絵本の思い出
少し前のこと。趣味で集めた絵本の数々。理由あって、何冊かを手放すことに。本をリサイクルしてくれるお店に。まとめて持っていけば、早く片付いたのでしょうが。一冊一冊に、思い入れのある絵本。まとめて処分することが、どうしても出来なくて。一冊ずつ、必要とする人の手元に届けたいと。とあるサイトに出品することに。一冊ずつ梱包して。郵送するのは。かなり面倒な作業ではありましたが。思いがけず、嬉しいことも。私には不要だと思っていた絵本も。ある人には、大切な絵本だったりするのです。ある日、一通のメールをいただきました。『父との想い出のある絵本です。 もう二度と手に入らないと思っていました。 ……』小さい頃の、お父様との想い出を教えてくださって。それは、それは、心温まるメールでした。時には、大学病院の小児科病室からの問い合わせがあったりして。絵本が届けられた後の様子を、勝手に想像したり。私の都合で手放した絵本たちですが。本棚に飾っておいても、意味がない。誰かの手に渡って。ページを開いて、読まれる。時には泣いたり、笑ったり。絵本を取り合ったり。そうして子供たちの心に、一冊一冊が刻まれていく。その時だけの繋がりしかない方々でしたが。なんだかとっても、貴重でやさしい時を過ごさせていただきました。今頃あの絵本は、誰の手の中に…。