしいアイディアでちょっとハートフルな別エンディングが撮影されたが、監督のウィリアム・フリードキンの判断でカットされる。しかし、この別エンディングは00年公開の「エクソシスト・ディレクターズカット版」で復活している。話は脱線してしまったが、本作のエンディングを見て私だけだと思うが、ふと「エクソシスト」の事を思い出してしまった・・・・。 ![]() 映画「今度は愛妻家」関連商品 【予約】今度は愛妻家 /中谷マユミ/原作 入間眞/ノベライズ [本] めいなCo./「今度は愛妻家」オリジナル・サウンドトラック お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.09.05 18:37:47
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