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テーマ:徒然日記(23452)
カテゴリ:名言・迷言・金言
PART5 ABOUT DEATH
3つ目は、死に関するお話です。 私は17の時、こんなような言葉をどこかで読みました。 確かこうです。 「来る日も来る日もこれが人生最後の日と思って生きるとしよう。 そうすればいずれ必ず、間違いなくその通りになる日がくるだろう」。 それは私にとって強烈な印象を与える言葉でした。 そしてそれから現在に至るまで33年間、私は毎朝鏡を見て自分にこう問い掛けるの を日課としてきました。 「もし今日が自分の人生最後の日だとしたら、今日やる予定のことを私は本当にや りたいだろうか?」。 それに対する答えが“NO”の日が幾日も続くと、そろそろ何かを変える必要があるな と、そう悟るわけです。 自分が死と隣り合わせにあることを忘れずに思うこと。 これは私がこれまで人生を左右する重大な選択を迫られた時には常に、決断を下す 最も大きな手掛かりとなってくれました。 何故なら、ありとあらゆる物事はほとんど全て…外部からの期待の全て、己のプライ ドの全て、屈辱や挫折に対する恐怖の全て…こういったものは我々が死んだ瞬間に全 て、きれいサッパリ消え去っていく以外ないものだからです。 そして後に残されるのは本当に大事なことだけ。 自分もいつかは死ぬ。 そのことを思い起こせば自分が何か失ってしまうんじゃないかという思考の落とし 穴は回避できるし、これは私の知る限り最善の防御策です。 君たちはもう素っ裸なんです。 自分の心の赴くまま生きてならない理由など、何一つない PART6 DIAGNOSED WITH CANCER 今から1年ほど前、私は癌と診断されました。 朝の7時半にスキャンを受けたところ、私のすい臓にクッキリと腫瘍が映っていたん ですね。 私はその時まで、すい臓が何かも知らなかった。 医師たちは私に言いました。 これは治療不能な癌の種別である、ほぼ断定していいと。 生きて3ヶ月から6ヶ月、それ以上の寿命は望めないだろう、と。 主治医は家に帰って仕事を片付けるよう、私に助言しました。 これは医師の世界では「死に支度をしろ」という意味のコード(符牒)です。 それはつまり、子どもたちに今後10年の間に言っておきたいことがあるのなら思い つく限り全て、なんとか今のうちに伝えておけ、ということです。 たった数ヶ月でね。 それはつまり自分の家族がなるべく楽な気持ちで対処できるよう万事しっかりケリ をつけろ、ということです。 それはつまり、さよならを告げる、ということです。 私はその診断結果を丸1日抱えて過ごしました。 そしてその日の夕方遅く、バイオプシー(生検)を受け、喉から内視鏡を突っ込ん で中を診てもらったんですね。 内視鏡は胃を通って腸内に入り、そこから医師たちはすい臓に針で穴を開け腫瘍の 細胞を幾つか採取しました。 私は鎮静剤を服用していたのでよく分からなかったんですが、その場に立ち会った 妻から後で聞いた話によると、顕微鏡を覗いた医師が私の細胞を見た途端、急に泣 き出したんだそうです。 何故ならそれは、すい臓癌としては極めて稀な形状の腫瘍で、手術で直せる、そう 分かったからなんです。 こうして私は手術を受け、ありがたいことに今も元気です。 これは私がこれまで生きてきた中で最も、死に際に近づいた経験ということになり ます。 この先何十年かは、これ以上近い経験はないものと願いたいですけどね。 以前の私にとって死は、意識すると役に立つことは立つんだけど純粋に頭の中の概 念に過ぎませんでした。 でも、あれを経験した今だから前より多少は確信を持って君たちに言えることなん だが、誰も死にたい人なんていないんだよね。 天国に行きたいと願う人ですら、まさかそこに行くために死にたいとは思わない。 にも関わらず死は我々みんなが共有する終着点なんだ。 かつてそこから逃れられた人は誰一人としていない。 そしてそれは、そうあるべきことだら、そういうことになっているんですよ。 何故と言うなら、死はおそらく生が生んだ唯一無比の、最高の発明品だからです。 それは生のチェンジエージェント、要するに古きものを一掃して新しきものに道筋 を作っていく働きのあるものなんです。 今この瞬間、新しきものと言ったらそれは他ならぬ君たちのことだ。 しかしいつか遠くない将来、その君たちもだんだん古きものになっていって一掃される日が来 る。 とてもドラマチックな言い草で済まんけど、でもそれが紛れもない真実なんです。 君たちの時間は限られている。 だから自分以外の他の誰かの人生を生きて無駄にする暇なんかない。 ドグマという罠に、絡め取られてはいけない。 それは他の人たちの考え方が生んだ結果とともに生きていくということだからね。 その他大勢の意見の雑音に自分の内なる声、心、直感を掻き消されないことです。 自分の内なる声、心、直感というのは、どうしたわけか君が本当になりたいことが 何か、もうとっくの昔に知っているんだ。 だからそれ以外のことは全て、二の次でいい。 PART7 STAY HUNGRY, STAY FOOLISH 私が若い頃、"The Whole Earth Catalogue(全地球カタログ)"というとんでもない 出版物があって、同世代の間ではバイブルの一つになっていました。 それはスチュアート・ブランドという男がここからそう遠くないメンローパークで 製作したもので、彼の詩的なタッチが誌面を実に生き生きしたものに仕上げていま した。 時代は60年代後半。パソコンやデスクトップ印刷がまだ普及する前の話ですか ら、媒体は全てタイプライターとはさみ、ポラロイドカメラで作っていた。 だけど、それはまるでグーグルが出る35年前の時代に遡って出されたグーグルの ペーパーバック版とも言うべきもので、理想に輝き、使えるツールと偉大な概念が それこそページの端から溢れ返っている、そんな印刷物でした。 スチュアートと彼のチームはこの”The Whole Earth Catalogue”の発行を何度か重 ね、コースを一通り走り切ってしまうと最終号を出した。 それが70年代半ば。私はちょうど今の君たちと同じ年頃でした。 最終号の背表紙には、まだ朝早い田舎道の写真が1枚ありました。 君が冒険の好きなタイプならヒッチハイクの途上で一度は出会う、そんな田舎道の 写真です。 写真の下にはこんな言葉が書かれていました。 「Stay hungry, stayfoolish.(ハングリーであれ。馬鹿であれ)」。 それが断筆する彼らが最後に残した、お別れのメッセージでした。 「Stay hungry, stay foolish.」 それからというもの私は常に自分自身そうありたいと願い続けてきた。 そして今、卒業して新たな人生に踏み出す君たちに、それを願って止みません。 Stay hungry, stay foolish. ご拝聴ありがとうございました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009年01月19日 20時22分13秒
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