 『ウォーク・ザ・ライン』
アメリカに、まだ大恐慌の影がたちこめていた1944年。
12歳のジョニーは、父、母、兄、妹たちとともに、
アーカンソー州の失業救済局作業場で暮らしていた。
しかし、一家の貧しい生活は一向に楽にならず、
父は酒に溺れる日々だった。
そんなジョニーの心の慰めとなったのは、
優しい兄ジャックと、ラジオから流れてくる、
ジューン・カーターの歌声だけだった。
ところが、最愛の兄が事故で死んでしまい、
父との確執は、いっそうひどくなる。
家から逃れるように、空軍に入隊したジョニー
（ホアキン・フェニックス）は、ドイツに駐屯し、
除隊後に、初恋の女性と結婚。
音楽好きのジョニーは、セールスの仕事のかたわら、
友人とバンドを組み楽しむが、家計は苦しく、
夫婦の仲も冷え切っていった。
やがてプロミュージシャンとなったジョニーは、ツアー先で、
憧れのジューン（リース・ウィザースプーン）との、
共演のチャンスを得る。
これ、実話だったんだ。
全然知らず、まぁありがちな話だよな…と思ってたけど、
エンドロールで実在の2人と知り、涙してしまいました。
遅いって？（笑）
それまで、ステージの上で、Yesというまで歌わない、
なんてプロポーズするなんて、ずりぃ男だな、
と思ったことは、忘れて（笑）。
当然、ジョニー・キャッシュなる人のことなんて、
全然知らなかったけれど、こうやって見たら、
確かに似てたホアキン。
ストーリーとしては、ほんとありがち。
貧しい家庭に育った子が、音楽を目指すも、
なかなか芽が出ず、でもひょんなことから才能を認められ、
一気にスターダムへ。
初恋の人と結婚し幸せな家庭を築くも、
やがて女と薬に溺れ、家庭は崩壊。
そして運命の人と出会い、数々の苦難や障害を乗り越え、
結ばれる…。
あまりにありがちすぎて、似たようなフィクションの多くは、
逆にこれを基にしてんじゃないか、と思っちゃうほど。
貧しい家庭だとか、兄の死だとか、父との確執だとか、
女だとか薬だとか、どっかであったな…と思ったら、
なんとなく『レイ』に似てるような。
レイは、最初から父親はいなかったけれど。
偉大なミュージシャンって、並大抵な人生じゃぁ、
生まれないのかしら。
だからといって、そこまで堕ちなくてもいいんじゃない？
って思うほど、揃いも揃ってズタボロの人生送ってるけど、
でもそうじゃなきゃ、人の心を打つ音楽って、
やっぱり生まれないのかなぁ。
のほほーんと気楽に生きてる人間の歌う歌じゃぁ、
聴いてる人の心に届かないか。
でも父親との確執は、悲しかった。
出来のいい兄を自分の不注意で失ったと、自分も思い込み、
父もそう思ってジョニーにますます冷たくあたって、
それはジョニーが大人になってからも変わらなかったけど、
実は父は、兄が死は自分の不注意でもあったと分かっていて、
だからこそ余計に、ジョニーにあたっていたのかもしれない。
父もその時そこにいなかった責任、というか、
家が貧しかったから、子供たちがそんな危険な仕事を、
しなければならなかったのであって。
でもそのお陰でジョニーは名声を得たわけだけど、
それって人生を振り返った時、どう感じるんだろう？
やっぱり父親に感謝するのかなぁ？
それとも、普通でいいから父に愛されたかったと、
兄に生きていて欲しかったと、思うのだろうか。。。
吹き替えなしで、全て本人たちが歌ってたそうだけど、
リースとホアキンの、歌唱力も素晴らしかった映画でした。
  
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【参考】
ウォーク・ザ・ライン オフィシャルサイト
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