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家づくり…大阪で伝統構法!:石場建て/木組み/土壁工法 ~今さら?マイホーム新築

家づくり…大阪で伝統構法!:石場建て/木組み/土壁工法 ~今さら?マイホーム新築

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2019年03月20日
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カテゴリ:伝統構法
いよいよというかようやく、建築確認申請と
限界耐力計算による構造適合性判定(適判)に提出する運びとなった。

この構造計算は、JSCA(ジャスカ)・・・
[一般社団法人]日本建築構造技術者協会
(Japan Structural Consultants Association)の
「伝統構法を活かす木造耐震設計マニュアル」に則ったもの。

こんどの家を石場建てにしようと工務店と話しがまとまってから、
適判に適合する間取りの検討から設計から構造計算と・・・
何度も何度も、メールのやり取りをし、直接打ち合わせを重ね、
大変な労力を時間をかけた。ここまで辿り着くのに去年の3月から丸1年!

なにしろ工務店の親方も、若いころに建てたことはあるので、
構想は具体的に描けるし建築する技能もあるが、
建築基準法の適用外になってからは初の取り組み!
その弟子の棟梁も、建築士も、もちろん一から勉強しての初挑戦である!

こうまでして時間と費用がかかる石場建て伝統構法の家を
建てようというには、それにそれ応のメリットがあるから。
それらをあらためて考えてみたので、ここに挙げておこう。

------------------------------

1.耐震性

石場建ては、建物と地面が直結していない・・・
地震力の入力が低減するということである。

つまり、現代の工法は剛性を高める方向で地震力に抵抗しようとする
西洋から入ってきた「剛構造」の考え方なのに対し、
伝統構法ではその変形性能によって地震力の入力を受け流す
「柔構造」という日本古来の歴史が実証している考え方である。

剛構造では一定の地震力の入力までは耐えても、
それを越えると急激に耐力が落ち、破断・倒壊の危険性が高くなる。
熊本大地震でも、1回目は持ち堪えても2回目に倒壊してしまった例が多いという。

対して柔構造では一定以上の力がかかっても礎石から建物がずれることで
地震力の入力が受け流されるので、破断・倒壊には至らない。

そのことは、阪神淡路大震災や東日本大震災などの
大地震の被災状況の調査でも確認されており、
実大震動台装置による実験でも証明されている。

現代の工法は「耐震」、伝統構法は「免震」。
ビルでも現在は免震構造が主流である。このことからも、
「目前に」迫った南海トラフ大地震への備えとして、
伝統構法の優位性が導かれる。


2.耐久性 

柔構造により風力を受け流すというだけでなく、
床下が丸空きのため通風を妨げず、
柱や梁が剥き出しの真壁構造のため、
構造体としての木材は呼吸し続ける。

しかも土壁は、木材を覆ってしまう大壁ビニルクロス張りと違って、
その本来もつ調湿性により、結露を起こさない。
このため、木材の防腐性や防蟻性の観点から圧倒的に有利となる。

こういった構造は、メンテナンス性の圧倒的な良さとなる。
構造材が床下も柱も梁も丸見えなので、
不具合の早期発見、早期対処につながる。

現代の工法では、土台が腐っていてもシロアリに食われていても
壁の中が結露していても気が付かないので、
見つけたときは手遅れということになりがちである。

また柱がそれぞれ独立基礎の上に立っているので、
仮に不具合が生じた場合でも
その柱の足元だけを直すといったことも可能である。

そのうえ伝統的な軒やケラバの深さは、
夏の陽射しが強烈なうえ雨や雪の多い厳しい日本の気候から、
掃き出し窓など開口部が多く通気性の良い構造の家を守ってくれる。

さらに、集成材や合板は、新品のときに最大の強度は発揮するが、
呼吸しないため腐れに弱く、木より接着剤の耐用年数が先に来るので、
無垢の木材より耐久性に劣ると言われている。

木は伐採されてから百年単位で強度を増していくそうだ。
現代の住宅の平均寿命が二十数年という一方で、
築百年、二百年という古民家が、幾多の災害に耐え佇んでいる。

メンテナンスさえ続けられれば、基本的な構造体の耐久性の高さは、
歴史が証明している。

更に耐火性の観点からも有利と言えよう。
現代の工法では、軽量鉄骨は火炎の熱で飴になり倒壊するので論外として、
木造でも2×4のように細い木材や薄い合板ではすぐ燃え上がってしまうし、
在来木造軸組みでもビニルクロスなどの新建材では
火災の際は有毒ガスが発生するので、
家は焼け残っても中で動けなくなって帰らぬ人となる例が多発している。

伝統構法では木材が太く表面が炭化することで
燃え上がるまでに時間がかかることや、
土壁がそもそも耐火材なので、初期消火や退避する時間が稼げる。

また、伝統構法は移築古民家の例から分かるように
分解して復元することができるという特性から、
部分火災の場合は全解体せずに部分修築することが容易である。 

バラしてまた組み立てることができるという伝統構法の特性は、
すなわちリフォームがしやすいということでもある。
家族構成が変わったり、住む人が変わったり、
間取りを変えたいときが必ずくると考えれば、
壁量だけで耐力を担保している現代の工法では、
壁の位置が変えられず、かなり不自由を背負うことになる。


3.意匠性 

柱や梁や壁などの構造材がそのまま化粧材となる伝統構法は、
構造そのものが美しい。自然素材のありのままの架構が意匠となる。

合板の大壁で集成材や荒材や鉄骨を覆ってしまう現代の工法は、
ビニルクロスやペンキや新建材など化学物質で飾り立てないと見られたもんではない。

それに対して伝統構法は、正真正銘の素材の本物の美しさだし、
木組みそのものが美しさを構成している。
紛い物ではない「本物」の美しさと言えよう。

自然素材の家の意匠は、時代を越え古さが逆に新しい味わいになるが、
紛い物である新建材や流行のデザインは、ただ古びてみすぼらしく、
流行遅れ、時代遅れになっていくだけである。


4.快適性 

本物の木の風合いや色合いが精神的な安定に結びつくということは、
科学的に実証されているそうだ。

ビニルクロスは化学物質を放散し続けるし、静電気で薄汚れてきて、
可塑剤が蒸散しやすい継ぎ目から硬化してめくれ始め、
みすぼらしくなってくるにつれ、心まですさむ。

アトピーやアレルギーといった症状が大きな問題になり、
キレる若者や高齢者が問題になる現代社会。
自然素材を組んだ伝統構法の心身への癒しは、見直されてしかるべきであろう。

また、吸放湿性が高く、熱伝導率が低く断熱性がある木材と、
熱容量が高く保温性のある土を組み合わせた伝統構法の家なら、
真壁と柱のチリ切れ(隙間)を無くしたり、
木製または樹脂アルミ複合サッシに複層ガラスの窓にして
気密性を高めたりすることで、
暖房や冷房を最小限で効果的に効かせることができる。


5.環境保全性 

冷暖房効率が高いということは、資源の浪費を防げるし、
二酸化炭素などの排出ガスの抑制にも貢献することになる。

また、計画植林で育てた国産材を有効活用することで、
我が国の山の資源や景観や自然環境を保全することになるし、
持続可能な産業振興にもつながる。

街や村の景観保全の観点からも意義がある。
雑多な無国籍的な景観の日本の住宅地。
無機的な新建材のメーカーハウスが点在するなかで、
伝統的な家構えを見たときの安心感。
京都の町家の街並みや農村の中に点在するメーカーハウスの違和感。

私たち日本人の多くが思い描く「日本の家」が建っているということは、
我が国の街並み景観を考える上で大切なことではないだろうか。

さらに想えば、地震や津波で壊滅した被災地を見るに、
コンクリート基礎が無残に残され、
自然に還ることのない新建材の瓦礫が積みあがっている。

一方、石場建て伝統構法は、さすがに津波には耐えられないが、
礎石だけが残り、人類が滅びたとしても壁も柱も文字どおり地球に還る。


6.伝統技術の継承 

伝統構法は、縄文以来数千年の歴史のなかで、
大陸の先進技術を取り入れながらも、
地震や風雨といった日本独特の気候に合った形で
先人が工夫し発展させてきた構法である。

しかし、明治期に自然条件の全く異なった西欧の工法を、
敗戦後には北米の工法を導入してきた流れには、
欧米への憧れと日本の伝統に対するコンプレックスがあったし、
それは今も尾を引いているように見受けられる。 

そんななか、経済性(カネも手間も時間も)最優先の社会情勢にあって、
企業(ハウスメーカー)が家を「売る」という
世界でも他に例を見ない仕組みができた。

施主が家を「建てる」のではなく
消費者が家を「買う」のが一般的になることで、
匠たる「大工」が技能を失い、「棟梁」が消えていき、
「経営」「営業」「設計屋」「監督員」「建築作業員」などの
一般労働者に分化していった。 

技能というものは、一度失われると、取り返しがつかないものになる。
江戸時代末期に何千年もかけて大成した日本の伝統の技は、
いったいこれからどうなっていくのだろう?

ハウスメーカーの家は、工法がそのメーカー独自のクローズド工法だし、
今ある製品としての建材を組み立ててあるだけだから、
そのメーカーがなくなれば、その建材が廃番になれば、維持補修も難しくなる。

しかし、伝統構法は、オープン構法であり、汎用材なので、
工務店の代が変わっても、他の大工でも、維持補修ができる。

そしてその維持補修の技術が、次の新築の技能として生かされる。

つまり、持続可能な技能の伝承は、
持続可能な社会の発展のためにも欠くことができない。 

折りしも2015年9月の国連サミットでSDGs
(「Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)が採択され
日本政府も取り組んでいるが、
伝統構法を受け継ぎ発展させていくことは、
まさにこの趣旨に合致することでもある。 

------------------------------

軽い気持ちで書き始め、あらためて考えているうちに、
話しがどんどん大きく膨らんでしまった。 

伝統構法は、手間も時間もかかる、費用もかかる。
しかし、一生をかけてローンを組んで建てる我が家。
なのに、暮らしそのものを賭けるのに、ローコスト住宅の品質のものを、
車を買うように値切って買っていいものだろうか?

確かに設計や適判に費用も時間もかかり、
材木など建築資材もたくさん必要なことから割高にはなる。

しかし、建築基準法の4号特例で構造計算をしなくてもいい、
工場生産のチープな建材を使った寿命四半世紀の家を買うのと、
坪単価がン十万円上がっても、きちんと構造計算し、
良質な建材と確かな技能で百年単位でもつ家を建てるのと、
何千万円のローンを何十年も組んでずっと住み続けるのなら、
どちらが値打ちのあることであろうか。

「夢のマイホーム」
考え方は人それぞれ。
これは、人生哲学の問題でもありますね。

ただ、石場建て伝統構法が、現行の建築基準法の枠外であることから、
せっかくの良さも、ほとんどの家を建てようという人たちにとって、
選択肢に挙がってこないのが残念である。

こんな機会を与えてくださった工務店の親方、
設計に関わってくださった棟梁や建築士のみなさん。
結局工期は遅れに遅れてますが、
お陰でこの1年間で大きく成長することができました。
感謝の気持ちでいっぱいです。


お世話になっているのは・・・​[日伸建設]





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最終更新日  2019年03月20日 22時11分50秒
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