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カテゴリ:マトリックスAの日記
皆さんのおかげで
小説 「もういちど名前を呼んで」↓ はさらに上昇! 1月19日現在、13位770中となりました!本当にありがとうございます!! そこで、御礼の気持ちを・・ぼくにはこれしか出来ないから 次回予定の小説からちょっとだけお披露目です。 『1980年12月9日火曜日夜:東京、新宿ライブハウス「音」 俺は珍しく一人で飲んでいた。錆びの匂いのする寄せ集めの鉄板で出来ているテーブル越しにパブミラーがあって、それにはビートルズの四人が描かれている。 いつもなら、ミラーの傍に座っているのだが、今夜は一番離れた席でぼんやり眺めては思い出したようにビールを飲む。 店長のハルの奴、頼みもしないのにさっきから「イマジン」だけを廻している。 煙草のけむりが目にしみるだろ・・・ 「ハル、もういい加減に他のにしたらどうだ?」 「いいぜ、タカシがいいんなら、そうしても・・・」 「そうしてくれ。もうすぐあいつが来るから・・この曲聴いたら、泣くぞきっと」 ドアが開いて、見覚えのある姿が2つ見えた。 間に合わなかった。ポニーテールの女が立ち止まったが、俺を見つけるとレンガの床の上を足早に近づいて来た。 狭いテーブルの間をすり抜けて俺の横に座った。目が赤い。 俺はハルを振り返って顔をしかめてみせた。奴は「俺は知らないよ」と顔で言い、他の客の間に逃げ込むように背中を見せた。 仕方なく、俺はユカリに笑顔を向けた。 俺のユカリはクウォーターだ、けど名前はふつうの日本人。 「タカシ、ジョンが!」 「ニュース見たのか?」ユカリは頷くと同時に俺にしがみついてきた。 「ひでーよな・・・」 ユカリは何度も暗殺者を罵る言葉を吐いた。 俺はただ、彼女の涙を指で拭ってやる。震える肩をさすりながら』 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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