|
カテゴリ:カテゴリ未分類
「私も驚きました。」
サラがフィリップの話を訳す。 「他の文献や、昔の資料でも、まま、別人格でまるで別の人の性格…と、言うか…。正に本人の知る由もない事を…。知ってはいますが、まさか、自分自身がその当事者と…。しかも…、それが後々、まず、その場にはいない…。と、言うか、意識しているはずのない景色が、後々に見えると言う。」 フィリップ、ニコニコとしながら顔を左右に振って、そして柚香を見て、 「柚香~~。メルシー。」 その声に柚香、笑顔で…。そしてフランス語で、 「メルシー。」 サラ、 「そして…、陽織。その時、祖母に抱かれて…。少しは落ち着いたみたい。」 柚香が、 「おばあさん、凄いの。抱かれているだけでとっても安心感がある~~。いつもニコニコ笑顔で。」 祖母と藪岡を見て。 「でね、でね。抱いたままで頭を撫でて、そして、頬にキスしてくれる。もぅ~~。感動もの~~。匂いもと~~ってもいい匂い~~。」 幸乃、笑顔で、 「そぅかい。」 藪岡、 「ははは。良かった。うんうん。」 「でも…。」 サラ。 「柚香はそぅだったかも知れないけど、陽織は…。最初のうちは…。…中々…、溶け込んではくれなくて…。」 そのままフランス語でフィリップに…。 フィリップも2回頷いて。そして話し出す。 サラが、 「けれども、同じ人間。その中に陽織がいる。私たちは、陽織であるけど、柚香として…。」 そしてサラ、 「当然ですが、そのための…フランス療養。柚香が陽織に変わるのが目的。確かに。実際に目の当たりにした時は、驚きましたが…。…でも、家族はそれをすぐに認識。…ただ、陽織がそれには…3日ほど…、慣れませんでしたけど…。」 藪岡がサラとフィリップに、 「…で、どうでしたか…???…陽織ちゃん。」 サラ、その問いには…。さすがに笑顔で、 「とにかく、家の中をあちこち。そして家の外までも…。」 藪岡、 「外…???」 「まっ。でも…、さすがに…、祖母と一緒ですけど…。…そういう意味では、祖母も…。」 そしてサラ、クスリと笑い、 「変な表現しますけど…。祖母、とにかく人を手懐けるのが上手な人で。」 その声に藪岡、 「あぁ。な~~るほど~~。」 「それに今回、2台ほど、音声翻訳アプリ。スマホの…。購入したんです。祖母とフィリップにと。ま。家族でもそれ、使ってまして。」 藪岡、 「あ~~。はいはい。今、ありますよね~~。」 「祖母は大助かりでした。それを使っての陽織とも…。」 藪岡、頷きながら、 「なるほど。」 幸乃、 「先生…???」 幸乃に藪岡、 「スマホを持って、喋ると、スマホがその国の言語にすぐに翻訳してくれる。そういう事が今、出来るんです。例えば、おばあさんの口から出た言葉が、そのアプリの機能が翻訳して、その国の言語で音声が出る。」 幸乃、思わず目を丸く、 「まぁ~~。」 柚香も、 「うんうんうん。私もそれ使って、おばあさんと…。それに…、おばあさんの声も凄い奇麗。」 幸乃、その声にまたニッコリと、 「そぅかぃ~~。」 サラ、 「確かに。私が、柚香のパートナーとして…、でしたが…。」 そこでサラ、口をグンニャリと。そして苦笑い。 「何故か、陽織は私には、中々こころを…。…でも、祖母には…、何とか…。」 フィリップもサラを見てニッコリと。 サラ、続ける。 「…そして…、家じゅうのみんなにも…、何とか、こころ…開けるようになったのが、4日目。少しずつ、落ち着いて来ている。…と、言うか、何だか、仕方なさそうな…。諦め半分のような…。そして…、柚香から陽織が消えた。と言われた2日前。つまりは5日目。ようやく陽織から色んな事が…。病院で目覚めて初めて景色を見た事。夜中に起きてエンカントと言うお店に行って働いた事。オーナーや店長の事。そして、ある事件の事。」 その話しに藪岡も、幸乃も頷く。 幸乃、僅かに表情を曇らせて、 「えぇ~~。お店で、何やら、お客様とトラブルがあったようで…。それが原因で塞ぎ込んで、仕舞いには熱を出して風邪を…。…でも、その事件もその後…。」 サラ、 「えぇ…。陽織からも、柚香からも聞きましたけど…、逮捕されたと…。」 幸乃、コクリと顔を…。 「えぇ。でも…、それからは、お店の方には…。」 「そして…」 サラ、 「友達の事。その中でも…。」 そして、フィリップが話す。 サラがそのまま訳す。 「素敵な体験、されたようです。極めて貴重な体験と言っても良いでしょう。通常であれば、部屋に閉じ籠もる。精神科に頼る。それに…、周囲の目も気になる。とにかく、いてもたってもいられない。そういう状況だと思うんです。」 そしてフィリップ、柚香を見て、更に。 「柚香~~。」 そしてフランス語で…。 それをサラが訳す。 「しあわせな時間を過ごしたね。」 フィリップ、目を真ん丸に、そして口を開けて、両腕を広げて、 「ア~~ッハッハッハ~~。」 そしてフィリップ、またフランス語で…。 LIBRA~リブラ~ vol,215. 「私も驚きました。」 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.08.03 09:09:40
コメント(0) | コメントを書く |