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カテゴリ:日替わり日記
たびたび主張してきたことだが、原発事故も加わった今度の大震災は被災地の方々の悲惨は、日本という島国にとって取り返しのつかないほどの不幸な出来事には違いない。しかし、加速度のつきすぎた文明を見直し、地に足のついた生き方に慣らしてゆくための転換期と考えたら、これほど適切な切っ掛けはないだろう。 ところで、お気づきの方も多いと思うが、海外メディアと日本のメディアの報道の温度差の乖離はすさまじい。海外では、日本中が瓦礫の山となり放射能で汚染されてしまったかの報じられ方をしている。 そんなこともあって、途上国の孤児たちも義援金を集め、ジャッキー・チェーンは全財産を寄付してくれるという善意の加熱にもつながっている。日本のメディアも繰り返し瓦礫の山や被災地のルポを寄せている。その一方で、何事もなかったかのようにお笑い番組も復活してきている。 先日、被災地、避難所に支援物資をもって視察に行ってきた友人たちからの報告では、想像を絶する被災地の現場とともに印象深かったのは、その一歩内側にはのどかな風景が拡がり、いつもと変わらぬかのように仕事や生活に励む人々の日常があった。そのことに少しだけ救われた、といっていた。 16年前の阪神淡路大震災のとき炊き出しなどに出かけたが、途中の階が潰れてしまった神戸市役所の近くの三ノ宮には、あか抜けたスーツの男性や着飾った美しい女性たちが行き交っていた。そのなかに作業衣やジャージの我々が、何か場違いのところに来てしまったような錯覚に襲われた。 しかし、何もなかったように見える人々もそれぞれに悲しみを胸の底にしまいこんで仕事に、通勤にと自分のやるべき仕事をこなしているのだろう、と思い直すことにした。 悲しみも苦しみも胸の底におし込んで、人々がやるべきことをしてきたから、見事に神戸は復興した。 原発事故は予断を許さない状態のまま、沈静化には何年もかかるかも知れない。 様々な意見が対立する場面があろうが、今後は原発の新設はないとみたほうがいいだろう。原発を容認してきた人であっても、この事態をみれば一歩間違えばただ事では済まないことを身に染みたはずだ。 「それみたことか、だから原発なんてただちに停止して廃炉にせよ」という人もいるだろう。しかし、あえて言いたいのは電気の恩恵にぬくぬくとあずかってきた我々がかさに掛かったようにヒステリックに叫ぶことはやめようではないか。 我々も不承不承であっても原発の恩恵を受け、豊かな生活を満喫してきた。原発を進めてきた人たちも(核兵器に応用したいとか、利権構造のなかで太ってきた奴らは別として)求められる電気さえ生み出すことができれば、何も危ない原発でなくたってよい、と思っているはずだ。 脱原発で豊に暮らせる、あるいは今の水準を維持するにはどうしたら良いか。どうしたら未来の子供たちに負債を残さずにすむのか、そんな議論や研究に、エネルギーや資金の多くを費やしてゆくべきではないだろうか。 それにしても、原発増殖を(今となっては)根拠もない安全神話のオブラートに包み推進してきた御用学者や前政権党は論外だが、現政権の政治的リードも不手際つづきで切れ味が良くない。誰がやっても難しい舵取りではあろうが、打つ手が後手つづきで、被災地、ことに福島の方々もストレスが貯まるばかりだろう。 どこかに的確なアドバイスのできる人はいないものかと思っていたら、ブログ友達から西條剛央さんのブログを教えられた。 この人の震災以降のエントリーを読んで、これほどまでに自分の気持ちを、専門的に的確に解説してくれる人がいたのかと感嘆した。 早稲田大学大学院の講師ということだが、震災や原発関係の情報を得るためにネットを読みたかったら、このブログを読めばいい。まことに適切、丁寧に書いてあるからもどかしいかも知れないが、このブログを読めば、僕のブログを読む必要などまったくない。 西條 剛央 (さいじょう たけお、1974年 - )は、構造構成主義を体系化した日本の心理学者であり哲学者。 その他の専門は、発達心理学、質的研究。絵本作家としてもデビューしている。 宮城県仙台市出身。 1999年 早稲田大学人間科学部人間基礎学科卒業 2001年 同大大学院人間科学研究科健康科学専攻修士課程修了 2002年 次世代人間科学研究会 設立、主宰 2002年~2004年 日本学術振興会特別研究員(DC) 2004年 早稲田大学大学院 博士課程修了(博士人間科学) 2007年 京極真、池田清彦とともに『構造構成主義研究』を創刊。編集長を務める。 2006年~2008年 日本学術振興会特別研究員(PD) 2008年~ 早稲田大学大学院商学研究科 専門職学位課程(MBA)専任講師 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.04.08 22:03:27
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