本日11月29日県議会本会議で行った決算反対討論の大要
本日からはじまった県議会。本会議初日に議題となった、2012年度決算に関する討論の大要を紹介します。 決算に対する討論という性格上、制限はありますが、5期20年の谷本県政の問題点を浮き彫りにすることを念頭においています。 自民現職国会議員の知事選出馬騒動のなかで、語られることのなかった県政の問題点と県政転換の必要性を明らかにしたつもりです。看板を掛け替えても、政治の中身を変えなければ県民の願いにはこたえられない…民主党政権のてん末で多くのみなさんが実感していることと思います。 日本共産党は、一般会計決算にのみ反対し、残余の16件については賛成します。私は委員外議員として質疑に加わる中で明らかになった点もふまえ、以下その理由を述べます。【1】予算の単年度主義にそむくいびつな決算構造 平成24年度の国の予算は、民主党政権最後の予算編成となり、その特徴は「マニフェスト総崩れ、自民党政治への逆戻りとなった予算」でありました。 本県も、この予算に追随し、消費税大増税と社会保障切り捨てという税と社会保障の一体改悪を前提にした予算編成に加え、新幹線開業と金沢以西延伸の名のもと、不急不要の大型開発優先と浪費構造の温存で、多大な借金で県民に付けを回す逆立ち予算編成になりました。 加えて、昨年末の自公政権誕生によって、不要不急の大型開発の復活を主な特徴とする「15カ月予算」なるもとで、いびつな決算構造になったことを指摘しなければなりません。 県の発行する「財政のあらまし」を見ても、公共事業などの投資的経費予算は1,658億円に膨れ上がり、決算は前年を上回る1,026億円。県自身の方針である投資的経費の抑制にも反し、しかも、実に予算の3分の1を上回る630億円も次年度に繰り越すという、予算の単年度主義から大きく逸脱するものとなりました。 典型的なのは、道路建設費の予算471億円、決算は241億円で、次度繰り越しは229億円、実に決算額に匹敵する額を次年度に繰り越しています。この点からも、決算を認定することはできません。【2】大型開発優先、くらし切り捨て その投資的経費の内容も、県は「多重な道路網の整備」などと言いますが、必要性・緊急性の総点検が求められています。 見過ごせないのは、合併新道路として県が整備している能美東西連絡道路です。物流、通勤のアクセス向上をうたい文句にした、全体8キロにわたるこの道路は、すでに県費5億円ほどが投入されていますが、総事業費が未定であることに驚きを禁じえませんでした。 通常どんな事業をするのにも、大枠で事業費を算出し、対費用効果も含めて、必要な事業かどうか、緊急性はどうかなど検討されるべきでしょう。 それがなされずに、はじめに道路建設ありき、合併特例債を使って、あとから県民・市民に負担をさせればいい、というものであり、「税金底なしばらまき道路」と批判があがるのも当然であります。 こうした浪費型公共投資にメスを入れず、「ダブルラダー結の道」整備構想なるものをすすめることは根本的にあらためるべきです。 結果として、総務省の最新の「統計でみる都道府県のすがた」では、2009年度地方債残高は全国2位であり、子どもの医療費助成などを含む児童福祉費が39位…ここに象徴されるように、県民の切実な願いであるくらし応援には背を向ける「逆立ち財政」をただすことが必要です。 この財政構造のゆがみをただし、税金の使い方をあらためる知事の政治姿勢が欠如しているからこそ、子どもの医療費窓口無料化を予算化できないのではありませんか。 昨年6月議会では、その実施を求める請願が全会一致で可決される歴史的な出来事があったにも関わらず、最後まで背を向けたことは絶対に容認できません。 投資的経費を全国水準なみにすれば、90億円の財源が生まれ、現行制度のもとでの子どもの医療費の窓口無料化の財源3億3千万円余は、ただちに実現可能であることを強調しておきます。【3】税金徴収には熱心 さらに指摘しなければならないのは、昨年4月に設置された県央地区滞納整理機構による個人県民税の確保の成果がことさらに強調され、質疑のなかで県営住宅の家賃滞納に関し、さらなる徴収強化の答弁があったことです。 今、県の姿勢として求められていることは、県民の生活苦の悲鳴に心を寄せることです。昨年11月、志賀町で起きた電気料金滞納で母子親子が亡くなった事件も受けて、津幡町、小松市、能美市、野々市市などでは住民生活相談総合窓口を創設し始めています。こうしたことへの支援策、普及こそ必要ではないでしょうか。【4】福島原発事故から2年…変わらぬ国いいなりの原発安全・防災対策 決算認定にあたり、反対する大きな柱の2つ目は、志賀原発の存続容認、国まかせの安全・防災対策の決算となったことです。 昨年5月5日、42年ぶりに国内の全原発が停止する画期的な年となり、関西電力は大飯原発を再稼働しなくても電力の余裕があることを認めざるを得ませんでした。 原発ゼロをめざす声は押しとどめることのできない大きな流れになっているにも関わらず、県は撤退の決断をしないばかりか、安全・防災対策は国まかせという姿勢を変えませんでした。 危機管理監室関係の原発安全防災対策の決算は8億8千800万円、うち県費投入は230万円余にしかすぎません。しかも、わが党のみが反対した、志賀原発が停止していても税収が入る核燃料税の改正によって、四半期の税収は1億9,200万円にものぼり、今年度は、その4倍7億6,800円の税収が見込まれます。 電力移出県等交付金7億4千万円余を含め、原発推進予算に依存せず、自然エネルギーの本格的導入で、新たな産業・新たな雇用をつくり中小企業を応援する県政への転換が求められています。【5】最後に 最後にいくつかの点を指摘しておきます。 第1は、昨年度の水道用水供給事業会計は黒字となりました。関係市町からの強い要望でもある、単価引き下げ、責任水量制見直しの機は熟してきたと考えます。 第2は、農林水産業の分野でも、TPP推進を前提とした農地集積の見直しが必要です。農地集積協力金を受け取った農家は、保有している農業機械を破棄することを義務付けるという、現代版農家刀狩りによる、交付件数は250件、交付面積は163ヘクタール。 里山里海を守る上でも、TPPに反対し、地域に定着する多様な担い手を応援する県政への転換が必要です。 職員給与も、退職金含め3度に渡って削ったことは、官民給与引き下げ競争に拍車をかけ景気を冷え込ませる、不当なものであることを最後に強調し、決算反対討論を終わります。