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日々子ども達と接していて感じるのは、「待てない子ども達が非常に多い」ということです。
待てない子どもは、「話すこと」は得意でも「聞くこと」が苦手です。こちらの都合も考えずにテレビのように一方的に話してきます。それで、「ちょっと待って」と言うと、すねたり、あっちへ行ったり、別のことを始めたりしてしまいます。 工作などでも、すぐ「先生やって」と言ってきます。依存心が強いのも「待てない子ども」の特徴です。 そんな場合、「この子には無理だな」と感じるようなことは手伝ってあげます。でも、待てない子は私が手伝っていても私がやっていることを見ようとしません。 それで、「見ていなきゃ出来るようにならないよ」と言うのですが、「待てない子」は観察することも苦手なようです。 「傍にいてちゃんと見てな」と傍にいさせても、いるだけで見ようとしません。どうも見方(観察の仕方)が分からないようです。 よく仕付けられた犬は「待て!」と命令すれば待ちますが、でも、命令がない状態では待ちません。「待つことに対する内的な動機」がないからです。それと同じ状態なんでしょう。 子どもでも、「命令に従わないと叱られる」という状況下では、命令に従って待つ事が出来ることがあります。でも、自分の判断と意志で待つことが出来る子は本当に少ないです。 でもその一方で、最近の子は周囲からの刺激にはすぐに反応します。そして振り回されます。待てない子ほど刺激に対する耐性が低いのです。 まあ、日常的にゲームをやっていればそういう状態になるのは当然の結果ですけどね。それがゲームをやっているときの普通の状態なんですから。 ただし、4才ぐらいまでの子どもは待てないのが普通です。自分の感情や衝動を抑制する脳の機能が未発達だからです。これはしつけの問題ではなく、子どもの成長の問題なんです。 人間以外の動物たちも、その機能が未熟なため自分の意志で待つことができません。だから、動物に芸をさせるためには特別な調教が必要になるのです。 問題は、最近は「待てないのが普通の幼い子ども達」を待てない大人達が増えてきたことです。 そのような人は、子どもが自分のペースでゆっくりと成長するのを待てないため、「アメとムチ」という方法を使って、犬を調教するように幼い子ども達を調教しようとします。「お母さんの言うことを聞かない子は嫌いになっちゃうな」などという脅しをかけるお母さんもいます。 そして、その調教がうまく行けば、4才に満たない子でもある程度まではその行動をコントロール出来るようになります。そのため、「しつけ」と「調教」を混同してしまっている人がいっぱいいます。 実際、「しつけの方法」として、「調教的なやり方」を書いている人もいます。 「しつけ」を「ハウツー」として説明している人や、ハウツーとして理解している人はみんなそういう人です。 でも、調教的なしつけを受けた子は、指示や命令を出すお母さんがいる場では「いい子」なんですが、お母さんがいない場では野生動物のように乱暴になってしまったり、逆に不安が強くで何も出来ずに小さくなってしまたりするのです。 「人間としての成長」が損なわれてしまうからです。 でもお母さんは、我が子のそういう状態を知りません。自分の前ではちゃんと行動しているからです。 調教的なしつけを受けていると、お母さんの期待に応える能力は育っても、自分の心と頭で「何をしたらいいのか」「何をしてはいけないのか」ということを判断する能力が育たなくなってしまうのです。そのため、思春期が来ても自立が困難になってしまうのです。 それが調教的なしつけの大きな問題点なんです。 犬は、精神的に成長する必要がありません。人間の言うことに従っていれば死ぬまでちゃんと世話をしてもらえます。「人間としての能力」を育てる必要もありません。犬が人間と同じ立場になることは永遠にないのですから。 でも、人間の子ども場合はそれでは困るのです。 人間の成長は、社会の都合ではなく、命の都合、自然の都合に従って進行していきます。 何でも早く簡単に出来るようになったからといって、妊娠にかかる時間や、成長にかかる時間を短くすることは出来ないのです。 それを現代人の価値観に合わせて、人工的な方法でその自然な状態を変えようとすると、子どもの命の状態や成長プログラムが狂ってしまうのです。そしてその狂いは大人になっても矯正されません。 幼い頃に「ボタンの掛け違い」が起きてしまうと、大人になっても掛け違ったままなのです。 だから、「命のリズム」や「命のプログラム」に安易に手を加えてはいけないのです。 でも、待てなくなってしまった現代人は、大人の都合に合わせて子どもの成長をコントロールしようとしています。 出産も医者や病院の都合に合わせて赤ちゃんが引きずり出されています。 テレビでは「待てない大人」に向けて「こうすると子どもの成績がアップしますよ」「こうすると子どもの好奇心がアップしますよ」というハウツーをいっぱい流しています。 でも、待てない人ほど強い不安を感じながら生きているのです。 「待てない人」を突き動かしているのは「不安」だからです。 じゃあどうやったら、その「待つ能力」を育てることが出来るのかと言うことですが、「自然とのつながり」を取り戻すことがその手助けになるでしょう。 人工物は思い通りになりますが、自然は思い通りにはなりませんから。 あと、自分の心とからだの状態に気づくことも必要です。 自分の心やからだと対話できる人は待てるのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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