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このサイトの小説、その他すべての文章はマトリックスA(沢田 佳)のオリジナルです、無断での転載、転用お断り致します。
2024.10.18
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カテゴリ:ライトノベル


​​​​​​

小説 「scene clipper」 続編 


「ゲノムと体験が織りなす記憶」


​​

「・・・あの握り飯の美味しかったこと・・・まるで昨日のように
覚えております!・・・ありがとうございました!」


青木氏は、ほとんど叫ぶようにそう言って叔父の墓前に膝と両手の
平をついて深々と頭を下げた。


 その行為は感動を与えてくれたが、最も俺を感動の渦に巻き込んで
くれたのは、俺の中に潜在していた叔父貴の記憶と青木氏のそれとが
ほぼ一致しているように感じ取られた時。


そしてそれが更に強い喜びと感じられたのは、お互いのゲノムから
取り出された必要な情報と叔父との交友で得た記憶とが上手く融合
された為ではないだろうか。


俺たちの影響を受けてか、マリの長い指が彼女の瞼の下で零れ落ち
かけていた涙をすくい取っていた。


時の流れなどまるで気にならない、美しい光景が俺とマリの胸を
締め付けている。



やがて青木氏の肩の震えが収まったことに気づいた。


うっとりするほどの清々しい笑みを浮かべて青木氏が俺たちを振り
返った。


「今ね、田島さんに頭をなでてもらってた・・・『良く来た、良く来た。
立派になったなあ』そう言って下さってね・・・いいオヤジがねえ、笑っ
てください」


「笑うなんてとんでもないです!私とマリは感動で胸を締め付けられて
動けませんでしたのに・・・」


リョウの言葉は彼自身が『強すぎた』と案じるほどで、その語尾は小さく
消え入るほどとなった。


 「そうか、君も、いや君たちも私と想いを共有してくれたんだね・・・
ありがとう」


「こちらこそ、ありがとうございます」


ありがとうございますの言葉にはマリの声も重ねられた。


 「ところで君たちはどうかな、私は念願を果たしたら何だか急にお腹が
空いてきたんだが・・・」


「そう言えば・・」


マリも頷いた。


頷き返した青木氏が言った。


「そうか、じゃあ腹ごしらえするとしよう」


青木氏は墓石を振り返ると


「田島さん、それではこれで失礼いたします」


そう言って深々と頭を下げた。


俺たちも同じように別れを告げた。



​​





非常にお久しぶりです。

よろしかったらお読みくださいね。

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最終更新日  2024.10.18 02:08:28
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