９１歳、かあさんの夏

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家の中の不用品を処分しようとして押入れの中の物を引っ張り出していたら、古いアルバムが出て来た。
懐かしくて思わずめくってたら、若い頃友人と行った海外旅行の時の写真が…

それは川下りをしている写真で、現地のツアー会社が撮影したもの。
川下りの後で注文して、帰国後に送られて来た。
そう言えば…思い出した。
友人は間違えられたらしく、別人の写真が送られて来て、結局友人は自分の写真を受け取れなかったのだった。

私のは2枚あった。
よく見ると、1枚は友人も写ってる。
あの時、なんでこの写真を1枚友人に譲ってあげられなかったんたろう。
で、今は九州に住んでる友人にそれを送ってあげようと思ったのだ。
長い時は経ったけど、懐かしい思い出。

で、その写真。
後で手紙を書いてからと思い、多分アルバムから出して、どこかに置いた…はずなのだ。
それが紛失。

きのうからあちこち探してるのに見つからない。
その部屋はクーラーがないから、汗だくになりながら思いつく所隅々まで探したけど、どこにもない。

こういうことが今までに何回かあった。
高い金額を出して買ったレアな本が、どこにもないのだ。
大事な物だからと、袋に入れて、どこかに置いた記憶はある。
でも、それがどこなのか…
他の本はみんな本棚にあるのに、一番大切な物が見つからない。
不用品に紛れて夫に捨てられちゃったのかな。
本当に嫌になる。
私ってなんでこうなのかな？

認知症だったかあさんのことを思った。
あちこちに物を隠す。
すごく大切で、なくしたり取られたくなくて隠してるのだろう。
だけどどこに隠したかわからなくなって、探し回ってる。
毎日のことだった。
私はかあさんに近づいてるのかな？
そのうち何を探してるのか、何してたのかわからなくなるかあさんよりマシだから、まだ大丈夫！

って思えないよ。

もう不安でしかない。




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