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カテゴリ:お仕事
私は、労働基準法等により、国が必要以上に企業の雇用のあり方などに干渉することは、どちらかというと否定的かもしれません。
また国が規制をかけるほどに、中小企業の雇用環境は労使ともに厳しくなっているように感じることもあります。 最近、ブラック企業という言葉をあちらこちらで聞きますが、そういったレッテル貼りにも抵抗があります。 そんな中、昨日、雇用に関し興味を引くメルマガがありました。 『三橋貴明の「新」日本経済新聞』というメルマガに藤井聡教授が投稿されています。 少し長いですが、引用させていただきました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 国会では今,様々な論点が議論されています。 そんな中で,今国会で注目されているのが,「特区」の構想です。 この特区構想はアベノミクス第三の矢の一つの具体的な取り組みとして構想されているものです。 アベノミクスの目的はもちろん,デフレ脱却。 今回の議論は,そのデフレ脱却を図るにあたっては内需の拡大が必要で有り,そのためには,様々な「投資」が誘発されることが必要で有り,そして,そんな「投資」を呼び込むための起爆剤として,この特区が構想されている訳です。 言うまでもありませんが,国会という場所は,様々な意見がぶつかり合い,様々に議論していく場所です。 したがって,この特区構想についても,賛否両論含めた,様々な議論がなされています。 そんな中,この議論について,次の様な大変興味深い記事がありました。 http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20131020/254790/?P=1 この記事では,アメリカのSASという統計ソフトの会社が紹介されています。 #ちなみに,このソフトウェア,筆者は若い頃,使い倒したソフトです.今はSPSSに寝返ってしまいましたが(笑)。 SASは,あの自由の国,アメリカ,今回の特区構想においても大いに(少なくとも間接的には)参照されたであろう,あのアメリカの企業です。 が! このSASという企業,何と「終身雇用」に近い雇用システムを掲げているようです。 で,「それによって」過酷な自由市場でのマーケット競争に打ち克つ競争力を獲得している,とのこと。 こういうことは,「企業の活力が奪われているのは,終身雇用的な日本型経営が,なぁなぁの怠惰な雰囲気を会社にもたらされてしまうからだ.雇用を流動化させることこそが,企業活力を増進し,市場を活性化するために必要なのだ!」的な意見を,反証する事例となっています。 が! 実を言いますと,このSASの事例の様な事が起こるのは,実証的にも,理論的にも当然のこととして,過去の研究の中で明らかにされている事なのです。 もう絶版になってしまいましたが,例えば下記書籍などに,そのあたりのことは詳しく書かれています。 http://amzn.to/171P7Es ちなみに,この書籍の著者とは,当時よく一緒に議論したり共同研究したりしており,例えば,次の様な研究をやっていたりしました。 Forced commitment promotes attitudinal commitment and trust in an organization (http://www.union-services.com/shes/jhes-3.htm をご参照下さい) この研究では,このタイトルの通り, 1)組織を重視して,少々強制的に組織運営をする組織(Forced Commitment)ほど, 2)メンバーはその組織に対する愛着(attitudinal commitment)を深めると共に, 3)そのリーダーは高い信頼(Trust)を得る事ができる, ということをパネルデータで明らかにした研究です。 こういった研究は,一般に「組織心理学」と言われますが,何にしても,組織のパフォーマンスというのはそのメンバーの様々な愛着やコミットメントに大きく依存するものであって,そういった心的要因は,様々な要因に大きな影響を受けるものである....ということです。 ですから,SASを論じた上記記事での,筆者の主張というのは,至極真っ当な者である可能性が十分考えられる...と言う次第です。 で,こういった研究の全てが含意(imply)しているのは, 「企業組織は生き物であって, そのパフォーマンス(あるいは,『競争力』)は, その組織の『活力』に依存している」 ということです。 ここに,その(集団的なレベルで想定される)組織的活力というものは,心理学的な個人レベルで想定される「愛着」「リーダーへの信頼」等と関連するもので,組織というものを一個の有機体と見なした際に感得されるものです。 もちろん,こういう心理学的,あるいは,社会学的な議論は,マクロ経済の視点に立てば,極めてミクロなもので,全体の無数にある企業の一部が活性化したところで,また,労働者の一部のやりがいなどが活性化しあっところで,マクロ経済全体に及ぼす影響は小さい,ということは避けられません。 しかし! 「雇用政策」というマクロな視点での政府の取り組みは,日本国内の全ての企業のあり方に,抜本的な影響を,長期にわたって及ぼすものです。 で,そういう「企業のあり方」は,それぞれの企業の「活力」に極めて大きな影響を与えることになるのです。 したがって,今回,国会で検討されている「雇用政策」,すなわち,「流動性を高める」,さらに言うなら,「Forced Commitmentを低下させる自由化の方針」が,組織愛着や組織への信頼,さらにはそれらを構成要素とする「組織の活力」にどの様な影響を与えているか,ということを考えることは,重要な論点の一つではないかと...思います。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー リンク先の日経ビジネスも読んでみました。 これは引用するのは控えますが、会社成長の鍵は『社員を信じきること』だそうです。 ですから、勤務時間も社員に任せるのだとか。 まあ、これはソフトウェアの会社だから可能ということもありますが・・・・。 但し、会社の期待に沿わない社員には、縁がなかったということで、退職をしてもらうそうです。 この辺りのニュアンスはリンク先をよく読んでみてください。 会社も雇用を維持し続けるという強い意志が必要ですが、それ故社員さんも覚悟を持って仕事をする必要があるということでしょうか。 雇用のあり方は、この会社のあり方が常に100%正しいというものではないとも思いますし、また、法律でがんじがらめにするようなものでもないと思います。 この辺りは非常に難しいです。 解雇権の乱用になることを決して容認はいたしませんが、『悪貨は良貨を駆逐する』ともいいます。 企業理念、方針、風土に合わない(合わさない)社員さんは、やはり辞めていただく方がよい場合もあります。 キリがないので、今日はこの辺でやめておきます。 今から、大和三山のひとつ、耳成山の近くへ打ち合わせに行ってきます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013/11/06 09:07:00 PM
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