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カテゴリ:🌾7種2次裏
IF記憶喪失流され安居
ナツ視点 ルート1:夏B、13歳の迷子の少年を保護する← ルート2:夏B、18歳の記憶喪失の青年を保護する ルート1▼ ******* 「……ねえ、ナッちゃん。ちょっと話があるんだけど」 とても綺麗に晴れた空の下、まつりちゃんの表情は薄く陰っていた。 * 『……人……!?』 あの日、ぷかぷかと浮いている青年を見付けたのはあたしだった。 嵐くんと蝉丸さんに助けられ、彼は陸の上で目を覚ました。 『…ここ…どこなんですか?……あんた達は……』 そう不安そうに眼を彷徨わせる彼は、安居と名乗った。 13歳で、これまでずっと山の中で、『先生』や『同級生』達と暮らしていたと言う。 『……俺達は………』 『オイコラお前ら、蝉丸様の新作料理さっさと食え。冷めんだろうが』 『……ご、ごめん。これを食べ終わった後でいいか?』 『あ、ああ』 すごく大人びて見える容姿。姿に似合わず幼い中身。 そんな彼に、あたし達の現状をどう説明したらいいのか分からなかった。 『おい、嵐、ナツ。食材が足りなくなりそうだから調達に行くぞ』 『えぇっ!?』 『おい、引っ張るな』 少し離れた岩場で、こそこそと蝉丸さんが話始めた。 『……どうするよお前ら、あいつに隕石のこと言うか?』 『……いや、もうとっくに知ってるんじゃないのか?』 『え?』 『え?』 『いやいや嵐よ、お前、あんなナリしてっけどあいつ13歳だぞ?螢もひばりもある程度ばあちゃんに事情聞かされてここに来てるみてえだけど、あいつそうじゃねえだろ。お前、同級生も家族も学校もみんな滅んで、俺らやあいつだけ冷凍保存されて生き残りました、なんて言えるか?』 『いや、そっちこそ待てよ。あの子の言ってる『村』って、この文明が滅びた後の世界で作られた村のことじゃないのか?……あの子、未来で生まれた子なんじゃないか?』 『おいナツ!お前も意見言え!』 『え、あ…あ、あたしは、……あの子は、どこかのシェルターで生き延びた人達の子孫なんだって思ってました。……村とか、学校っていうのは、そのシェルターにある施設のことかと』 『はぁ!?お前ら冷静に考えてみろよ、もしそんなところがあったとしたらあの犬のおっさんや怖い秋の村が見逃してるはずねえだろ!』 『安全だからこそ見付けにくい場所にあったのかもしれないだろ』 『……先生、っていう人たちが、隠してたのかもしれないじゃないですか…』 『あぁ!?知らねえよ、先公なんてよ!』 先生と同級生。そんな忘れかけていた言葉が出てくると、もしかしてあたし達はまた文明社会に戻れるんじゃないかなんて思ってしまう。 そんなわけないのに。 彼の居た村がなんなのかも分からない。 彼自身もうまく説明できないようだった。 一番あり得るのが、彼が夏のAチーム(か、春のチームか、行方不明になってた冬のチームの生き残り)という可能性。ひばりちゃんのように、未来で自分のチームと顔を合わせることもなく、一人意識不明で流されてしまっていたのかもしれない。 それか、未来に来た時は意識があったけど、溺れたショックで未来に来たことを忘れてしまった可能性。 次に、夏のAか、春か、冬か、シェルターなどどこかで生き延びていた人達の子孫という可能性。 どれなんだろう。 そんな風に、あんまり深く話を突っ込めずに数か月した頃。 「……ねえ、ナッちゃん。ちょっと話があるんだけど」 青く空っぽな空の下、まつりちゃんが、話しかけてきたのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.03.13 04:11:02
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