敬老の日の幸せなかあさん

2019.09.17

かあさんには孫が2人いる。
敬老の日、その弟の方が夫婦でかあさんに会いに来ると言う。
クルマで1時間半かけて。

その両親、かあさんの娘夫婦（私の夫の妹夫婦）もやって来た。

うちの家に集合して、みんなで食事に行ってから、かあさんのいる特養に向かう。

今日は大人数ですなぁ
と、特養の事務所にいた所長さん。

敬老の日ですもんね。

面会が多いようだ。
何組かの家族にすれ違った。

そう言えば、お昼に食事をしたレストランも満席で、ちょっと待たされた。
見ると、どのテーブルにもお年寄りの姿。
なるほど、敬老の日だからね〜

かあさんのいる3階に上がって覗いてみるけど、かあさんの姿が見あたらない。
スタッフが、かあさんを呼びに行ってくれた。

あれ、かあさんいたよ。
あれかあさんやん。

ほんまや！

かあさん、過去最高に髪が短くなってて、それで目につかなかった。
かあさん、そこにいたよ〜

スタッフも、そこにいたかあさんを見つけて、連れて来てくれた。

ひゃあ、久しぶりやな〜
と嬉しそうなかあさん。
元気そう。
髪短くなってかわいくなったやん。
2階の会議室で、テーブルを囲む。

この人誰？
いつものやつ、始まった。
かあさんが誰を覚えてるか、確認。

まず、娘婿が、これは誰？
と自分を指差すと、
息子やろ。
と、かあさん。

みんな、笑いながら、
まぁ、間違いではないか〜

かあさんの娘が、私は誰？
と聞くと、すぐには名前が出て来ないかあさん。

これは？
と、娘婿がスマホの写真を指差すと、すぐに孫娘の名前が出て来た。

そして、そこにいる、久しぶりにかあさんに会いに来た孫の名前も。

不思議だな〜
自分の子供より、孫の名前が先に出てくるとは。

愛情の順番かな？

その孫のお嫁さんは、妊娠していてお腹が大きかった。

あんた、こけんように気をつけや〜
と、そのお腹をなでるかあさん。

おばあちゃん、はよ飲みいな。
ジュース、冷えてておいしいで。

おばあちゃん、肌きれいな〜

ほんまや〜

いつも、上等の化粧品使ってたもんな〜

そう、かあさんは幾つになっても、高い洗顔料で顔洗って、高価なナイトクリームつけて、毎日化粧してた。

そのせいか、しわがあるとは言え、お肌が白くてきれい。

ほんま、つやつややん！

口々にみんなからそう言われて、かあさん、嬉しそう。

かあさん、美人さんやったやんな。

それに、おしゃれやったし。

そうそう。
かあさんは美容やおしゃれのために惜しみなくお金を使う人だった。

かあさんにどのくらい聞こえてるのかわからないけど、自分のこと褒めてるってわかってるのだろう。
かあさんは上機嫌。

3連休、私は本当はどこかに遊びに行きたかった。
だけど…前々から聞いてた訳じゃなく、あさって行きますから〜って感じでみんながやって来た。

仕方なく散らかってた家の掃除をして、持たせるおみやげを買いに行った。
食事代もいるし…

連休ののんびり気分もぶっ飛び、正直めんどうくさかった。

だけど、よかったなぁと思う。
かあさんの嬉しそうな顔見たら。

人間、ちやほやされてる時が一番幸せって、私は思う。

かあさん、褒められて、みんなに囲まれてちやほやされて、きっと最高に幸せだったと思う。