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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:劇場2010
昨年末に引いた風邪をこじらせて自粛していた映画活動を再開しました。今年初鑑賞作品はずっと楽しみにしていた「アバター」です。お正月休みも終わった平日のTOHOシネマズ川崎で一番大きいスクリーン5には、542席に対して40~50名位の閑散としたものでした。
![]() 【30万山分け】アバター【初回生産限定】 映画の話 下半身不随になり、車いす生活を送るジェイク(サム・ワーシントン)は、衛星パンドラにやって来る。彼は人間とナヴィ族のハイブリッドであるアバターに変化を遂げ、不自由な体で単身惑星の奥深くに分け入って行く。慣れない土地で野犬に似たクリーチャーに襲われていた彼は、ナヴィ族の王女(ゾーイ・サルダナ)に助けられる。 映画の感想 ジェームズ・キャメロン監督作品として見るとまぁまぁだ。主人公ジェイクが死んだ兄の身代わりに極秘プロジェクトに参加させられるパターンは「イーグル・アイ」とそっくりで、オープニングの登場人物が睡眠から覚める描写は、彼の監督した「エイリアン2」であり、アーミーの描写はまるっきり「エイリアン2」である。とてもキャメロンらしい描写にファンとして単純に嬉しい。主人公をサポートする博士が「エイリアン2」の主人公リプリーを演じたシガニー・ウィーバーなのだからもう笑うしかない。軍隊を操る鉱物資源会社の責任者パーカーの存在も、まるっきり「エイリアン2」のキャラクターで、ユタニ社の社員・バークにそっくりで、キャメロンの書く脚本のワンパターンぶりが可笑しい。 大体、私は「『タイタニック』のジェームズ・キャメロン」と言う宣伝文句が嫌いだ。個人的に『タイタニック』はキャメロン監督作品の中では異物であり、私の知っているキャメロンは「ターミネーター」シリーズ、「エイリアン2」といったSF畑の監督であり、本作にキャメロン監督がたどり着きSF畑に返り咲いたのは手放しで喜びたい。 以下ネタばれ注意 映画のパターンは丁度、潜入捜査官に似ている。「主人公がアバターの体を使い相手の懐に飛び込み活動して行く内に、相手側に魅了されて寝返ってしまう」と言う、話自体は単純な話であるが、本作は「CGを駆使した圧倒的なビジュアルイメージが凄い」と言いたいところであるが、これも手放しでは喜べない。パンドラのビジュアルイメージはどう見てもイギリスのプログレッシブ・ロックバンド「YES」のジャケットのアートデザインを担当した画家ロジャー・ディーンの世界観にそっくりなのは頂けない。多分、キャメロン監督の世代であればロジャー・ディーンの世界観に多大な影響を受けているはずであり、インスパイアされたのだろう。 下半身不随で車椅子生活の主人公が仮想現実では飛躍的な身体能力を発揮する元ネタは、ロバート・ロドリゲス監督作品「スパイキッズ3-D:ケームオーバー」に出演した名優リカルド・モンタルバンの話に似ている。彼は実生活では車椅子生活であったが、映画の中でCGキャラクターとなり、自由に駆け回り元気な姿を見せて家族を喜ばせたそうだ。この辺の話もキャメロン監督はチェックしていてインスパイアされたのではないだろうか? 話は逸れてしまったので戻ります。映画のメインの話は鉱物搾取の為に先住民を武力で排除させると言う、アメリカの行ってきた悪しき歴史をメタファーにしたような物語で素直に喜べない。先住民ナヴィのキャラクターデザインも微妙すぎて好きになれない。唯一、シガニー・ウィーバーのアバターだけ、本人にそっくりで楽しい。まぁ、それにしてもここまでCGだけのドラマと思っていなかったので正直面食らってしまった。驚愕の映像を作る為に人間をはめ込むのは困難な事は理解するが、やはり人間の出てこないパートには感情移入し辛い。対する人間側のドラマも非常に薄っぺらであり、現実と仮想現実の中を彷徨う主人公は良いとして、極悪非道な大佐を演じたスティーブ・ラングや、私のお気に入り女優のミシェル・ロドリゲスが演じたパイロットの描写がステレオタイプだ。彼らのキャラクターの心情を深く掘り下げれば物語に幅が出たと思うと残念である。 まぁ、色々と文句を書いてしまったが「じゃあ、面白くなかったの?」と聞かれたら「面白かった」と答えてしまうだろう。映画前半の主人公がアバターの体を手に入れて、パンドラの密林で出くわす様々な生物のダイナミックな描写は「キングコング」や「ロストワールド」を彷彿とさせている。特に面白いのはナヴィと生物が絆を結ぶ為に、ナヴィの髪の毛と生物の突起物を接続させて同期させるアイディアは秀逸である。まるでパソコンのUSB接続の様で面白い。それから、映画後半の人間対ナヴィのスペクタクルな描写にはエキサイトしてしまった。怪鳥とヘリの戦いは韓国映画「D-WARS ディー・ウォーズ」にちょっと似ている。 そして、映画はダメ押しの様に「エイリアン2」に出てきたパワード・スーツ“パワーローダー”が進化した、人間が乗り込み操縦するロボット対ジェイクの一騎打ちも「エイリアン2」のクライマックスでのリプリーVSエイリアンクイーンの様で面白い。特にロボットがナイフを取り出したときは、あまりにも滑稽な描写に一人で声を出して笑ってしまった。まぁ、この一騎打ちもお互いが借り物の姿での対決で、結局はアバターとロボットをコントロールしている人間そのもの生命が、ナヴィと人間の勝敗を握ってる事がポイントなのが考えさせられる。 最後に音楽について書きたい。「エイリアン2」「タイタニック」とキャメロン作品で音楽を担当したジェームズ・ホーナーが本作の音楽を担当したのだが、劇中のスコアの所々に「タイタニック」「エイリアン2」と同じフレーズが流用されているのには失笑してしまった。元々ホーナーは器用な作曲家ではないので癖が出てしまったと考えられるが、一聴して観客が気づくようなスコアを書いては駄目だ。それから、まだ確認はしていないが彼が担当した同じ密林物でメル・ギブソン監督「アポカリプト」辺りのスコアも流用しているかもしれない・・・・。 追記 ゾーイ・サルダナとシガニー・ウィーバーの組み合わせって、間違ってなければ「バンテージ・ポイント」のオープニングで、爆発に巻き込まれるレポーターと中継車でその光景を見ていたディレクターだったと思う。こんな形で二人が共演するとは想像していませんでした。 ![]() 映画「アバター」関連商品 ![]() アバター オリジナル・サウンドトラック ![]() アバター公式完全ガイド ![]() 好評発売中!(2010年1月7日発売)【在庫あり】任天堂DSソフトアバター THE GAME/3D映画アバターゲーム化アクションシューディング NDS,任天堂,ニンテンドー,DS,Lite,DSLite,DSソフト,DSLite用,NDS,ソフト,アバター,THE,GAME,THEGAME,3D映画,映画,アバター,ゲーム,ゲーム化,アクションシューディング
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