カテゴリ:ある女の話:カリナ
今日の日記(「ライアーゲーム」「リアル・クローズ」の感想☆ )
「ある女の話:カリナ37(高二生活)」 高二のクラスは楽しかった。 みんな一年の頃より学校に慣れて、 女ばかりの空気を満喫している感じだった。 もともと付き合ってる子、付き合う相手ができた子、 恋の話を聞くことが増えて、 私の周りでは同性の子の悪口を聞くことがほとんど無くなった。 あるのは彼との悩みや片想いの悩み。 彼がいない私は興味津々だった。 未来どんな人と付き合いたいか、 まだ彼のいない子でもそんな話をすると、 何となく目がキラキラしていて、 人を好きになること、 未来に希望を持つことって素敵なことだと思った。 ツライことを話してると、 その時の怒りを思い出すのか、 みんな怒ってる。 そしていっしょに怒ってくれと、 同調しない人間に憎しみが移る。 悪口を話していると、 それに同調した人たちに喜びを覚えて、 でもみんなで笑った笑顔が奇妙に歪んでいて、 後味が悪いのはなぜだろう。 どれも人と関わると出てくることなのかもしれない。 私だってそう。 それは自然なことなんだ。 それでも、「好き」を語るのが一番好き。 その人の好きなこと、 それを聞くことが好き。 嫌なことも悪いことも、 笑って流せるようになりたい。 ずっとそう思っていた。 そういう大人になりたいって。 だからかもしれない。 みんなそう思ってたのかもしれない。 私の周りは、自然とそういう人が集まって、 今和やかな空気が流れていた。 こうして大人になっていくんだきっと。 そう思っていた。 夏休みは、ランニング同好会で何度か学校へ行き、 帰りは先生の車に乗せてもらうこともあり、 一度だけボーリングをして帰った。 クラスの友達と集まって、 ブラブラとショッピングしたり、お茶したりした。 マッシーの家へ泊まったり、 うちへ泊まりに来てもらったりした。 映画をレンタルしてきて、 観終わるといっしょに宿題をやった。 そうして秋がやってくると文化祭があって、 みんな品評会のように、 付き合ってる人や、元中学の仲良し男子を招待して、 「あの人カッコいいね!」 「ええ?!ミィちゃんの彼!」 とかって、囁きあったりした。 私は同じクラスで友達になったユウちゃんの誘いで、 とある男子校の文化祭へ行くことになった。 ユウちゃんは活発で、 男の子と友達になりやすいみたいで、 よく合コンの誘いを持ってきてくれた。 合コンなんて初めてだ。 元同じ中学の男子が、この前いきなりうちに電話をかけてきて、 「合コンしない?」って言われたけど、 名門学校のせいか態度が高飛車だった。 「どうせ女ばっかでつまんないんでしょ?」 仲良い子たちに聞いてみたら、 「ん~、でも野球部か~。坊主かぁ~。」 ってことで、一人断りだしたらみんな断ってきたので、 結局流れた。 ちょっとザマアミロと思った。 みんな学校のブランドに食いつく。 いわゆる頭のイイ学校より、 ちょっと遊んでそうな有名私立付属校に弱いけど、 女子校だから飢えてるんじゃ?的扱いには敏感なんだ。 その話を走った後にマッシーとスギモト先生にしたら、 「女って子供からそれだからな~」 って、呆れた顔をしてた。 「タッチャンだって美人には弱いっしょ?」 「まあな~。まず足首だな!」 「えー?!先生もそんなとこ見るの~?」 「やっぱり人は見た目かぁ~。先生の言う言葉じゃないね。」 「先生も一人の人間ですからぁ~。」 マッシーとスギモト先生は軽口を叩いて笑いあっていて、 私もその会話のテンポが可笑しくて笑う。 先生には言えないけど、 ユウちゃんの持ってきてくれた合コン。 まだ高校生だって言うのに、 ドキドキしながら居酒屋に入って大人のフリをした。 店員も何も聞かない。 大学生にでも見えるんだろうか? 私服じゃ、わからないもんね。 私は、その時の合コンで隣の席にいた感じのいい男の子と、 電話番号を交換した。 同じ中学の男子たちとは何だか違って、 妙に女の子扱いされるのが変な感じだった。 彼女作りたくて来てるんだな…って、 妙に緊張してしまった。 「ありがとう。」 緊張した笑顔の男の子を見て、 私もしおらしくなって、頷いた。 電話は翌日にかかってきた。 もう顔もうっすらとしか覚えてない人と電話のやりとり。 それでも何だかドキドキした。 この人と付き合うことになるかもしれない…って。 中学の時は男子と話すことなんて自然で、 軽口を叩くこともあったけど、 この出会いはそうじゃない。 時々相手が彼女候補って感じの扱いをしてるのがわかる。 それがちょっと煩わしく感じた。 私は男友達が欲しいのか、 恋がしたいのか、 話していて、だんだんよくわからなくなってきた。 二人でまた会おうって約束して会ったけど、 実際会ったらこんな顔だったっけ?って感じだった。 私はどうやら彼のことを結構美化してたらしい。 顔を合わせて話してみたら、 緊張してるからか意外と電話より話がはずまなくて、 自分から話をふることにも疲れた。 そのまま彼の勧める映画を観た。 映画は面白かったけど、 緊張しちゃって、面白さが半減してるのがわかった。 その帰りに公園に行って、 散歩しながら映画の感想をポツリポツリと話す。 「修学旅行のお土産を買ってくるね。 あのさ… 良かったらさ、このまま付き合わない?」 話の流れに驚いた。 私のことを気に入ってくれたらしい。 それって女として付き合いたいってことだよね? イイ人そうだと思う。 爽やかだし。 でも、女として意識され過ぎてて、 私が好きになれるかどうかがわからない。 ふと言ってみた。 「手を繋いでもらってもいいですか?」 「え?手?」 彼は躊躇しながら手を出した。 自分でもそう言い出したことに驚いたけど、 手を繋いだ時にナゼかわからない違和感を感じた。 手を繋いだら愛せるかわかるんだって マッシーの言葉が蘇る。 ホントだ。 ホントにそうかもしれない。 なぜか、この人じゃないな…って、その時ハッキリと思った。 その人は、その握手が私からのオッケーサインだと思ったらしい。 だけど… 私はごめんね…やっぱり、って謝った。 どうしても、 これから好きになれるような気がしなくなってしまったのだった。 私ってヒドイな… って、その時思った。 「彼、見た目悪く無いし、いい人そうだったのに、何で~?」 放課後のランニング同好会に出る前、ユウちゃんが聞いてくる。 「ん~。よくわからないんだけど、手が…」 私は言いながら口篭る。 迎えに来たマッシーと目が合った。 「手を繋いだ時に何か違うかな…って思ったの。」 「何ソレ~!」 ユウちゃんは呆れた声を出した。 ベタベタしてたの?とか、何が違うの?とかって、 不思議そうにしてた。 その話を聞いていたマッシーは、クックと笑ったけど、 目は、あの話だね?って頷いていた。 私はマッシーの目に励まされて、 自分の中で思ったことを話すと、 ユウちゃんはふーん…と興味深そうに納得していた。 「ヒドイけど、面白いね、カリナって。」 以来ユウちゃんは私をカリナと呼び、私はユウちゃんをユウと呼んだ。 出会いはその後何度かあったけど、 電話だけで終わっちゃったり、 友達といっしょや二人だけで会ってみるってことがあっても、 私に彼氏ができることはなかった。 私の高校生活は穏やかに終わろうとしていた。 だけど、マッシーは違う。 高三。 期待してたけど、 マッシーとはまた違うクラスだった。 でも、 私の担任はスギモト先生だった。 前の話を読む 続きはまた明日 目次 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年12月09日 20時21分01秒
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